2016年度航空事故の概観
有人航空機に関しては、本年度の当初の3分の2にあたある5月までの間にクラスAからCの航空事故が43件発生した。これらの事故による死亡者数は、8名であった。これらの事故のうち、6件がクラスAで10件がクラスBであり、残り27件がクラスCであった。比較のために2015年度について述べると、クラスAからCの航空事故が45件発生し、そのうち8件がクラスA(13名死亡)であり、7件がクラスB、残り30件がクラスCであった。
現時点における、10万飛行時間あたりのクラスAの飛行事故発生率は、1.16である。これは、2015年度および2014年度の1.52と比較して、良好な状態にある。
有人機クラスA
-AH-64D 当該機は、機動飛行中に地面に衝突した。墜落により、クラスAに該当する損傷が生じた。
-UH-60A 当該機は、航空機は、ローカルの訓練飛行において墜落した。4名が死亡した。
-AH-64D(NVS, 暗視装置) 当該機は、ワイヤー・ストライクにより墜落した。2名が死亡した。
-AH-64E(NVS, 暗視装置) 当該機は、ローカル訓練飛行において墜落した。2名が死亡した。
-UH-60M 当該機は、ダスト・ランディグの最中に横転し、側面を下にして墜落した。クラスAに該当する被害が報告された。
-KA350(キング・エア社製固定翼機) 当該機は、飛行中に緊急事態が発生し、エンジン出力のない状態で、開かつ地に着陸した。
無人航空機システム(UAS) においては、2016年度の当初3分の2の期間内に、15件のクラスAからCの事故が発生し、そのうち7件がクラスA、4件がクラスB、残りの4件がクラスCであった。
UASクラスA M
-MQ-1B 操作員は、1万6500フィート(5000メートル)で高度を維持できなくなり、その後、機体とのリンクが失われた。降下している状況は、地面に墜落するまでモニターされた。損傷した機体は、回収された。
-MQ-1C 操作員が機体を着陸させるようとして航行中、機体が回復できないレベルまで降下し、開かつ地に墜落した。機体は、クラスAに相当する損傷を受け、回収された。
-MQ-1B 操作員は、飛行中に高度が下がったため、滑走路に緊急GPS着陸を実施しようとしたが、機体は滑走路に接地後、自動着陸復行された。その後、システムが高度を回復できなかったため、操作員は、機体を開かつ地に誘導し、墜落させた。クラスAに相当する損傷を受けた機体が回収された。
-MQ-5B 当該機は、任務実施中に平均海面高度3054フィート(1000メートル)の山頂に激突した。
-MQ-1B 機体は、前進推力を失った(エンジンの不具合と推定)。操作員が着陸するため誘導しようとしていたところ、対地高度1000フィート(300メートル)で最終的にリンクが失われた。機体は、訓練地域で発見され、破壊されたと判定された。
-MQ-5B 当該機は、離陸出力を維持できず、墜落した。
-エアロスタット(気球) バルーンが損傷し、つなぎ綱から外れた。290キロメートル離れた場所に墜落した。
訳者注:米国の会計年度の開始は10月、終了は9月であり、終了時の年で呼ばれます。また、米国陸軍の航空事故の区分は、概ね次のとおりです(AR 385-10、2013年11月改正)。
クラスA- 200万ドル以上の損害、航空機の破壊、遺失若しくは放棄、死亡、又は完全な身体障害に至る傷害若しくは公務上の疾病を伴う事故
クラスB- 50万ドル以上200万ドル未満の損害、部分的な身体障害に至る傷害若しくは公務上の疾病、又は3人以上の入院を伴う事故
クラスC- 5万ドル以上50万ドル未満の損害又は1日以上の休養を要する傷害若しくは公務上の疾病を伴う事故
クラスD- 2千ドル以上5万ドル未満の損害、又は職務に影響を及ぼす傷害若しくは疾病等を伴う事故
クラスE- 2千ドル未満の損害を伴う事故
クラスF- 回避不可能なエンジン内外の異物によるエンジン(APUを除く)の損傷
出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness/Safety Center 2017年01月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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1件のコメント
米陸軍の航空安全管理は、有人機だけではなく、UAVも対象としています。