パキスタン救援活動における航空機輸送支援
派遣訓練支援部隊の活躍
編集者注: 1月10日現在、第B/7-158飛行隊は、245飛行部隊の一部として、パキスタンの米国災害支援センターに対する空輸支援を実施しているイーグル支隊に配属されている。CH-47Dヘリコプターは、1日あたり100トン以上の貨物を主としてスリングで空輸し、山岳地帯の配給センターが最低30日分の食料を維持できるようにしている。イーグル支隊の連絡将校であるPent Cleveland大尉によれば、航空機は、ほとんど一日中飛行し、燃料際補給のときだけ着陸しているような状態である。天候により被災地域への空輸が中止されたのは、10月9日の作戦開始以降、合計7日だけである。米国の被災地支援は、冬の終わりまで継続される予定である。
マーシャル陸軍飛行場内に所在するフォート・リレーは、第75師団(訓練支援)第3旅団に所属する小規模かつ特殊な現役航空科部隊の本拠地である。
その部隊とは、「部隊派遣の助っ人」として知られる第291航空連隊(訓練支援)第2大隊であり、その指揮官は、陸軍中佐Eduardo Gutierrezである。
この部隊の任務は、作戦参加部隊の訓練・準備を支援することであり、担当区域内の予備役の多用途、攻撃、輸送、航空管制、患者後送及び航空整備部隊に対する即応性評価、訓練、及び派遣業務の支援を行っている。
291航空連隊2大隊は、これまでにも幾多の派遣業務を遂行してきたが、今回命ぜられた任務は、今までにない内容のものであった。
「助っ人」は、10月8日にパキスタン北部の広大な地域に被害をもたらしたマグニチュード7.6の地震発生直後、陸軍予備役航空部隊を9日間でパキスタン救援活動の支援に派遣する大統領の指令を第5軍経由で受領した。
与えられた期間でそれができるかと問われたときの2大隊の回答は、「可能です!」という実にシンプルでものであった。
10月17日の夕刻、C-5輸送機に搭載するため準備中のCH-47D。積み出しは、オクラホマ州フォート・シル近郊のロートン空港で実施された。
今回の任務は、コロンブス・デーの休日に下達されたが、第2大隊は、直ちにテキサス州フォート・フードで実施された派遣訓練の実施に取り組んだ。
そのころ、大隊の主力はフォート・フードに所在していたが、そのうちの3分の1の勢力が、12時間で装備をまとめてオクラホマ州フォート・シルまで車両で移動した。
フォート・リレーに残っていた残余の「助っ人」部隊は、部隊を再編成し、装備品を搭載して、18時でフォート・シルまで地上移動した。
通常、この種の移動支援には、117日間の訓練期間を必要とするが、今回の大統領指令は、パキスタンの深刻な状況を踏まえ、9日間の訓練期間しか認めていなかった。
117日間というのは、航空中隊又は航空大隊クラスの大部隊に、一般的な訓練を実施するために必要な期間である。
また、今回の事例において「助っ人」部隊は、カンザス州オラセ所在のCH-47D大型ヘリコプター部隊である第158航空連隊第7大隊B中隊の派遣準備を支援して、急速展開を可能にした。
訓練項目は、移動指揮官であるWalter Bradley少佐が作成した重要任務リストに基づき、個人の共通特技訓練、操縦特技訓練、共同訓練等を織り交ぜたものであった。
任務の受領に先立ち、「助っ人」大隊は、移動部隊が最も短期間で準備ができるように、総合訓練計画を策定した。 また、その計画は、既に開始されていたB中隊の移動準備を妨げないように考慮されていた。
訓練の実施に加えて、第291連隊第2大隊は、国外における任務実施に必要な新規装備品の交付支援を実施した。
第291連隊第2大隊は、ヘリコプターの分解に必要な輸送用器材の輸送について、識別、確認及び調整を実施した。
連隊2大隊部隊により実施された訓練は、大隊の下士官により完全に計画・実行されたドアガン射撃を含んでおり、B中隊の27名の非搭乗員に当該兵器システムの操作資格を付与した。
さらに、アラスカ州フォート・ラッカーから派遣されたDES(Directorate of Evaluation and Standardization, 評価・標準化委員会)は、戦闘機動飛行に関する計画、教育及び訓練の実施について、学究的指導を行った。
291連隊2大隊は、DESと共同して、158連隊第7大隊B中隊に新しく配置された標準化組織に対し、搭乗員訓練プログラムの実施要領について、指導を行った。
その他の「助っ人」達は、新規装備品の装備、12機のチヌークの分解及びC-5輸送機による空輸準備を同時並行的に実施して、部隊を支援した。
90セット以上のエア・ウォーリア・システム及び36丁のM-240H機関銃の派遣予定機への搭載に関する調整も、291連隊2大隊により実施された。
準備期間最終日である9日目、10月20日に158飛行連隊第7大隊B中隊の234名は、所要の訓練を終了し、彼らの航空機とともにC-5輸送機に搭乗してパキスタンへ向かった。
これらの成果は、291連隊2大隊が新しい任務に適合し、障害を克服し、必要な訓練を実行する能力と、短期間での移動期間での移動を支援するという教育者魂を有していたから得られたものである。
任務を完遂できたのは、大隊所属兵士全員が、以下の指揮官の統率方針具現に向けて努力を指向したからである。
・常に正しいことを実行せよ
・生命に関わる任務である。基準を厳守せよ
・革新的手法をもって訓練を実施せよ
これらは示された方針の一部にしか過ぎないが、兵士に対し感化を与えるとともに、この部隊が優れたリーダーシップ、プロ意識及び有能な兵士を有していることの証でもある。いかなる任務に対しても「可能です!」と答えられる部隊、それが「助っ人」大隊なのである。
上級准尉 Rtlssell Stark は、カンザス州フォート・リレー所在の第291航空連隊(訓練支援)第2大隊に所属するCH-47D の教官パイロットであり、上級准尉4 ラッセル・スタークは、カンザス州フォート・リレー所在の第291航空連隊(訓練支援)第2大隊に所属するCH-47D の教官パイロットである。
出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2006年02月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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