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米軍の教範体系(陸軍・統合・海兵隊)

【2026年9月23日更新】読者の方からのご要望を受けて、統合教範(JP)と海兵隊の教範についての説明を加え、全体を現在の体系に合わせて書き改めました。

本サイトのカテゴリー「Reference」には、主にアメリカ陸軍の教範類を掲載しています。ここでは、アメリカ陸軍、統合、海兵隊の教範の体系を紹介します。

陸軍の教範

アメリカ陸軍の教範(doctrine)は、次の3種類です。優先順位は、ADP、FM、ATPの順です。

区分内容承認権者
ADP(Army Doctrine Publication)陸軍の行動の基本原則。15冊。例:ADP 3-0 Operations、ADP 5-0 The Operations Process陸軍参謀総長(ADP 1、3-0、6-22、7-0の4冊)、諸兵科連合センター(CAC)司令官(その他)
FM(Field Manual)原則、戦術、手順など。ADPに記述された作戦をどう実行するかCAC司令官
ATP(Army Techniques Publication)任務を遂行するための技術(方法)。冊数の制限なし所掌機関の長(学校長など)

本サイトに多く掲載しているTC(Training Circular)やTM(Technical Manual)は、教範(doctrine)には含まれません。「教範に基づく出版物」という位置づけです。

なお、承認権者はTRADOC Regulation 25-36(2023年1月版)によります。訓練教義コマンド(TRADOC)は2025年10月に陸軍将来コマンドと統合され、変革・訓練コマンド(T2COM)になっているため、承認権者の名称は今後変わる可能性があります。

統合教範(JP)

統合教範(JP:Joint Publication)は、陸・海・空軍、海兵隊などが統合して作戦を行うための教範で、統合参謀本部が作成しています。次の3階層からなります。

区分内容承認権者
JP 1(最上位、capstone)統合教範の最上位。第1巻「Joint Warfighting」(2023年)、第2巻「The Joint Force」(2020年)の2巻統合参謀本部議長(第1巻)、J-7部長(第2巻)
基幹JP(keystone)分野ごとのシリーズの基本。JP 1-0 人事(Joint Personnel Support)、JP 2-0 情報(Joint Intelligence)、JP 3-0 作戦(Joint Campaigns and Operations)、JP 4-0 兵站(Joint Logistics)、JP 5-0 計画(Joint Planning)、JP 6-0 通信(Joint Communications)の6冊統合参謀本部の担当部長(J-7部長が議長に代わって署名)
個別分野のJP(core)各シリーズの下に置かれる教範。航空関係の例:JP 3-30 Joint Air Operations(統合航空作戦)、JP 3-09.3 Close Air Support(近接航空支援)、JP 3-52 Joint Airspace Control(統合空域統制)統合参謀本部の担当部長(J-7部長が議長に代わって署名)

JPと各軍種の教範の内容が食い違う場合は、JPが優先します。ただし、JPは「公式の助言(official advice)」と位置づけられており、あらゆる場面で指揮官の判断が最優先とされています。

このほか、統合教範ノート(JDN:Joint Doctrine Note)があります。これは新しい考え方を早く取り込むための文書で、正式な教範ではありません。

米軍の用語辞典は、JPの番号を持たない「DOD Dictionary of Military and Associated Terms」です。

JPの多くは一般に公開されていません。国防総省の共通アクセス・カード(CAC)を持つ人だけが、JEL+というサイトで閲覧できます。本サイトにJPが少ないのは、このためです。

海兵隊の教範

海兵隊の教範類は、次の4種類です。このうち、MCDPとMCWPが教範(doctrine)で、MCTPとMCRPは訓練用出版物(training publication)に分類されます。

区分内容承認権者
MCDP(Marine Corps Doctrinal Publication)海兵隊の考え方の基礎(哲学)。例:MCDP 1 Warfighting、MCDP 6 Command and Control海兵隊総司令官(署名)
MCWP(Marine Corps Warfighting Publication)全般的・基本的な作戦教範と戦術・技術・手順。例:MCWP 3-20 Aviation Operations大佐級の部長
MCTP(Marine Corps Tactical Publication)特定の分野の戦術・技術・手順。必ずいずれかのMCWPの下に置かれる。例:MCTP 3-20A Aviation Logistics大佐級の指揮官・部長
MCRP(Marine Corps Reference Publication)小部隊の指揮官や個々の海兵隊員が使う戦術・技術・手順大佐級の指揮官・部長

教範の作成は、訓練教育コマンド(TECOM)の所掌です。根拠となる規則は、MCO 5600.20S(2025年1月)です。

海兵隊の教範類のうち一般に公開されているものは、海兵隊のサイトの電子図書館(MCPEL)で入手できます。

複数の軍種で共通の教範

複数の軍種が共同で作成する教範(MTTP:Multi-Service Tactics, Techniques, and Procedures)もあります。空・陸・海・宇宙応用センター(ALSSA)が作成を取りまとめ、軍種ごとに番号が付きます。例えば、無線通信で使う簡略語(brevity code)をまとめた「Brevity」は、陸軍のATP 1-02.1であり、同時に海兵隊のMCRP 3-30B.1でもあります。陸軍では、こうした複数軍種の出版物も陸軍の教範として扱われます。

大まかに対応させると、次のようになります。

陸軍統合海兵隊
基本的な考え方・原則ADPJP 1、基幹JPMCDP
作戦の実行FM個別分野のJPMCWP
技術・手順ATP(MTTP)MCTP、MCRP

出典

           

発行:Aviation Assets 2021年6月30日

アクセス回数:5,938

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4件のコメント

  1. 武藤正美 より:

    CAC:Combined Arms Center

    1. 管理人 より:

      ありがとうございます。
      修正しました。
      今後ともよろしくお願いいたします。

  2. 匿名 より:

    いつも興味深く拝見しております。
    ぜひ統合教範(JP)についても扱われてください。

    1. 管理人 より:

      ご要望ありがとうございます。
      統合教範(JP)と海兵隊の教範について追記しました。あわせて、陸軍の教範についての記述もその後の改正に合わせて見直しました。
      今後ともよろしくお願いいたします。