AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

個人装具の正しい装着・使用法

目的地に到着したい気持ちが強すぎて、危険を警告する声に耳を貸さない人が多い。例えば、民間機がターミナルに向かって地上滑走している間に、「シートベルト着用」のサインがまだ表示されているにもかかわらず、ベルトを外してしまう乗客を見たことがないだろうか?なぜなのだろう。それは、安全確保に必要な自制心が欠如しているからである。

このような安全上の注意を無視しているのは、民間機の乗客だけではない。陸軍機の搭乗員の中にも、装具の適切な装着および使用に関する教育が行われ、その重要性が強調されているにもかかわらず、明らかにそれを理解できていない者がいる。

そのような事例のひとつとして、あるCH-47の事故を紹介する。燃料補給を終了し、掩体壕の中を地上滑走していたところ、左に旋回中にローターブレードが掩体壁に接触した。機体は、空中に舞い上がり、掩体壁を超えて墜落し、炎に包まれた。下士官搭乗員は、誰も安全ベルトを装着していなかった。このため、機体の中を転げ回って負傷した。また、そのうち2名は、燃料補給点から掩体壕に移動する間に、ノーメックスの手袋を外してしまっていた。もう1名は、ノーメックスのシャツのすそをズボンから出して着用していた。このため、手や背中に第2度のやけどを負ってしまった。手袋が着用し、シャツがズボンの中にしっかりと入れていれば、やけどを防止または大幅に軽減できたはずであった。シャツのすそをズボンの外に出していると、炎は、掃除機に吸い込まれるようにシャツの中に入り込むのである。

この事例から学ぶべきことは、航空機に輪止めが行われ、エンジンが停止するまでの間は、防護服や装具を絶対に外してはならないということである。ノーメックスの飛行服を着用する際には、防護を完全にするため、上着のすそをズボンの中に入れ、そでをノーメックスの手袋の外側に密着させて閉じ、ズボンのすそを飛行靴のくるぶしの部分に外側から密着させて閉じることが必要である。そでをまくったり、シャツを外にだしたりすることは、事故の際の防護効果を大幅に低下させることになる。

たとえ最高の装備品を保有していても、必要な時に適切に使用され、装着されていなければ、負傷防止の役に立たないことを忘れてはならない。

個人安全の専門的手法に関しては、September 1973 AVIATION DIGEST掲載の記事「Just Pure Hell」を参照されたい。

出典:FLIGHTFAX, No.52 October 1973, U.S. Army Combat Readiness Center

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。この記事は、1973年10月号の記事が2019年4月号に再掲載されたものです。

アクセス回数:295