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陸軍航空の情報センター

CC-RAMーMV-22Bオスプレイのオーバーホールに合わせた改修作業

Naval Aviation News 編集委員 ジェフ・ニューマン

7月10日、フィラデルフィアの新しいボーイング工場に2番目の機体が搬入され、ティルトローター機である海兵隊のMV-22Bオスプレイに存在する無数の型式を統合しようとする事業は、その重要な段階を迎えようとしている。

2012年までに生産された129機の「ブロックB」オスプレイを現在生産されている「ブロックC」に改修するという事業が新たに開始されたのは、ある独立機関による調査により、300機以上のMV-22Bに70以上の形態が存在することが、その即応性に重大な影響を与えていると指摘されたためであった。

「CC-RAM(common-configuration readiness and modernization, 形態共通化による即応性向上および近代化)」と呼ばれるこの事業は、MV-22Bの形態数を減少させ、修理用部品の種類を減少させて、補給整備の効率化を図ろうとするものである。

V-22ジョイント・プログラム・オフィスのプログラム・マネージャーであるマシュー・ケリー大佐によれば、CC-RAMを行ったオスプレイは、現状におけるブロックBとブロックCの可動率の差異から推定して、任務可能可動率が15パーセント向上すると予測されている。

2016年に実施された独立機関による調査は、MV-22Bの形態の違いは、整備所要の増加および補給品の不足をもたらし、非可動機数を増加させていると結論づけた。また、整備員たちが多数の形態のオスプレイを整備しなければならないことは、ライフ・サイクル・サポート・コストの増加を招き、MV-22Bの維持のあらゆる面に悪影響を及ぼしてると指摘した。

このような形態の違いが生じた要因には、いくつか考えられるが、10年以上におよぶ戦闘作戦を通じ、部隊からの新たな要望に応じてきたことが、主たる要因であると考えられる。

「戦闘中の部隊を支援するためにはこの能力がすぐに必要だ、と飛行部隊から言われれば、直ちになんとかしなければならないものなのです」ケリー大差は言った。

各形態には大きな差異が存在している。その違いは、気象レーダー、新型のミッション・コンピューター、アビオニクス・ボックスのような構成部品から、ワイヤー・ハーネスの位置や結線まで、多種に及んでいる。機体によっては、異なる燃料排出システムが装備されている場合もある。

「様々な影響が考えられるが、整備員が機体の中を覗いた時、明らかに他の機体と異なる部分があるというのは、かなり重要な問題です」とケリー大佐は言った。「ナットがここで、ボルトがそこというようなレベルの問題ではないのです」

このような部隊要望に基づく改修は、通常、少数の機体を対象として行われてきたが、「20機から40機の機体を違った形態にするということを何回も繰り返すうち、重大な形態管理上の問題に発展してしまったのです」とケリー大佐は語った。

形態が大きく異なる129機のブロックBの機体の改修が終了したならば、MV-22B全体を数種類の形態に集約することが可能となる。

「各飛行隊には、同じ形態の機体だけを保有させるようにしたいと考えています。MV-22Bのすべてを同じ形態することはできず、5種類から6種類の形態が残ることになりますが、各飛行隊が保有する機体が、1つの形態になるようにすれば、それだけでも相当な改善が期待できます」とケリー大佐は語った。

各飛行隊の整備員が1つの形態だけに対応すれば良い状態になれば、修理間に必要となる部品の予測や、補給品の管理が容易になる。

「1つの飛行隊が1つの形態の機体しか保有しない状態になれば、同じ技術資料、整備実施規定、故障探求手順、補給系統、点検用部品、工具および支援機材を使うことができるようになるのです」とケリー大佐は言った。「故障探求などのために駐屯地外に派遣される場合においても、それがどんな機体なのかを気にする必要がなくなります。手順を間違ったり、間違った工具を使用したりすることもなくなります。そして、部品が必要になった場合に、5種類の部品から適合するものを選ばなくてもよくなるのです。必要な部品は1種類に限られ、その部品は既に在庫がある状態にできるのです。支援する機体が1つの形態に固定されれば、大幅な即応性の向上が期待できるのです」

CC-RAMの事前設計作業が始まったのは、2017年8月のことであった。そして、1月24日及び7月10日にフィラデルフィアのボーイング工場に最初の2機のMV-22が搬入された。この工場には、生産ラインとCC-RAMのラインの双方が存在し、機体設計や工具・支援機材に関し、情報を共有することが可能である。

2機のオスプレイは、2機ともに同程度の時間をかけて検証され、残りのCC-RAMの実施に必要な情報を収集する計画である。最初の機体は、2019年の夏までに作業を完了する予定である。

「最初の機体の改修は、順調に進捗しています。これら2機の機体は、この種の複雑な改修を効率的に実施するためにはどうしたら良いのかを検討するのに用いられました。当初は60から70項目の技術変更が個別に存在していましたが、現在では同時に実施できるようになっています」とケリー大佐は語った。

これらの教訓は、フィラデルフィアに1月に到着する3番目のオスプレイに活用され、残りの機体の改修手順を確立し、改修期間の大幅な短縮が図られることになっている。ボーイング社の技術者たちは、各CC-RAM機の改修を約8ヶ月で行い、毎年20機を改修することを目標とし、その手順の見直しを続けている。予算と費用の状況にもよるが、約8年間で全機の改修を完了する予定である、とケリー大佐は語った。

最初の129機以外の機体については、現在のところ何の計画もないが、長期的な目標としては、残りの約200機の機体についても、同じような手法で改修を繰り返すことが考えられている。

「MV-22は、海上に展開する海兵機動展開部隊および地上に展開する飛行部隊で、さらには海軍空母の艦上輸送機(carrier onboard delivery, COD)の母機として、「あらゆる場所で使われるようになります」とケリー大佐は語った。海兵隊自身を支援するのが我々の任務であり、海軍が必要としているのは艦上輸送機なのですが、海軍はV-22に他の役割も求めることになると思っています」

ケリー大佐は、空中給油システムや最新テクノロジーである戦場ネットワーク接続を支援するデジタル相互運用パッケージなどを使い、展開のための揚陸・回収においてV-22を活用することに注目している。「V-22は、国防総省で最も需要の大きな航空機です。多様な能力を有する機種として、信頼性、整備性および可動性の高い航空機であることが非常に重要なのです」とケリー大佐は語った。「航空機が準備できなければ、これらの能力は、何の意味もなしません。CC-RAMは、今後30年間のV-22の即応性の基盤を形成するものなのです。ライフサイクルコストを低減しつつ、信頼性を向上させることによって、海兵隊パイロットが操縦する次世代の航空機として、この機体を維持することが必要なのです」

                               

出典:Tester, dcmilitary.com 2018年10月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    最新型の機体である陸上自衛隊用オスプレイは改修不要ですが、他の形態が整理・統合されることにより、部品の補給が容易になる可能性はあると思います。