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少年工科学校物語 武山・やすらぎの池の絆

40年前、24期生として少年工科学校に入校した私をやすらぎの池に最初に連れて行ってくれたのは、模範生徒と呼ぼれる3年生の新入生教育係の先輩でした。慰霊碑の前では、帽子を取るものだということを教わったのは、その時が初めてだったと思います。13名の亡くなった先輩方の遺影が飾られた顕彰室のこと、追悼行事の準備作業のことなど、この本を読んで、断片的ではありますが思い出すことができました。

事故の背景には、数多くの事象の連鎖があるものです。この小説には、新聞などの報道だけでは網羅できない幅広い、深い背景的事項が語られています。これらを知ることは、事故の発生を防ぎ、ひいては、13人の先輩方の死を無駄にしないことにつながるに違いありません。また、本書に述べられている13人の区隊長であった田山元1尉の事故後の生きざまは、責任とは何か、責任を取りながら生きてゆくとはどういうことなのかを改めて考えさせてくれます。

その一方で、自分が思いを巡らせたのは、区隊長も助教も生徒も、みんなが生き生きと輝いていた、40年前の自分自身の少年工科学校での生活のことでした。不謹慎だと言われるかも知れませんが、正直に言って、当時の自分にはこの事故が影を落とすというようなことは、何もありませんでした。でも、自分は、「13人の先輩方はそれを許してくれるし、むしろ喜んでくれるに違いない」と信じています。

「生徒卒業生は、必ず読まなければならない」そういって、この本をなかば無理矢理買わせてくれた同期に感謝します。

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