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航空事故回顧:KA-300の最終進入時の事故

KA-300 final approach

当該KA-300固定翼機は、夜間のVMC(Visual meteorological condition, 有視界気象状態)において、C-17輸送機に続いて着陸進入を行っていたところ、滑走路の手前2マイルの地点に墜落した。機体は大破し、3名の搭乗員全員が死亡した。

飛行の経過

当該機の任務は、戦域部隊を支援するため、対舟艇ISR(intelligence, surveillance, and reconnaissance, 情報、監視および偵察)を夜間に単機で行うもののであった。3名の搭乗員は、出発予定時刻の2時間前である1830に集合を完了した。その後、飛行前ブリーフィング・シートを作成した。当該飛行任務は、夜間であること、山岳地帯での進入・着陸を伴うものであること、および副操縦士の現地における飛行時間が十分でなかったことから、中程度のリスクを伴うものと判断されていた。搭乗員に対するブリーフィングの後、気象予報の確認および最終調整が行われた。天候は晴天、もやがあったものの視程6,000メートルが確保されており、風向250度、風速5ノット、気温マイナス5℃、気圧高度5,500フィートであった。月の照度は、57パーセントであった。

当該機は、エンジンを始動した後、現地時間2041に情報収集任務に向けて離陸した。任務遂行間、部隊およびATC(air traffic control, 航空管制)との通信が維持され、異状がなかったことが報告されている。現地時間0000、当該機のパイロットは、任務完了を報告し、基地への帰投を開始した。

現地時間0006、当該機のパイロットは、タワーと交信し、着陸指示を要求した。タワーは、「前方にC-17、高度8,000フィートを降下中。タービュランス(乱気流)に注意。3マイル手前で報告せよ。」と指示した。パイロットは、前方に別な機体が存在することと3マイル手前で報告することを復唱し、着陸進入を続行した。現地時間0007、タワーは、前方の機体が対地速度130ノットで飛行しており、必要に応じS字型に旋回しても問題ない旨を助言した。当該機のパイロットは、減速することで対応できると応えた。現地時間0008、タワーは、滑走路手前0.5マイルで報告するように指示し、当該機のパイロットが復唱した。それ以降、事故機からの連絡が途絶え、現地時間0009、レーダーから機影が消えた。現地時間0010、タワーが当該機に何度も呼びかけたが、応答がなかった。進入中の他の機体から、滑走路手前2マイルの地点に大きな火災が発生しているという通報を受けた。捜索救難機が事故現場を特定した。

搭乗員の練度

左席に搭乗していた機長の総飛行時間は4,300時間、双発固定翼機での飛行時間は1,100時間以上、KA-300での飛行時間は600時間近かった。副操縦士の総飛行時間は1,600時間以上、固定翼機での飛行時間は360時間、KA-300での飛行時間は200時間近くであり、機長の資格を有していた。航空士(sensor operator)の総飛行時間は250時間であった。

考 察

事故調査の結果、C-17の2マイル後方を飛行していた当該機は、対地高度400~500フィートにおいて、その後方乱気流に入ったと考えられる。制御不能となった当該機は、高速度かつ高進入角度で地面に墜落した。搭乗員は死亡し、機体は大破した。

後方乱気流とは、航空機が空気中を通過した後に形成される乱気流である。この乱気流は、いくつかの要素で構成されるが、その中で最も大きな影響を及ぼすのは翼端渦およびジェット・ウォッシュである。ジェット・ウォッシュとは、ジェット・エンジンから排出される高速のガス流を指し、その乱気流は激しいものの持続時間は短い。他方、翼端渦は、それに比べてはるかに安定しているが、航空機が通過した後も最大で3分間持続する場合がある。
翼が揚力を生じる際には、翼端渦が発生する。翼上面の気圧が翼下面の気圧より低いため、翼端では下面から上面に回り込もうとし、左右両翼端に渦を発生させるのである。これにより、翼の後方の渦流中に後方乱気流が生じる。翼端渦の強さは、主として、航空機の重量および速度に応じて変化する。翼端渦は、後方乱気流の構成要素の中で最も重大かつ危険なものである。
揚力は、翼下面の高圧と翼上面の低圧によって生じる。翼端で高圧の空気が低圧の空気の方に回り込む(高圧の気体は、常に低圧の気体の方向に移動する)と、回転する空気により、翼の後方に水平方向の「竜巻」が形成される。この竜巻は、消滅するまで、徐々に勢力が衰えてゆく。
離陸または着陸しようとしている航空機の後方地域で発生する後方乱気流は、特に危険である。なぜならば、離着陸時、航空機は、高い迎え角で飛行しており、この飛行状態は、強い渦を生成しやすいからである。また、複数の航空機が低速、低硬度で飛行している空港の周辺は、機体姿勢を回復するための高度が十分に確保できないため、後方乱気流によるリスクが大きい。
(ウィキペディア英語版からの抜粋)

出典:FLIGHTFAX, No.35 March 2014, U.S. Army Combat Readiness Center

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    航空操縦に関する記事のため、訳語に不適切なものがあるかも知れません。お気づきの方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると助かります。