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陸軍航空の情報センター

50年前の陸軍航空における女性兵士

第1章 戦闘への道

マーク・アルバートソン

軍隊に占める女性の割合は1972年には2%だったが、1992年には5倍以上の11%まで増加した。ただし、すべての軍種において同じように増加したわけではない。1992年の空軍の女性兵士は13%を占めていたのに対し、海兵隊の女性兵士の割合は5%程度に留まっていた。

2021年12月12日、ドイツのグラーフェンヴェーア所在の訓練場で有刺鉄線の下を匍匐前進するアメリカ陸軍大尉ヴァレリー・ノストラント。かつてこのような訓練は、女性にとって品位に欠けるものだと考えられていた。

軍隊が女性を受け入れる発端となったのは、1972年の出来事であった (※1)。

1972年、軍に対する信頼は危機に直面していた。アメリカ国民のベトナム戦争に対する不信が募り、それに対する支持が大幅に低下していたからである。

その結果、多くの軍人が継続任用を拒絶し、あるいは除隊していった。さらに、入隊希望者の数も激減した。徴兵者数が削減されると、軍隊、特に陸軍と海兵隊には大規模な改革が求められるようになった。このことが軍隊への女性参加の機運を高めたのである(※2)。

カーチスP-40ウォーホークのコックピットに座るジャクリーン・コクラン。コクランは、1939年にエレノア・ルーズベルトに手紙を書き、男性パイロットが戦闘任務に就けるように、女性パイロットを非戦闘航空任務に就かせるように訴えた。

その頃、女性が戦闘任務に従事することは法律で禁じられていた。このため、女性に非戦闘任務を割り当てることで、より多くの男性を戦闘任務に割り当て、肉体的に負担のかからない任務から外すことが考えられた。この考え方は、第2時世界大戦中の1939年にジャクリーン・コクランによるエレノア・ルーズベルトへの女性空軍パイロット・プログラム(Women Airforce Service Pilots program)の提案を思い起こさせる。

一方、徴兵制度の維持も検討されたが、それを支持する国民が激減する中、状況をさらに悪化させる危険性があった。

ただし、先に述べたとおり、女性の戦闘任務への従事には法的な問題も存在していた。

議会図書館議会調査局(Library of Congress, Congressional Re-search Service)のエレン・C・コリアーによる調査「軍隊における女性について」には、当時の状況が次のように述べられている。「男性のみの徴兵登録を義務付ける現行法と、憲法の男女平等修正案は、結局同じ問題に行き着く。米国では、軍隊における女性の割合を増やして戦闘に送り込むことが、将来の国家安全保障を危険にさらすのか、それとも強化するのかという根本的な問題について、大きく意見が分かれている。国防において女性は平等な機会と責任を持つべきなのか、それとも役割や身体の違い、そして将来の世代の保護のため戦闘禁止の継続を正当化すべきなのか?」1

1979年、国防総省は、海軍と空軍の戦闘艦艇や航空機での女性の勤務を禁じる法律の廃止を勧告し、1990年9月までに223,154名の女性が軍隊に入隊した。その内訳は、陸軍83,162名、米空軍73,581名、海軍57,102名、海兵隊9,319名であった。

法的な経緯は次のとおりである。
・1948年、軍隊統合法(Armed Forces Integration Act)により軍隊における女性の永久的な地位を認めた。
・1967年、公法第90~130により女性兵士数を増員。それまで2パーセントだった女性入隊者数の上限を撤廃した。
・1969年、陸軍、海軍、空軍の女性のための予備役将校訓練課程(ROTC)の設立を承認。1972年に開設された。
・1973年、フロンティエロ対リチャードソン事件(411 US 677)の最高裁判所判決により、女性軍人の男性配偶者は、男性軍人の女性配偶者と同様に「扶養家族」としての地位を与えられた。
・1974年、公法第93-106により、陸軍士官学校、海軍士官学校、空軍士官学校への女性の入学が認められた。(商船学校や沿岸警備隊学校への入学はすでに認められていた。)
・1978年には、女性への依存度をさらに高める2つの出来事があった。公法第95-485により独立した組織としての女性陸軍部隊(Women’s Army Corps)が廃止され、米国法典第10編第6015条が更新されることにより、女性は海軍艦艇での勤務が認められ、戦闘地域に派遣されない限り、恒久的に艦艇に配属されるようになった。また、海軍以外の船舶における6か月間の臨時任務も認められた。
・1980年、公法第96-513により、男性と女性の士官は平等に扱われるべきであることが定められた。
・1982年、沿岸警備隊では、戦闘状況下を除き、女性が男性と同等の任務を遂行できるようになった。

Army Aviation Magazineのオンライン版 (armyaviationmagazine.com) 4月号の「Looking Back」コラムでは、男子出生数の減少の問題を取り上げるほか、この問題の他国との比較も紹介する。

脚注:
※1 “Summary,” Women in the Armed Forces, Congressional Research Service Issue Brief, by Ellen C. Collier, November 20, 1991, 3
※2 “50 Years Ago – Women in Army Aviation: The Beginning,” Army Aviation, Vol. 73, No. 1, Army Aviation Publications, Inc., Monroe, Ct (CT)., January 31, 2024, 52-53

編集者注:マーク・アルバートソンは受賞歴のある歴史家であり、ARMY AVIATION 誌の寄稿編集者です。

                               

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2024年04月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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