AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター


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航空事故回顧-UH-60Lパワー・マネジメントの不適切による事故

戦闘機動飛行を実施中、機長は、対地高度400フィートにおいて、60度の右バンク、24度の機首下げの姿勢をとった。その結果、飛行継続に必要な馬力が利用可能な馬力を超過し、機体は森の中に落下した。墜落により、機体は大破し、4名の搭乗員が負傷した。

飛行の経過

事故機の任務は、クルー・チーフの即応レベルの向上を図りつつ、戦闘機動飛行、有視界飛行方式での山岳機動、山岳機動中の燃料再補給、および高高度での狭隘地飛行の4つの練成訓練を実施することであった。

事故機の搭乗員たちは、0900に集合を完了し、飛行前点検、飛行前ブリーフィングおよび地上試運転を実施した。事故機と一緒に飛行する予定だった僚機は、整備上の問題が生じ、離陸が遅れた。このため、事故機は、飛行計画を変更し、整備を完了した2番機と合流するまでの間、単機で高高度飛行を実施することとし、山岳訓練地域に向けて離陸した。

1226に2機の機体は合流し、第2課目の訓練を開始した。有視界飛行方式の山岳機動飛行を実施した2機の編隊は、食事と燃料補給のため、ある民間飛行場に着陸した。その後、当該民間飛行場を離陸し、狭隘地における訓練および戦闘機動飛行訓練を実施するため、再度、山岳訓練地域に向かった。最初のLZに着陸した後は、編隊を解除し、単機飛行に移行した。当該機は、戦闘機動飛行の課題を実施しつつ、クルー・チーフの即応レベルの練成訓練を行った。対地高度400フィートで機動中、機長は、機体を60度の右バンク、24度の機首下げ姿勢にした。高い気圧高度のため、十分なパワーが得られず、地面に接触するまでに姿勢を回復することができなかった。

搭乗員

機長の総飛行時間は1,368時間であり、そのうち当該機種での飛行時間は1、207時間であった。副操縦士の総飛行時間は256時間であり、そのうち当該機種での飛行時間は135時間であった。

考 察

操縦していた機長は、機体の性能および環境条件に応じた操舵可能範囲を理解していなかったため、平均海面高度9,000フィート以上という運用環境が機体性能に及ぼす影響を正しく認識できなかった。このため、対地高度400フィート足らずの状態で、機体を60度の右バンク、24度の機首下げ姿勢にしてしまい、操縦かんを引いて森の中に墜落することを避けるための必要馬力が、利用馬力を超過してしまったのである。機長がこのような操作を行った背景には、機長の規律軽視と自信過剰があった。

高高度での戦闘機動飛行に際しては、性能限界を精密に把握しなければならない。その際に忘れてならないのは、どんな任務を遂行し、どんな飛行が必要となるのかを、しっかりと考慮することである。事故機の機長が、飛行の要領をあらかじめ十分に検討し、より詳細な計画を作成していれば、森の中に墜落せずに済んだかもしれないのである。また、陸軍航空における航空機の運用は、チームをもって行うものである。すべての搭乗員が計画に参加し、搭乗機の性能パラーメータを理解するとともに、搭乗者間のコミュニケーションを適切にして、操縦しているパイロットを援助しなければならない。この事故においては、クルー・コーディネーションが不十分であり、戦闘機動飛行間、副操縦士や他の搭乗員からの機長に対する航空機のパラメーターや制限値に関する助言もほとんど行われていなかった。戦闘機動飛行間の事故を防止するため、機長は、必要な飛行状態とそれに必要な航空機の性能を理解したうえで、入念な計画を策定しなければならない。戦闘機動飛行のような高度な技術を必要とする飛行に際しては、任務、機体性能および搭乗者間のコミュニケーションに関して、詳細な搭乗者ブリーフィングを実施し、全搭乗員の知識を最大限に活用して、機長を援助させ、任務の安全な実施を図らなければならないのである。

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2020年06月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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