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陸軍航空の情報センター

アメリカ空軍航空機事故調査委員会報告書(CV-22B, 機番:10-0054)要約書

2023年11月29日、現地時間14時40分頃、事故機であるCV-22B航空機、機体番号10-0054は、相互運用統合訓練に参加中に、日本の屋久島沖約0.5マイルの海上に墜落した。事故機は、日本の横田基地の第353特殊作戦航空団第21特殊作戦飛行隊によって運用されていた。事故機の搭乗員8名は、第21特殊作戦群のCV-22B搭乗員5名、横田基地第43情報飛行隊第1分遣隊の直接支援要員1名および嘉手納基地第1特殊作戦飛行隊の医療要員2名で構成されていた。墜落により、事故機は破壊され、搭乗員全員が致命傷を負った。その後の捜索および回収で搭乗員7名の遺体が発見された。43日間にわたる多国籍による大規模な捜索にもかかわらず、搭乗員1名の遺体は発見されなかった。

事故機の搭乗員は、アドバイザリおよびコーションが事故機のコックピットに複数回表示され、「速やかに着陸」することが必要な状況となったため、予定していた任務を中止した。そして、事故機の位置から約60マイル離れた屋久島空港 (RJFC) に向けて進路を変更した。滑走路への最終進入中、平均海面高度約800フィートにおいて重大な不具合が発生し、急激に左にロールし、2回転して海面に墜落した。

本事故調査委員会の委員長 は、得られた証拠から、この事故は左側のプロップローター・ギアボックスの壊滅的な故障によって、駆動システムに連鎖的な不具合が急速に進展し、搭乗員では回復できない瞬間的な揚力の非対称が生じたことが原因であると結論付けた。さらに、得られた証拠から、機長の決定が事象の連鎖を長引かせ、他の目的地外着陸地点への早期着陸の可能性を排除したことも原因となったと判断した。

さらに委員長は、証拠の優越から、次の要因が事故の発生に重大な影響を及ぼしたと判断した。(1)不適切なリスク管理、および(2)不適切なクルー・リソース・マネジメント。これらの要因は、機体墜落の約49分前に最初のPRGBのコックピット・アドバイザリが表示されて以降、事故の全過程を通じて緊迫感が不十分であったことに大きく関与した。

10 USC § 2254(d) に基づき、本事故調査報告書に記載されている事故の原因または要因に関する事故調査官の意見は、もしそれがあるとしても、事故に起因する民事または刑事訴訟において証拠としてみなされることはなく、また、その情報は、米国またはそれらの結論や声明で言及されている人物への責任を認めるものとみなされることもありません。

アメリカ空軍航空機事故調査委員会報告書(CV-22B, 機番:10-0054)

                               

出典:Official United States Air Force Website 2024年08月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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1件のコメント

  1. 自由人@aero より:

    防衛省の報告書も見たのですが、”CHIP DETECTOR FAI”が表示されていても、パイロットは屋久島空港接近時にエマージェンシーコールをしなかったとあります。報告書ではパイロットはこの表示が機能エラーであると考えていたとありますが、本当なのでしょうか?と言う気持ちです。すでに機体には問題が発生していたはずで、それでも悠長に構えるパイロットの存在が不思議でなりません。これまで知り合ったパイロットはどなたも繊細で大胆と言う不思議な感じでした。長々と結論を引っ張って、結局機体はギヤBOXの問題で、でもパイロットの対処が悪かったと言うのはモヤモヤが残りました。