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陸軍航空の情報センター

航空事故発生状況:AH-64Dの空中衝突

平均海面高度1316フィート(約401メートル)および真対気速度50ノット(時速約93キロメートル)で夜間暗視装置を使用した飛行任務を実施中、AH-6D(1番機)の機長がM-TADS(modernized target acquisition designation sight, 近代化目標捕捉・指示照準装置)の画像を凝視してしまった。当該機は、他のAH-6D(2番機)に衝突し、2番機が損壊し、1番機に重大な損害が生じた。負傷者は、軽症のみであった。

飛行の経過

事故機の搭乗員たちは、旅団の実施する空中機動に参加を命ぜられた。この任務を実施するため、2つの戦闘ヘリチーム(attack weapons teams, AWT)が編成された。各チームには、空中からの目標情報収集を従たる任務とするAH-64Dが、予備機として配属されていた。予備機は、他方の機体が任務を中断しなければならなくなった場合には、主たる任務に復帰することになっていた。2つのチームは、予定時刻に離陸し、FARP(Forward Arming and Refueling Point, 弾薬燃料再補給点)で燃料補給を行った後、空中機動の支援を開始した。
支援が開始されると、一方の戦闘ヘリチームの2番機は、待機地域において、左に旋回しながら周回飛行を開始し、降着地域に敵がいないことを確認した。高度1300フィート(約396メートル)で周回を行っている間、1番機がその上空を左旋回していた。単機でFARPから離陸した1番機は、目標(11キロメートル北)に向かう途中、目標の周囲を左に周回飛行を行って情報を収集しようとし、わずかに東に機首を向けた。
その時の平均海面高度は1300フィート、真対気速度は50ノット(時速約93キロメートル)であった。
その直後、1番機は2番機に衝突した。2番機は、地上にオートローテーションで着陸した。1番機は、北西に3キロメートル飛行した後、安全に着陸した。

搭乗員

1番機:機長の総飛行時間は1538時間であり、そのうち部隊における飛行時間は1455時間であった。副操縦士の総飛行時間209時間であり、そのうち部隊における飛行時間は126時間であった。
2番機:機長の総飛行時間は1098時間であり、そのうち部隊における飛行時間は1018時間であった。副操縦士の総飛行時間は986時間であり、そのうち部隊における飛行時間は907時間であった。

考 察

双方の機体のパイロットは、それぞれが自分の機体のM-TADSに映し出されたライブ映像を凝視してしまっていた。その間、操縦士トレーニング・マニュアルに示されている、目視による直接監視を継続できていなかった。このため、同じ空域を同時に占有することになり、空中で衝突したのであった。この事故は、指揮官により示された任務計画が不適切なものだったことに加えて、スイス・チーズの穴が並んだことにより発生したものだったのである。4名の搭乗員が死なずに済んだことは、幸運だった。

いかなる任務においても、事前に完全な任務計画を作成することが必要である。特に、複数の部隊の複数の機体をもって任務を遂行する空中機動においては、このことがより重要である。指揮官は、無関心、自信過剰または疲労により、計画の作成が不適切なものとならないようにしなければならない。搭乗員は、自分に示された細部の目標だけではなく、作戦に関係している他の部隊や機体の全体的な目標についても、確実に把握しなければならない。この空中衝突の場合、1機が1300フィートで待機している間に、もう1機が同じく1300フィートでその待機地域を通過することは、計画段階でも確認できたはずであった。また、戦闘予行を実施していれば、この問題が明らかになっていたはずであった。計画において各航空機に対する明確な任務の付与ができておらず、かつ、任務遂行中の目視による警戒ができていない場合には、このような惨事が起こってしまうのである。

指揮官は、部下たちが計画作成および戦闘予行を適切に実施していることを確認しなければならない。そのことにより、任務の遂行に先立って、計画の欠陥を修正しなければならないのである。搭乗員は、自らのコックピット内でのワークロードの分担について、確認することが重要である。自分の役割が把握できていない場合は、それを飛行前ブリーフィングに付け加えることを忘れてはならない。スターター・スイッチを押す直前に軽易な搭乗員予行を実施し、任務遂行間、誰が外を監視(eyes-out)し、誰が機内に目を向ける(eyes-in)のかを明確にすることも可能なのである。

成功のための環境を整備し、任務を安全に遂行せよ。搭乗員訓練マニュアルに従った計画、予行および実行を確実に実施せよ。

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2019年04月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    空中衝突しても軽症で済んだことは、アパッチの生存性の高さを示すものかもしれません。