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陸軍航空の情報センター


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APNT(Assured Precision、Navigation、and Timing, 正確な測位、航法および時期情報)について

ジョン・A・ジョージ少将
アメリカ陸軍能力開発コマンド司令官

本記事は、戦闘能力開発コマンドによる陸軍の6つの近代化優先事項への支援状況に関する記事の8回目である。

GPSは、任務遂行中の兵士が依存している技術の中で最も重要なものの1つである。それは、戦場の全体像を形成したうえで意思決定を行うために必要な情報を、兵士たちにリアルタイムで提供している。また、陸上または空中から兵士たちを支援する火砲および航空機にとっても、必要不可欠な存在となっている。ただし、我々のGPSへの依存度を認識している敵が、その能力を低減または無効化しようとするのは明らかであり、そういった環境下においても、作戦を継続できるように準備しておく必要がある。

このため、アメリカ陸軍は、6つの近代化優先事項の1つとして、APNT( Assured Precision、Navigation、and Timing, 正確な測位、航法および時期情報)の開発を掲げ、兵士たちがより確実に状況を認識して戦場を機動できるようにすることを目指している。APNTは、無線通信およびネットワークの情報システムとの融合を実現する。その技術は、部隊が戦闘環境下で任務を遂行し、敵を支配し続けることを可能にするに違いない。

実環境下での試験:PNT評価演習の期間中、開発者および兵士は、実環境を模擬した接近阻止・領域拒否環境において、80を超える車両等搭載または人員携行型航法戦闘器材やシステムがどのように動作するかを評価した。(撮影:アメリカ陸軍)

CCDC(Combat Capabilities Development Command, 米陸軍能力開発コマンド)は、そのC5ISR(Command, Control, Computers, Communications, Cyber, Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)センターをもって、兵士たちに新たなAPNT能力を提供するために必要な科学技術を主導的に統制している。また、CCDCの主要隷下部隊として、研究者、技術者、科学者およびアナリストで構成されるグローバルチームを活用し、陸軍近代化に寄与する企業に対し、世界最高水準の科学技術基盤を提供している。

C5ISRは、兵器センター(Armaments Center)、陸軍研究所(Army Research Laboratory)、航空およびミサイルセンター(Aviation & Missile Center)、APNT機能横断型チーム(APNT Cross-Functional Team)などの他のCCDC隷下組織との緊密な連携を図っている。また、APNT機能横断型チームをもって、関連する科学技術の統制および調整に努めている。CCDCセンターは、APNT機能横断型チームと継続的に協力して、現在のプロジェクト、問題、および将来の計画について議論し、機能横断型チームのロードマップに沿って業務を推進している。APNTチームは、5月に、相互に計画と優先事項を共有し、業務の調整を行うための最初のCCDC機能横断型チーム会議に参加した8つの機能横断チームの1つであった。

「APNT(機能横断型チーム)は、APNT、戦術空間およびNAVWAR (Navigation Warfare, 航法戦闘)の分野におけるさまざまな技術を評価している最中です。この技術は、陸軍システムの柔軟性および信頼性を向上させ、次世代のアメリカ兵士たちが必要なものを、必要な時に入手し、世界で最も効果的な地上戦力であり続けることを可能にするのです」とAPNT機能横断型チームの部長であるウィリアム・ネルソンは述べている。

任務に不可欠な装備:2019年10月23日、C5ISRセンターの担当者たちは、メリーランド州アバディーン性能試験場で測位、航法および時期システムに関する調査を実施した。このシステムは、兵士たちが確実に状況を認識して戦場を機動するために欠かせないものとなるだろう。(撮影:C5ISRセンター ダン・ラフォンテーヌ)

陸上および空中における任務の遂行

5ISRチームにおいては、モジュラー型GPS独立センサー(Modular GPS Independent Sensors)プロジェクトなど、兵士たちがより確実に任務を遂行できるようにするための複数のプロジェクトが進行中である。このプロジェクトは、既存の陸軍の空・地の移動手段および兵士たち自身による測位、航法および時期に関する新しい技術の利用を加速させ、かつ容易にすることを目標としている。そのプラグアンドプレイ構造は、政府や企業が広く用いている規格の利用を可能にし、陸軍のイノベーションへの適応と、最新技術の兵士たちへの迅速な提供を可能にする。また、そのオープンアーキテクチャは、測位、航法および時期システム、センサーならびにアルゴリズムをその関連技術の成熟に即して迅速に開発・適用することを可能にする。C5ISRは、2019年秋、情報、電子戦およびセンサー担当プログラム・エグゼクティブ・オフィス(PEO IEW&S)に所属する測位、航法および時期プロジェクト・マネージャー(PM PNT)からの技術移管に合意するなど、モジュラー型GPS独立センサーの装備化を進展させてきた。

近年の戦いを振り返ると、兵士たちに信頼性が高く、柔軟性に富んだGPSを供給することがいかに重要であるかが理解できる。アフガニスタンにおける兵士たちの活動も、GPSに大きく依存している。しかしながら、山岳地形により信号が途絶し、その通信能力が制約される場合が生じている。

C5ISR航法戦闘プロジェクト(NAVWAR)は、戦場における共通運用構想の共有を図ることにより、兵士および指揮官の利便性を向上させようとしている。プラグイン方式は、地上、空中および宇宙のセンサーからのデータを融合し、任務計画作成に必要なリアルタイムの情報と、より効果的な電子防護手段を提供する。航法戦闘プロジェクトの成果は、同じく情報、電子戦およびセンサー担当プログラム・エグゼクティブ・オフィス(PEO IEW&S)に所属する位置、航法および時期プロジェクト・マネージャー(PM PNT)および電子戦およびサイバー・プロジェクト・プロジェクト・マネージャー(Project Manager Electronic Warfare & Cyber)の双方へと移管される予定である。

測位、航法および時期プロジェクト・マネージャー(PM PNT)は、正確かつ先進的な兵器を有効活用するため、砲兵部隊が継続的に更新しなければならないデータに関する5つの要求事項の達成に貢献している。また、陸軍の火力発揮に欠かせないデジタル・キルチェーンの確立にも寄与している。

兵器センター(Armaments Center)は、兵器および弾薬統合事業エクゼクティブ・オフィス(JPEO A&A), ミサイルおよび宇宙プログラム・エクゼクティブ・オフィス(PEO Missiles and Space,)、測位、航法および時期プロジェクト・マネージャー(PM PNT)、APNT機能横断型チーム、長距離精密火力打撃機能横断型チームなどと緊密な連携を維持しつつ、現行および次世代の長射程砲および弾薬に用いられる先進的APNT技術の開発にあたっている。

また、次世代砲に焦点を当てたベストオブブリードなPNT技術の統合により、企業、学術機関および国防総省諸機関にも影響を与えている。これらの技術には、代替航法、耐妨害、耐欺騙、Mコード受信機、画像ベースの最終誘導、慣性測定ユニットなどが含まれている。Mコードは、軍事用GPSの秘匿性および耐妨害性を向上させるために空軍が開発したGPS信号である。代替航法技術は、GPSが劣化または使用不能となった場合においても、GPS以外の信号を利用して、精密誘導爆弾および兵器への測位、航法および時期データを補完できるようにするものである。耐欺騙、耐妨害およびMコード技術は、我々のAPNT方式に対する敵の対抗手段から兵器や弾薬を防護するためのものである。慣性測定ユニットおよび画像ベースの最終誘導は、各種センサーと視覚的情報を利用して弾薬の目標への軌道を調整し、誘導爆弾の正確性を向上させるためのものである。

最終的には、これらの技術は、精密誘導爆弾や間接照準兵器システムなどの兵器および弾薬統合事業エクゼクティブ・オフィス(JPEO A&A)の装備品ラインアップに組み込まれる。これらの技術の近代化に関するCCDCの成果は、GPSが劣化または使用不能になった環境においても、精密な攻撃を実施し、戦場での優位性と致死性を維持できる能力を陸軍にもたらすことであろう。

航空およびミサイルシステム用のAPNT方式は、軍事作戦において陸軍航空が果たす重要な役割を支えることなる。航空ミサイルセンターは、パトリオット発射器およびグレイイーグル無人航空機システムにおいてMコードGPS受信機および耐妨害電子機器の搭載試験を実施するプロジェクトに取り組んでいる。MコードのGPS受信機を陸軍の装備品に搭載することは、APNT能力だけではなく、陸軍のマルチドメイン運用構想の成功に不可欠な統合作戦能力の向上にも寄与することになるであろう。

一方、米陸軍能力研究コマンドの陸軍研究所(ARL)は、徒歩で行動する兵士たちであっても、GPSに依存しないAPNTを利用し、ネットワーク化された情報にアクセスすることなく正確な時間および測位情報を取得できるようにするための包括的アプローチを推進している。このことにより、戦闘で分断された部隊が一体的に機能し、任務を遂行できる環境がもたらされる。これらの技術に関する陸軍研究所の業務は大幅に加速されており、数年以内に兵士試験用の試作機を提供できる。この取り組みの鍵となるのは、末端ユーザーが試作機を評価し、開発プロセスの早い段階で要求事項を提供できる兵士とのタッチポイントを確保することである。この取り組みは、より優れた機能のより迅速な提供に寄与することであろう。

実地検証:2019年7月から8月にかけて、ホワイトサンズ・ミサイル実験場で実施されたPNT評価演習(PNTAX)に参加した第1軍団、アメリカ欧州陸軍、コロラド州およびニューメキシコ州兵、米国陸軍特殊作戦コマンド、統合特殊作戦コマンド、および陸軍サイバー局の兵士たち。(撮影:アメリカ陸軍)

最新技術を兵士たちの手に

現在開発中のAPNT能力を実用化するための鍵の1つは、戦闘状態を模擬した野外演習における技術試験である。2019年7月~8月には、ニューメキシコ州ホワイトサンズ・ミサイル実験場でPNT評価演習(PNTAX)が実施された。この試験には、第1軍団、アメリカ欧州陸軍、コロラド州およびニューメキシコ州兵、アメリカ陸軍特殊作戦コマンド、統合特殊作戦コマンド、および陸軍サイバー局から34人の兵士が参加した。

ホワイトサンズ・ミサイル実験場は、GPSが劣化および使用不能な環境下での試験を実施できる数少ない場所の1つである。その演習においては、80を超える車両等に搭載されたり、人員が携行したりした航法戦闘装備品およびシステムが、実際の接近阻止・領域拒否環境における運用状態で評価された。収集された情報により、開発中のシステムがGPS戦闘環境において、どのように機能し、兵士たちの戦闘を改善できるのかが明らかになった。

また、技術実証、能力評価、実弾射撃および訓練演習など、その他の兵士とのタッチポイントも維持し続けている。戦闘能力開発コマンドの技術者たちは、これらのタッチポイントを通じてフィードバックを収集し、CCDCがテクノロジーを成熟させ、最終的にはそれを関連組織へと移管する準備を整えることになる。兵士たちが試作品等を直接手にとる機会を設けることは、新システムに運用上の問題がないことを確認するための資料を得るために不可欠なのである。

CCDCは、何百もの振興軍需企業および学術機関と協力し、新しい技術を獲得して、APNT能力の向上を図っている。その課題の1つは、軍事ネットワーク上で民生品の試験を行うことである。年末には、メリーランド州のアバディーン性能試験場でオープン・イノベーション・ラボ(OIL)を立ち上げる予定である。オープン・イノベーション・ラボは、各企業がオープンアーキテクチャを備えた秘区分なしのラボでその技術を試験することを可能にする。また、オープンアーキテクチャは、ベンダー間の競争を促進するだけでなく、情報の安定した流れを維持することによってイノベーションの加速に寄与することであろう。

結 論

CCDCは、関連機関および兵士とのタッチポイントから得られた情報を関連企業および学術機関と共有して、要求事項を改訂し、その能力差を埋めるための技術を開発することにより、装備品開発期間の短縮に努めている。兵士たちに供給する装備品に最先端のAPNT技術を適用することが、戦場における決定的なアドバンテージを獲得し、敵との戦いに勝利することを可能にするのである。

詳細については、www.army.mil / ccdcを参照されたい。

少将ジョンA.ジョージ少将は、CCDC(アメリカ陸軍能力開発コマンド)の司令官である。職は、アメリカ陸軍将来コマンド将来構想センター(U.S. Army Futures Command Futures and Concepts Center)の副所長兼参謀長であった。ウェストポイント陸軍士官学校を卒業し、1988年に陸軍将校に任官した。ペンシルベニア州立大学で社会心理学の修士号を取得し、現在はアイゼンハワー国家安全保障資源戦略学校として知られているアメリカ軍工科大学で国家資源戦略の修士号を取得した。

                               

出典:Army ALT Magazine 2020年09月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    GPSのMコードに関する情報を収集していて見つけた記事です。
    Mコードは、単にGPSの性能・能力を向上させるものではなく、アメリカ陸軍のAPNT能力向上の一翼を担うものとして位置づけられていることが分かります。