AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

AMSA(航空任務システム及びアーキテクチャ)プロジェクト・オフィス

-兵士ファーストを継続するために

大佐 ジョナサン・フレイジャー、軍属 ジョアンナ・ライト

2019年5月、アラバマ州レッドストーン工廠において、Degraded Visual Environment System(悪視程環境システム)の開発試験飛行が実施された。

AMSA(Aviation Mission Systems & Architecture Project Office, 航空任務システム及びアーキテクチャ)プロジェクト・オフィスの唯一の存在理由は、陸軍航空全体を支援することである。それは、この組織が何であるのかという疑問に答えるものであるが、AMSAプロジェクト・オフィスの存在価値と、その戦闘航空旅団(Combat Aviation Brigade)、陸軍航空(Army Aviation)およびその兵士たち(Soldiers)に対する支援活動を説明するものとしては不十分である。AMSAが導入した装備は、現在および将来のパイロット、整備員および指揮官たちに供給され、回転翼、固定翼および無人航空システムの任務および整備の遂行能力向上に寄与しているのである。

任務用ソフトウェア、暗号化可能な無線機、航空管制装置、工具および計測器具セットおよび将来型先進操縦システムは、すべての陸軍機のアーキテクチャ・バックボーン(骨格構造)を支えている。AMSAチームは、航空旅団担当のTRADOC装備マネージャー(TRADOC Capability Manager)と常に連携し、その要求に応じた装備の導入を図っている。4つのプロダクト・オフィスと49の異なるプロダクト・ラインで構成されるAMSAは、兵士たちが戦場で生き残り、整備し、通信し、計画し、そして実行できるようにするために不可欠な組織となっている。さらに、我々が支援する航空企業と同様に、組織全体としての近代化ならびに妥当性、適応性および生存性の実現に努めている。

AGSE(Aviation Ground Support Equipment, 航空地上支援器材)プロダクト・オフィス-重量物の吊り上げ

軍属 サム・ラム、AGSE製品部副部長
ワシントン州ジョイント・ベース・ルイス=マコードにおいて、第16戦闘航空旅団の兵士によって操作されるSCAMPⅡ

AGSEは、SCAMP Ⅱ(Self-Propelled Crane, Aircraft Maintenance and Positioning Increment II Expeditionary Crane, 航空整備および派遣用自走式クレーン)の全規模生産開始について、航空およびマイルストーン決定権者であるプログラム・エクゼクティブ・オフィサーのトーマス・トッド中将の承認を得た。AGSEチームは、プログラムのスケジュールおよびコストを適切に管理していることで定評がある。2019年7月29日、レッドストーン工廠の陸軍契約コマンド(Army Contracting Command)は、スパイダークレーン・コム社(Spyder- Crane.com)と96台のSCAMPⅡシステムの製造・納入に関する830万ドルの契約を締結した。SCAMPⅡの装備化は、2020年第2四半期に開始される。

SCAMPⅡの主要な使用目的は、航空機の整備作業における主要構成部品の取り外しおよび交換を支援することである。それは、航空機の改修、派遣先での整備、海外派遣、生地における運用などのため、空輸が可能なように設計されている。

2019年3月、AGSEは、2個セットのPSTS(Pitot Static Test Sets, ピトー・スタティック・テスト・セット)および4個セットのPSTS改修キットを試験品として調達した。これらの試験品は、耐環境性試験、MWO(Modification Work Order, 航空機等改造指令書”, 航空機等改造指令書)の起案、ならびに整備および調整要領の検証に用いられている。

PSTSには、今後、超小型回路、プロセッサ・コントローラー、通信回路カードなどの改修が行われる予定である。2019年7月には、217個セットの新しいPSTSおよび579個セットのMWOキットの調達についての契約を締結した。新しいPSTSの調達は、保有基準(Basis of Issue Plan)の増加による器材の不足を解決することになる。MWOキットは、従来のPSTSシステムに適用されるものである。新しいPSTSの部隊への供給は、2020年第2四半期から開始される。

A2E2(Aviation Architecture & Environment Exploitation, 航空アーキテクチャおよび環境開発)プロダクト・オフィス-陸軍の将来における航空アーキテクチャの鍵

軍属 ショーン・ブレシャム, A2E2プロダクト・マネージャー
2019年3月、バージニア州フォート・ユースティスにおいて、HH-60Mに搭載された悪視程環境システムのLiDAR(Light
Detection and Ranging, 光検出と測距)およびLong Wave
Infrared Camera(長波長赤外線カメラ)

A2E2プロダクト・オフィスは、陸軍航空に新しい技術の取り込める柔軟性と適応性を備えた航空機アーキテクチャを実現できる環境を提供するため、革新的な戦略を実行している。

AMCS(Aviation Mission Common Server, 航空任務共通サーバー)戦略は、進化する脅威と航空化部隊の将来の任務要求に適合するための処理能力の改善を実現する手段を提供する。A2E2は、改修可能なオープン・システム・アーキテクチャ(Open System Architecture)を開発し、任務適合性および陸軍航空機全体での共通性を実現することに焦点を置いている。2021年度には、AMCS能力の展示が実施される予定である。モジュラー・オープン・システム・アプロ―チを活用したAMCSは、複数のノード間において分散コンピューティングが可能な分権的ミッション・プロセス・アーキテクチャを供給し、DVE(egraded visual environment, 悪視程環境)下での飛行を可能にする環境対応システムのホストとして機能する。AMCSは、陸軍航空の回転翼機用として、将来航空コンピューティング環境(Future Airborne Computing Environment)において複数のアプリケーションを使用するために必要な、安定したマルチコア処理能力を備えた次世代のハードウェアおよびソフトウェアを提供する。再構成可能なオープン・システム・アーキテクチャは、現在および将来の航空機を支援するために必要な共通性、相互運用性およびアップグレードの可能性をもたらす。このアーキテクチャは、他の任務用アプリケーションとの統合に必要な追加処理を可能にする拡張性を提供する。加えて、AMCSは、DVE環境下での運用を支援するための視覚的補助目標の生成に必要なセンサー情報など、複数のデータベース入力の融合を支援する。AMCSの包括的戦略は、陸軍に現在および将来の任務処理要求にモジュール性と柔軟性を提供する弾性的アーキテクチャを提供し、その発展を支えることになるであろう。

ACMC(Aerial Communications & Mission Command, 航空通信および任務コマンド )ー近代化のための努力

中佐 タイ・ラストラプス, ACMCプロダクト・マネージャー

ACMCプロダクト・オフィスは、現在、陸軍のネットワーク化および将来型回転翼(Future Vertical Lift)の機能横断型チーム(Cross Functional Team)の能力向上に取り組んでいる。現在のACMCプログラムは、航空通信(Aviation Communications)、計画立案(Mission Planning)、およびBFT(Blue Force Tracking, 友軍位置情報)で構成されている。

陸軍航空通信に関しては、マルチチャンネル、暗号化およびソフトウェア定義の無線機に取り組んでおり、統合ネットワーク運用(Unified Network Operations)、空地連携(Air/Ground Convergence)および統合相互運用性(Joint Interoperability)を直接支援する新たな通信手段の迅速な導入を図っている。現在、取り組んでいる事業には、新世代のマルチバンドVHF/UHF(Multiband VHF/UHF)、空地ネットワーク無線機(Air-Ground Networking Radio)の統合、新世代衛星通信モバイル・ユーザー・オブジェクティブ・システム(Mobile User Objective System)、ヘイブ・クイック(HAVE QUICK)の後継機であるサターン(SATURN)、および新たな広域バンドネットワーク形態であるトレリスウェア社のスケーラブルMANET(mobile ad hoc network, モバイル・アドホック・ネットワーク)の導入などがある。

また、ネットワークの機能横断型チームを支援するため、陸軍航空におけるBFT-2の装備化を図っている。このシステムは、近リアルタイムの見通し外(Beyond-Line-Of-Sight)での状況把握(Situational Awareness)および指揮運用(Command and Control)メッセージや、包括的空対地共通戦術画像などの能力を提供する。陸軍航空は、指揮官の状況把握を改善し、技術的格差を減少させる機会を探索するとともに、低い迎撃率および検知率ならびに衛星使用不能環境における作戦などの懸案事項を払拭しようとしている。

航空任務計画システム(Aviation Mission Planning System)事業は、航空任務及び航空活動計画、経路の選定、危険見積ならびに任務データの機体への伝送の自動化を図ろうとするものである。タブレットなどのハードウェアに依存しないデバイス上で動作するアプリケーションであるモバイル作戦起案ソフトウェア(Mobile Mission Planning Software)の改善と並んで、最も重視されているのは、任務コマンド共通作戦環境能力の低下(Mission Command Common Operating Environment Capability Drops)に伴い、空地作戦(Air to Ground Operations,)、マルチドメイン作戦(Multi Domain Operations)、計画立案及び実行に必要な空域把握(Airspace Awareness)が困難になった場合における、組織力の同時発揮である。

A3S(Assured Airspace Access Systems, 空域アクセス保証システム)プロダクト・オフィスー航法および監視

軍属 パトリック・ライデン, A3S航法プロダクト・マネージャー

A3Sプロダクト・オフィスは、陸軍のパイロット及び整備員をより適切に支援するためのA-PNT(Assured-Position, Navigation, and Timing, 位置、航法および時期の保証)の実施に関し、複数の取り組みを行っている。これらの取り組みには、GPS(Global Positioning System, 全地球測位システム)の改善、M-Code(Military code, 軍事コード)対応GPS受信器の統合改善および対ジャミング・アンテナの開発・認定などがある。下記のプログラムに対するA-PNTの改善は、これらの新しい能力のすべての機種への供給が完了するまで、今後数年間は、継続される。

DGNS(Doppler GPS Navigation Set, ドップラーGPS航法セット)AN/ASN-128Dは、GPSとドップラー(Doppler)航法機能の統合を実現する。DGNSは、IFR(Instrument Flight Rules, 計器飛行方式)に準拠しており、デジタル航空飛行情報ファイル(Digital Aeronautical Flight Information File)のデータベースを用いた経路間、端末地および非精密進入における航法の補助手段として利用することが承認されている。A3Sは、DGNSおよびADS-B Out(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast Out, 放送型自動従属監視-自動送信) 位置情報を航法の主要手段として使用することについても承認を得ている。A-PNTに関する取り組みには、回復およびソフトウェア保証改修(Resiliency and Software Assurance Modification)の実施、コンピューター・ディスプレイ・ユニットの改修ならびにUH-60Lブラック・ホークへの搭載および装備化などがある。

3軍共通事業であるEGI(Embedded GPS Inertial, 一体型GPS慣性航法)は、MILSTD-1553デジタル・データ・バスを装備する航空機に対し、GPSと慣性を組み合わせた航法能力を提供するものである。EGIは、また、航空機の火器管制コンピューターまたは統合システム・プロセッサに対し、正確な位置、速度および高度情報を提供して、目標情報およびセンサーの事前指示の生成を可能にする。現行のEGIは、IFRに準拠しており、そのGPSを航法の補助手段として用いることが認められている。A3Sは、現在、広域拡大システムの精密位置情報または標準位置情報を使用した航法、ADS-B OutおよびLPVアプローチの主要な手段としてGPSを用いることに関し、EAGLE(Enhanced Aviation Global Air Traffic Management LPV(Localizer Performance with Vertical guidance )EGI, 改良型航空全地球航空管制LPV EGI) フェーズⅡの取り組みを完了しつつある。

MAGNA(Multi-platform Anti-jam GPS Navigation Antenna, マルチプラットフォーム耐妨害型GPS航法アンテナ)は、制御された受信パターンアンテナ(Controlled Reception Pattern Antenna)およびアンテナ電子機器で構成される小型の適応型GPS耐妨害型アンテナシステムである。MAGNAは、GPS妨害電波の影響を低減し、GPSの受信が困難な環境においても、戦闘員がGPSから供給される位置、航法および時期情報へのアクセスを継続できるようにする。MAGNAの開発認定プログラム、試作品の生産および機体への搭載は、本年初頭から開始される。

敵味方識別

共通トランスポンダ(Common Transponder)プログラムは、すべての戦術回転翼機、グレイ・イーグル無人航空機システムおよび一部の固定翼機用として、ファミリー化されたトランスポンダを整備する事業である。AN/APX-123は、AN/APX-118にモード5の敵味方識別(Identification Friend or Foe)能力を追加した改良型である。また、AN/APX-123Aは、AN/APX-123のシグナル・プロセッサおよびモード4/5暗号化アセンブリの部品枯渇に対応した派生型である。陸軍は、現在、モード5のFOC(Full Operational Capability, 完全運用能力)要求を満たすため、AN/APX-123およびAN/APX-123A双方の装備化を進めている。7機種について、モード5のFOCが完了しており、2020年のモード5義務化までにすべての機種への拡大を完了する予定である。AN/APX-123(V)のADS-B Out機能を有効にするためには、機体側の任務飛行プログラムソフトウェアのアップデートが必要である。ADS-B Out能力が実装されると、航空管制サービス(Air Traffic Services)に対し、位置、高度、方向および速度などのデータを伴った応答を行うことが可能となる。ACMCは、また、サイバーセキュリティ、寸法、重量、出力および部品枯渇に対抗した、より小型でより効果的なトランスポンダーを追求しつつ、増大するグローバルな航空管制要求を支援し、陸軍の次世代トランスポンダーが従来のシステムと互換性を保ち、かつ、将来型回転翼機(Future Vertical Lift)の要求も満たそうとしている。

今後の展望

AMSAプロジェクト・オフィスは、現在および将来の陸軍航空の機体に革新的かつ最先端の技術を維持させることにより、兵士ファーストの継続に貢献し続ける。これらの技術および継続的な近代化努力により、陸軍のパイロット及び整備員による効果的、効率的および致命的な任務の遂行が可能となる。今後も、陸軍および軍事産業基盤との協力を継続し、装備品の設計、開発、供給および支援を行って、即応体制を最大限に維持し、新たな機能の革新的かつ経済的な活用を図ってゆく。

大佐 ジョナサン・フレイジャーは、航空プログラム・エクゼクティブ事務局の航空システム・プロジェクト・マネージャである。軍属 ジョアンナ・ライトは、その支援請負業者である。両名とも、アラバマ州レッドストーン工廠で勤務している。

                               

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2019年10月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

アクセス回数:190

1件のコメント

  1. 管理人 より:

    米陸軍航空が進めている、各機種に共通する能力向上施策が見えてくる記事です。
    個々の事業についての知識を持ち合わせていませんので、翻訳に不適切な部分があるかも知れません。
    お気づきの点がありましたら、ご指摘ください。