AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター


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将来型機および既存機用の航空支援器材の近代化

大佐 マーカス・ゲングラー

航空支援器材要求事項決定局(Aviation Enablers Requirements Determination Directorate, AE-RDD)は、FVL機能横断型チーム(Future Vertical Lift – Cross Functional Team, FVL-CFT)と協力しつつ、陸軍航空の将来型機の支援器材の要求事項策定および既存機の支援器材の近代化を推進している。これらの器材の多くは、FVLに適用する前に、UH-60、CH-47、およびAH-64において試験・導入が行われることになっている。以下、航空支援器材要求事項決定局の現時点における近代化への取り組みの一端を紹介する。

悪視程環境(Degraded Visual Environment, DVE)

悪視程環境(Degraded Visual Environment, DVE)

大規模戦闘作戦(Large-Scale Combat Operations, LSCO)では、「夜を支配」するだけでは不十分であり、「環境を支配」する必要がある。DVEレベル1は、現在のセンサー技術を利用し、地形、障害、危険、および脅威を検出する段階である。この段階においては、視点追従型ヘルメット・ディスプレイに指示表示や3D記号を投影することにより、搭乗員が前方に視線を向けたままで全般的な状況をリアル・タイムに把握することが可能となる。一方、一部のHH-60Mおよび第160特殊作戦部隊の機体を用いたDVE誘導システム(Degraded Visual Environment Pilotage System, DVEPS)の部分的評価も実施されている。また、エア・ウォーリア・プロダクト・マネージャー(PdM Air Warrior)のHDTS(Helmet Display and Tracking System, HDTS)に類似した視点追従型ヘルメット搭載ディスプレイの導入が開始される予定である。これらの器材を組み合わせた状態での評価および試験が完了したならば、要求事項を確定し、FVL機だけではなく、既存機についても、その一部への導入を開始したいと考えている。

アメリカ陸軍のシステム共通運用基盤(Common Operating Environment, COE)への陸軍航空の統合

将来の戦場においては、空中部隊と地上部隊の間の状況把握および目標検知・射撃(sensor to shooter, S2S)のための情報交換の充実・向上が不可欠になる。マルチドメイン作戦(Multi- Domain Operations, MDO)の一部の段階においては、複合的かつ多重構造のネットワークおよび戦術的なエッジコンピューティング(edge computing)器材に依存したデータセントリック(データ中心)な作戦行動が主体となる。システム共通運用基盤は、現時点ではそれぞれが独立して運用されているAMPS(Aviation Mission Planning Station, 航空任務計画ステーション)、TAIS(Tactical Airspace Information System, 戦術空域情報システム)、CPOF(Command Post of the Future, 将来型指揮所)、AMDWS(Air and Missile Defense Workstation, 防空・ミサイル防衛端末装置)、AFATDS(Advanced Field Artillery Tactical Data System, 先進野戦砲兵戦術情報システム)などの戦闘指揮システム間の調整を図り、共通のコンピューティング・アーキテクチャおよびデータの標準化により、すべての階層でのデジタル情報交換を可能にすることを目指している。また、将来のコックピットは、空地ネットワーク無線機(Air Ground Network Radio, AGNR)および航空ネット・ウォーリア(Nett Warrior – Aviation, NW-A)のタブレット端末により近代化され、ネットワーク中心環境の促進が図られる。

悪視程環境(Degraded Visual Environment, DVE)
航空ネット・ウォーリア(Nett Warrior–Aviation, NW-A)の陸軍システム共通運用基盤への統合
航空ネット・ウォーリア(Nett Warrior–Aviation, NW-A)

空地ネットワーク無線機(Air Ground Network Radio, AGNR)

空地ネットワーク無線機は、航空機への導入も予定されている多重チャンネルの携帯型ソフトウエア無線機である。老朽化したAN/ARC-201無線機(SINCGARS/FM, FM地上・空中単一チャンネル無線システム)の後継機であるこの無線機は、2つのモジュールを更新することによって、4チャネル機能を実現する。また、マルチバンドおよびネットワーク能力も有しており、最新の衛星通信(モバイル・ユーザー・オブジェクティブ・システム, Mobile User Objective System, MUOS)に適合した環境を機体にもたらす。戦術的拡張MANET(Tactical Scalable mobile ad hoc network, TSM)波形を利用するこの可搬型無線機は、航空機と機動に任ずる被支援部隊との相互間での音声およびデータ通信を可能にする。UH-60への導入は2023年度に、部隊への配備は2024年度に開始される予定である。

航空ネット・ウォーリア(Nett Warrior–Aviation, NW-A)

統合および諸職種連合戦闘指揮システムとの相互運用性を可能にするモバイル/ハンドヘルド・コンピューターである航空ネット・ウォーリア機器は、民生品(Commercial Off-The-Shelf, COTS)を活用したワイヤレス・タブレットである。また、次世代の電子フライトバッグ(electronic flight bag, EFB)の構成品でもあり、航空/地上アンドロイド戦術強襲キット(Android Tactical Assault Kit, ATAK)を活用して、作戦の運用構想を地上戦術部隊の末端兵士まで共有可能にすることを基本設計概念としている。加えて、電子フライトバック機能、WiFi / VPN認証機能、および航空管制および気象アドバイザリ用の放送型自動従属監視(Automatic Dependent Surveillance -Broadcast, ADS-B )機能なども有している。これらの機器は、現代の陸軍パイロットにとって、主要な計画立案ツールになることが想定されている。電子フライトバックは既に装備化が進められており、航空ネット・ウォーリアは2021年度後半から装備化が開始される。

搭乗員戦闘装具(Aircrew Combat Equipment, ACE)

搭乗員戦闘装具(Aircrew Combat Equipment, ACE)

搭乗員戦闘装具は、次世代の搭乗員用サバイバル・ベストであり、空中および地上における防弾ベストとして不可欠なものとなっている。地上戦闘員用のモジュール式多層ベスト(Modular Scalable Vest ,MSV)の派生型であるこのベストは、取り外し可能なカマーバンド型の層状システムを採用することにより、快適性および耐弾性を向上させつつ重量の軽減が図られている。このベストの基本重量は6.81ポンド(約3.1キログラム)であり、現在のベストに比べて約51%の軽量化を実現している。2021年4月に実用試験が計画されており、最初の部隊配備は2021年度の第4四半期を予定している。

航空兵站および航空管制支援

装軌式の野外整備用クレーンである航空整備および派遣用自走式クレーン(Self-Propelled Crane Aviation Maintenance and Positioning, SCAMP)バージョンⅡ、航空地上動力装置(Aviation Ground Power Unit, AGPU)バージョン1.1、Webベースの戦術空域統合システム(Tactical Airspace Integration System, TAIS)空域ワークステーション(Airspace Work Station, AWS)などの新型航空支援器材も、現在および将来の航空部隊の近代化に大きな役割を果たすことになる。航空支援器材要求事項決定局は、部隊の航空支援器材をそれが支援対象とする世界水準の機体に見合ったものにすることで、現代の航空戦闘員のニーズに応え続けている。

マーカス・ゲングラー大佐は、アラバマ州フォートラッカーの航空能力開発統合局航空支援器材要求事項決定局の局長である。本記事の執筆にあたっては、本局の各部長である クリス・ラマー少佐、MAJ Chris Lamar、ショーン・ジョンソン上級准尉4、ジョン・トレアルバ少佐、アンソニー・ブーハー少佐、およびエディー・スパイビー氏から多大なる協力を得た。

                               

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2021年02月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    Aviation Enablersは、「航空支援器材」と訳しています。
    「航空機搭載機器」も含んだ概念なので、ちょっと違う気がしています。
    他に適切な訳語があれば、教えて下さい。