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陸軍航空の情報センター


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航空医官に聞く:女性パイロットの健康問題

少佐(医官)ローラ・S・ボール

質問:女性パイロットに関し、飛行承認が得られている避妊方法はありますか? また、航空身体検査に、女性特有の審査基準はあるのでしょうか?

航空医官:アメリカでは、妊娠の45%が意図しないものとなっています。軍の中では、予定外妊娠の件数が、さらに多くなっています。軍隊には、妊娠に伴う職務遂行上の制約が存在するため、女性にとって、避妊法は重要な問題です。例えば、妊娠中の女性は、戦闘地域への派遣およびそこでの勤務ができないことになっています。航空に関していえば、操縦課程への入校は、出産後6週間が経過し、体力が完全に回復するまでの間、認められていません。一方、既に資格を有する搭乗員の場合は、たとえ妊娠しても、産婦人科医の承認があれば、搭乗勤務を継続できます。ただし、制約事項があります。航空医学方針通知(Aeromedical Policy Letter, APL)によれば、妊娠12週~25週の間に飛行が許可されるのは、「多発機で、射出座席を装備しておらず、複数の操縦士が搭乗し、キャビン内高度が10,000フィート以下に保たれる固定翼機」に限定されています。このため、女性ヘリコプター・パイロットの場合は、妊娠中および出産後完全に体力が回復するまでの間、フライト・シミュレーターしか操縦することができないことになります。なお、航空身体検査では、通常の妊娠である限り、単なる情報以上のものとして扱われることはありません(不適格とは判定されません)。

避妊方法について

避妊のためには、多くの手段があります。経口避妊薬および避妊パッチ、有効期間12年以下の子宮内避妊器具、有効期間5年以下の埋め込み型避妊器具、有効期間約3か月の注射薬などです。また、コンドーム、ペッサリーおよび避妊スポンジなどのバリア法、ならびに女性の卵管結さく術や男性の精管切除などの外科的手法もあります。また、腟外射精、基礎体温法(別名:リズム法)および禁欲なども行われています。それぞれの避妊手段の効果には差があります。また、すべての手段には、受胎能力および月経などに関し、何らかの副作用があります。

避妊方法の選択にあたっては、将来の妊娠計画、全般的健康状態、避妊効果、ホルモン剤の使用の有無、および実施の容易性などを考慮すべきです。例えば、1、2年以内に妊娠する計画のある女性は、子宮内避妊器具を選択するべきではありません。しかしながら、妊娠を計画しておらず、簡単な方法を望んでいるのであれば、子宮内避妊器具も適切な選択肢のひとつであると言えるでしょう。海外に派遣されたり、頻繁に野外演習に参加する女性であれば、避妊のためだけでなく、便宜上および個人衛生上の理由から、月経を停止または減少させる方法を選択した方が良い場合もあるでしょう。避妊には、ニキビ、月経前症候群、月経片頭痛および子宮内膜症による骨盤痛の治療、ならびに宮内膜がん、卵巣がんおよび結腸直腸がんのリスク低下というような相乗効果もあります。どの避妊法があなたに最も適しているかは、かかりつけ医または産婦人科医に相談するべきです。なお、搭乗配置についている女性であっても、ホルモンを含む避妊薬の使用は禁止されておらず、航空身体検査においても、単なる情報としてのみ扱われることになっています。

女性のみを対象とした検診について

航空医学方針通知には、パップテストなどの子宮頸がん検診に関する規定がありません。しかしながら、航空医療関係者である我々は、プライマリー・ケアの観点から、アメリカ合衆国予防医学専門委員会(US Preventative Services Task Force, USPSTF)によって定められたガイドラインを遵守しています。子宮頸がん検診は、子宮頚部から得られた細胞を病理医が顕微鏡で検査することにより行われます。この検診の結果は、航空身体検査の一部として判定の対象となります。アメリカ合衆国予防医学専門委員会は、21〜29歳の女性は3年ごとに子宮頸がん検診を受け、30〜65歳の女性は5年ごとにヒトパピローマウイルス(HumanPapillomaVirus, HPV)検査を受けることを推奨しています。
ヒトパピローマウイルス感染症は、ごく一般的な病気です。アメリカ疾病予防管理センターによれば、誰もが人生に1度はこの病気にかかるとされています。ヒトパピローマウイルスによる子宮頸部感染症は、通常、症状がなく、合併症を併発することもなく、医学的治療を行わなくても回復してしまいます。しかしながら、このウイルスへの感染が放置されると、子宮頸がんの原因となる可能性があるのです。ほとんどすべての子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因であると考えられています。子宮頸がん検診で異常が発見された場合、その異常状態の類別に応じた手順または検査が必要となる場合があります。その異常の種類には、非定型扁平上皮細胞、低悪性度扁平上皮細胞上皮病変、および高悪性度扁平上皮細胞病変があります。検診でこれらの異常が発見された場合は、航空身体検査において、不適格と判定されることもあります。ただし、その場合の具体的な処置については、異常状態の類別に応じて異なります。即応性維持と飛行安全のためには、女性の健康維持が欠かせないことを忘れてはなりません。

Fly Safe!(ご安全に!)

少佐(医官)ローラ・S・ボールは、アラバマ州フォート・ラッカーのアメリカ陸軍航空医療学校に勤務する航空医官である。

ケンタッキー州兵全般支援航空隊で、女性で初めての中隊長になったジェシカ・サープ大尉(撮影:アメリカ陸軍州兵デービッド・コックス軍曹)(写真は、訳者が追加したもので、本文の内容とは関係がありません。)
                               

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2020年07月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    防衛省の基準(航空身体検査に関する訓令)によると、地上で勤務する管制官を除く航空業務従事者に対する航空身体検査では、妊娠は不合格疾患等に該当すると規定されており、妊娠中の操縦は許可されていません。参考:妊娠·出産に関わる飛行停止基準とその考え方