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翻訳出版を実現する方法

はじめに

私にとって初めての翻訳書である「ドリーム・マシーン」の自費出版が近く実現する予定です。同じようなことを目指している方に参考にしていただくため、今回、翻訳出版を実現できた方法をご紹介したいと思います。

1 翻訳出版をする理由

翻訳ではなく、自分で書いた本ならば、自由にそれを出版することができます。もちろん、出版社が費用を負担する企画出版ができるかどうかは分かりませんが、費用さえ負担すれば自費出版が可能ですし、費用がなければ自分で印刷して配るのも、ネットで配信するのも自由です。ところが、翻訳の場合は、そうはいきません。原書の著作権は、原作者が持っていますから、それを翻訳したものを、たとえ無料であっても、勝手にばらまくことはできません。このため、既に出版されている本の翻訳を他の人に読んでもらうためには、その著作権を取得して出版(翻訳出版)しなければならないのです。このあたりのことについては、イカロス出版の「あなたも出版翻訳家になれる」に詳しい記載があります。

2 翻訳出版のスタート

通常、翻訳出版は、著作権エージェントが出版社に対象となる本を紹介することから始まる場合が多いようです。翻訳家が出版社に持ち込むケースもあるようですが、「翻訳家」でない自分にとっては、土台無理な話です。「ドリームマシーン」の翻訳出版の最大の問題は、「スタートが切れない」という点にありました。

そこで自分がとった行動は、「原作者との直接交渉」でした。翻訳家の松岡佑子さんが「ハリーポッター」の翻訳権を原作者との直接交渉で得たというのは有名な話ですが、それを真似てみることにしたのです。

原本の約3分の1程度の下訳が終わって、翻訳を完成できる確信を得た自分は、原作者のウィットル氏に次のようなメールを送りました。「自分は、自衛官としてV-22オスプレイの導入に関わったことがある。その時、あなたの『The Dream Machine』を読んで感銘を受けた。ぜひ、他の仲間たちにもこの本を読んでもらいたいと思っている。すでにこの本の翻訳を始めていて、その3分の1を終えている。自分は、この本の翻訳者として最も適切な者の一人である。ぜひ、翻訳の許可を頂きたい。」というのが、その内容でした。

驚いたことに、ウィットル氏は、何とその次の日に早速返信をくれました。そして、この本の著作権を管理している担当者に連絡を取ってくれました。その後は、米国側の著作権エージェントから支援する旨の連絡があり、そこから日本側の著作権エージェントに連絡が入り、そちらからも連絡を頂くなど、とんとん拍子に話が進み始めたのです。

3 出版社の決定

ただし、自費出版を行っている出版社は多くあるのですが、著作権取得の手続きが必要なこの本の自費出版を引き受けてくれるところは、なかなか見つかりませんでした。「誰でも出版できる」とネットで謳っている数々の出版社、ウィットル氏が執筆した類書を既に翻訳・出版していた某有名出版社、自衛隊関係の書籍を多く扱っている某新聞社など、たくさんの出版社に依頼のメールを送った後、やっとたどり着いたのが、鳥影社様でした。

その後の米国側著作権エージェントとの交渉は、すべて鳥影社様が進めてくれました。出版できることが確実になったおかげで、翻訳作業へのモチベーションも上がりました。そして、平成29年12月、「ドリーム・マシーン」の鳥影社様への入稿が完了しました。

4 出版要領の決定

自費出版による翻訳書である「ドリーム・マシーン」の出版をどのような要領で行うのかは、基本的には鳥影社様からのご提案のとおりにして頂きました。ただし、当方にとっては初めての出版であり、その内容を理解するのが難しいところもありましたので、契約書という形でまとめて頂けるようにお願いしたところ、「日本書籍出版協会」の「出版契約書ヒナ型2005年版」に準拠した契約書を作成していただくことができました。

一般的に自費出版には、大きく2つの形態があるようです。1つは、著者が費用を負担して本を刊行するだけ(販売は行わない)のいわば完全な自費出版であり、もう一つは、著者が製作の費用の一部を負担し、その他の費用は出版社が負担して出版(販売を含む)を行うものです(共同出版と呼ばれることもあるようです)。鳥影社様からご提案頂いたのは、このうちの後者の形態でした。

おわりに

今回、ドリームマシーンの出版に漕ぎつけることができたのは、本当に幸運なことでした。中でも、ウィットル氏が自分の直接交渉に応じてくれたことは、奇跡に近いことでした。出版まで、あと1~2ヵ月です。無事出版ができたならば、原稿の入稿から出版までの過程についても、ご紹介したいと思っています。

発行:Aviation Assets, 23 June 2018

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