米海兵隊の航空整備: Iレベル整備の進化
【要約】
命 題
国際情勢の変化、予算環境の悪化、兵力構成の不均衡及び運用構想の進化を踏まえ、戦士を支援できる体制を維持するための新たな対応が求められている。
考 察
既存機を維持しながら先端技術を有する新機種を導入しなければならないという状況は、現在のMALS(米海兵隊航空野整備部隊)を再評価する機会を与えてくれている。 現在、米海兵隊の航空機は、3つの整備レベルを基礎として整備が実施されている。 海兵航空は、高い性能と信頼性を有する新機種を運用し、整備手順にコンピューター・テクノロジーを導入したことから、その20世紀の航空整備哲学を21世紀の新技術を支えられるものに修正せざるを得ない状況に置かれている。
MV-22オスプレイ及びジョイント・ストライク・ファイターの導入は、未来の整備が誰によっていかに遂行されるべきなのかを再検討する契機となるであろう。 より優れた整備要領を創造するための重要な鍵は、航空機を任務遂行可能状態に維持するために必要な適切な対応、適切な部品、適切な整備員及び適切な能力をもたらす戦略の創造にある。 既存機と新型機を共に良好に維持・整備するためには、現在の整備支援「体制」の問題点を見極め、更に効率的かつ効果的な整備実施要領を確立する必要がある。
現在のMALSの編成には、改善の余地があるのが明らかである。 アウトソーシング整備の促進に加え、整備段階を削減することは、効果的かつ効率的な整備を促進して航空兵站が有する問題点の改善と関連するインフラコストの削減に有効な対策であると考えられる。
結論又は提言
海軍航空の潜在能力を最大限に引き出し、21世紀の航空機を整備できるようになるためには、MALSの組織を再構成し、部隊整備に対する支援をより高いレベルで実施できるようにすることが必要である。 このためには、現在、Iレベルで行っている整備を、その内容に応じて、OレベルまたはDレベル、あるいは政府と民間企業が協力して行うアウトソーシング整備へと移管する必要がある。この改善により、より高い即応性、効率性及び有効性を有する航空整備構想を確立できるであろう。
出典:USMC Aviation Maintenance: Keeping Pace With I-Level Maintenance 2000年01月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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4件のコメント
米海兵隊は、陸自と同様の3段階の整備体系となっていますが、米陸軍と同様の2段階にすべきという議論もあるようです。
現役です、もっともな意見だと思います。
意見ですが、本文下から5行目『Dレベル及び…』は『Dレベルを…』に修正すべきかと思います。
ご指摘ありがとうございます。
この部分の原文は、”This can be accomplished through the transfer of I-level maintenance functions to the O-level, the D-level, and/or the outsourcing of maintenance functions to government/civilian industry. “です。「このためには、Iレベル整備をOレベル、Dレベル及び政府又は民間企業のアウトソーシング整備に移管する必要がある。」という私の訳は、誤訳に近いくらい理解困難なものでした。申し訳ありません。
バーンズ少佐の論文の本文の結論には、”To completely implement two-level maintenance (O to D) is to cut away the I-level Marine and subsequently rely solely on contractor-supported maintenance. “とあり、「Iレベルをなくして、その機能を(すべてOレベルに変更するのではなく)、内容に応じて(Dレベルだけではなく)企業にも割り振る」ことを考えているようです。私は、MALSを研修させていただいた経験があるのですが、現在のMALSの機能には、例えば、ピッチ・コントロール・ロッドのような部品を「製造」することも含まれています。恐らくバーンズ少佐は、そういったものは、(もちろんOレベルではなく)Dレベルに割り振るか、あるいはさらに進んで企業の支援を受けるべきだ、と考えているのではないかと思います。
ということで、この部分は「このためには、現在、Iレベルで行っている整備を、その内容に応じて、OレベルまたはDレベル、あるいは政府と民間企業が協力して行うアウトソーシング整備へと移管する必要がある。」に修正させていただきました。
今後も、どうぞよろしくお願いいたします。
私の理解も不十分でしたが、修正していただいた後の文を見て理解できました。
今後もよろしくお願いいたします。