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陸軍航空の情報センター

V-22 Osprey Guide Book 2013-2014

NAVAIR(海軍航空システム・コマンド)が編集したV-22のガイドブック(2013年-2014年)です。
V-22の構想、開発、現状に始まり、過去の任務での実績、性能、機体構造などまで、幅広い情報を網羅しています。

【部分訳】

第4章 任 務

アメリカ海兵隊およびアメリカ空軍特殊作戦コマンドは、それぞれMV-22およびCV-22を装備し、全世界で運用している。これらの機体は、数多くの種類の任務を広範な地域において遂行できる能力を部隊にもたらしてきた。この章では、MV-22とCV-22の双方について、その具体的な運用事例を紹介する。

 

 

MV-22 / CV-22

2007年6月にMV-22、2009年3月にCV-22の運用が開始されたオスプレイは、それ以来、世界各国に戦闘展開し、紛争対処作戦の遂行に貢献してきた。
2011年2月、計画開始以降の総飛行時間が10万時間に到達したオスプレイは、過去に国防総省が装備した回転翼機の中で、最も安全なものの1つであり続けた。
以下、米海兵隊MV-22Bとアメリカ空軍特殊作戦コマンドCV-22の運用実績の概要を示す。

 

MV-22の任務遂行実績の概要

アフガニスタン
不朽の自由作戦
2009年11月から現在まで

オスプレイの不朽の自由作戦への加入は、10機のMV-22Bが艦船から510マイル(820キロメートル)離れた展開地まで歴史的な飛行を行うことにより開始された。すべての機体は、離陸後2時間15分で、新たな展開地に異状なく着陸した。
不朽の自由作戦に参加したMV-22の総飛行時間は、これまで1万4000飛行時間を超え、14万8000人以上の人員と500万ポンド以上の貨物を空輸してきた。
MV-22Bは、不朽の自由作戦の直接的な戦闘任務においても、大きな成功を収めてきた。高速で長距離を飛行し、敵が予期しない方向から侵入することが可能で、飛行音が小さく、敵に補足されにくいオスプレイは、大きな戦術的優位性を部隊にもたらす重要な要素として存在し続けてきた。
例えば、2010年1月、海兵隊のAO(Area of Operations, 作戦地域)において、あるタリバンの指揮官は、IED(Improvised Explosive Device, 即席爆破装置)の製造者と行動を共にしていた。情報部隊は、その指揮官が、毎日ほぼ同じ時間に、2つの場所のどちらかに現れることを把握できていた。
任務の遂行:L時に昼間強襲攻撃を行うことに決した4機のMV-22Bは、2カ所の別なLZ(Landing Zones, 降着地域)に同時に着陸した。オスプレイの正確な航法性能を発揮することにより、定刻どおりのL時ちょうどに、目標の建物から50フィート以内の場所に着陸した。着陸地点の30から40フィート手前を進入中、オスプレイの搭乗員たちには、「やっと気付いた地元民が、驚いて『スタッター・ステップ』をするのが見えた」着陸するやいなや、強襲部隊が航空機から降り立った。市場の付近にいた目標人物を追跡し、捕獲した。
その日の別な任務では、友軍が確保しているLZに対するMV-22B2機による再補給任務が行われた。FAC(Forward Air Controller, 前線航空管制官 )が語ったところによれば、「太陽を背に進入した2機のMVは、我々の直上に来るまで姿が見えず、音も聞こえなかった。気付いてから30秒もしないうちに着陸してしまった。」
従来の回転翼機では不可能だった任務があたりまえのものになり、AOR(Area of Responsibility, 責任地域)における指揮官の支配力が増大した。
これらの幾多の事例は、MV-22Bとそれを運用・整備する海兵隊員たちの驚異的な能力を示すものである。

水陸両用作戦

海兵機動展開隊
2009年5月から現在まで

MV-22Bは、水陸両用任務に関する要求事項をすべて満たしている。
紛争対処において、他のいかなる回転翼機よりも優れた速度、航続距離、パイロ―ドおよび耐久性を発揮する。このため、海岸からより離隔した場所からの、より柔軟な水陸両用輸送の実施が可能となった。さらに、オスプレイの形態変換能力は、艦船ー沿岸間の長距離兵站支援を容易にした。
「MV-22Bを見たり、それに搭乗したりすることに全く違和感を覚えない、新しい世代の海兵隊員が生まれている。この航空機を使用することは、即応できる時間と距離の改善がもたらすものに対する理解をもたらすのである」-海兵機動展開隊司令官
「V-22は、これまで艦船に搭載してきたどの航空機よりも遠方の戦場に到達し、その能力を発揮できる機体である。このため、任務に対する艦船の貢献度を高めることができるのである。」

水陸両用作戦

オデッセイの夜明け作戦
2011年3月
第26海兵機動展開隊
航空機および搭乗員の戦術回収

2011年3月22日、オデッセイの夜明け作戦を支援していたF-15Eが不具合のため、リビア上空で墜落した。2名の搭乗員は、機外への脱出に成功した。すると、MV-22Bの戦闘に対する、そして、海軍海兵隊チームの国家に対する俊敏性、柔軟性及び有効性が教科書どおりに発揮された。すなわち、即応態勢をとっていた機動展開部隊が必要とされる時期と場所に投入されたのである。
航空機および搭乗員救出作戦(Tactical Recovery of Aircraft and Personnel, TRAP)は、MV-22Bにとって、理想的な任務の一つである。F-15Eの搭乗員たちが機外に脱出してから2時間以内に、脱出した搭乗員たちから133海マイル(246キロメートル)離れたUSSキアサージで、2機のMV-22Bが離陸の準備を整えた。この搭乗員救出作戦には、AV-8Bハリアー、CH-53Eスーパー・スタリオンおよび46名の海兵緊急対応部隊(Marine Quick Reaction Force)も参加した。
速やかに目標地点に到着したオスプレイは、ハリアーなどによる上空支援を受けながら着陸し、脱出した搭乗員のうち1名を直ちに回収して離脱した。オスプレイと救助されたパイロットは、30分ほどでキアサージに無事帰艦した。もう1名の搭乗員も、別な手段により無事回収された。このような事例は枚挙にいとまがないが、MV-22Bの速度、正確な航法、そして、どこにでも垂直に着陸できる能力は、海兵隊がその重要な任務を迅速に完遂するために必要不可欠なものとなっている。

ハイチ

連合即応作戦
2010年1月

MV-22Bは、その速度と航続距離を生かし、さまざまな任務に適応することが可能である。
-200海マイル(約370キロメートル)以上離隔したキューバのグアンタナモ湾から継続的に供給物資を輸送する兵站任務
– 遠隔地におけるJTFハイチ現地評価要員492名の空輸
– 複数の拠点への先遣・警戒要員の空輸
– 水ならびに約1万3000ポンド(約6トン)の食料品および医薬品の空輸
「オスプレイを使用することによる利点は、これらすべてを効率的に達成できることである。オスプレイは、その速度性能により、ハイチ北部の各所に複数の評価チームを上陸させ、必要な調査を行うための十分な時間を与えたうえで、日が暮れるまでにすべてのチームを撤退させることができた。たった2機のオスプレイがこれを実現したのだ。」 – 大尉ロバート・シューフォード 第24海兵機動展開隊
2010年1月24日、ハイチのアンシュにおいて、MV-22オスプレイから降着した第24海兵機動展開隊およびナッソー両用即応グループの海兵隊員および海軍兵士たちは、ユニファイド・レスポンス作戦の支援の一環としてアンシュ地域中央病院を訪問した。

イラクの自由作戦

2007年10月から2009年4月

MV-22の速度と航続距離により実現された運用範囲の拡大は、その戦闘デビュー以来、強襲支援能力に改革をもたらしてきた。そして、速度、航続距離および生存性が不可欠な任務に用いられたMV-22は、強襲支援航空機として高い評価を受けてきた。
18ヵ月に及んだイラクの自由作戦の間、3つの海兵中型ティルトローター飛行隊(VMM)が次の任務を遂行した。
ー6000ソーティー以上の出撃
-1万時間近くの飛行時間
-4万5000人以上の人員空輸
-220万ポンド(約1000トン)以上の貨物空輸
あらゆる危険地域を飛行し、地上部隊指揮官の影響範囲の拡大に寄与したMV-22は、次の強襲支援任務を遂行した。
-襲撃、強襲、航空偵察、要人空輸、全般支援、患者後送、航空機および搭乗員の戦術回収(Tactical Recovery of Aircraft and Personnel, TRAP)および急速燃料再補給(Rapid Ground Refueling, RGR)
-高速かつ航続距離の長いMV-22は、イラクの政府高官がイラク政府の統治を拡大するために遠隔地域を訪問する頻度の増加をもたらした。
-大半の飛行を小火器やRPGの射程外で飛行できるという、オスプレイが本質的に有する生存性および性能特性のおかげで、この展開の間に戦闘損失はなかった。
「テキサス州(アメリカのアラスカ州に次いで面積が大きな州)をロードアイランド(アメリカで面積が最小の州)に変えた」-アレス准将、西方多国籍軍航空戦闘部隊司令官
「私がアンバール県を支配できたのは、V-22のおかけだ。ヘリコプターだけでは、この結果を得ることはできなかった。」-ケリー中将、西方多国籍軍司令官

人命救助

強襲支援につきものの、極めて要求度の高い任務の1つに患者後送がある。集中治療が必要な負傷者の輸送に立ちはだかる大きな障壁は、「tyranny of distance( 距離の過酷さ)」である。負傷者が発生する場所が既設の輸送拠点から遠く離れており、その輸送手段に制約を受ける場合が多い。V-22が利用可能であれば、航続距離と速度に極めて大きな余裕を確保することができる。V-22により可能となった長距離患者後送には、次のような例がある。

2010年

USSキアサージ(LHD-3)を基盤としていた第26海兵機動展開隊の長距離患者後送は、大規模な洪水が発生したパキスタンでの人道支援/災害派遣活動を行いつつ水陸両用群を分割して運用する中、航空機を「アフリカの角」の沖合で運用している最中に行われた。キアサージに収容された1人の患者に、船上での医療能力を超えた治療が必要となったのである。必要な治療を施せる最も近い施設は、500海マイル(約926キロメートル)離れたケニアのモンバサにしかなかった。その患者後送任務に割り当てられたのは、数機のMV-22であった。なぜならば、海兵機動展開隊司令官の言葉によれば、「この艦船から目的地までの長距離飛行を実行できる機体は、V-22以外になかった」からである。その患者は、オスプレイのおかげで、無事に必要な治療を受けることができた。

2009年
第26海兵機動展開隊

この部隊のMV-22は、37分間で147マイル(約272キロメートル)を飛行するという旧来の航空機では不可能な離れ業により、艦船からヨルダン国内への緊急患者後送を行った。USSバターンの衛生兵の言葉によれば、「オスプレイでなければ、患者に必要な治療を施して、その命を救うことはできなかった。」

2007年

遠方の前方運用基地ムダイシスからアル・アサードまでの緊急患者空輸(片道80マイル(約149キロメートル))が必要となった。

時間の節用

通常手段による後送が不可能だったため、MV-22がアル・アサードから離陸し、ムダイシスまで飛行し、患者を回収してアル・アサードに1時間以内で帰投した。

兵力節用の典型例

通常のヘリコプターを用いて、同等の即応性を確保するためには、警戒、整備および燃料補給要員と共に回収地点にあらかじめ展開し、待機させる必要があった。

要員救助作戦

2010年6月
長距離、高速、高高度の垂直離着陸離脱

2010年6月1日、ある特殊作戦で襲撃行動を行っていた多国籍軍のヘリコプター1機が、アフガニスタンのクンドゥーズ近郊の目標地域で故障し、飛行不能となった。
当該機の搭乗員および地上部隊要員は、開かつ地に暴露した状態で小火器や迫撃砲による攻撃を受けていた。
他の戦域にいた航空機が何度か救助を試みたが、そのいずれもが、山岳地域の地形と激しい砂塵嵐のために成功しなかった。
カンダハールに展開していた第8特殊作戦飛行隊所属の2機のCV-22が、情報入手後2時間で離陸し、高度1万5000フィート(約4572メートル)を飛行してヒンドゥークシュ山脈を越える直線ルートで現地に向かった。悪視程環境であったにも関わらず、2機のCV-22は、搭載されている最先端の航法および探索機器を用いることにより任務を完遂した。
32名の米国人が目標地域から回収され、2機のCV-22がカンダハールまでの往復を無給油で飛行するのに、4時間もかからなかった。
「他の誰もできなかった救助を実行してくれたことに感謝する。」ー地上部隊指揮官

不朽の自由作戦

2011年5月から2012年10月まで

第8特殊作戦飛行隊および第20特殊作戦飛行隊の5機のCV-22とその搭乗員たちは、不朽の自由作戦を支援するため派遣されていた。その主たる任務は、特殊作戦部隊の潜入および離脱の実施であった。18ヵ月間の派遣間、2つの飛行隊は、224回の潜入・離脱任務を遂行した。この任務の遂行により、オスプレイは、1万1531名の強襲要員を空輸し、725名のテロ容疑者の捕獲に寄与した。

患者後送

強襲任務を終了したCV-22編隊が、引き続き、頭部に重傷を負ったアフガニスタン人兵士の緊急患者後送を行うことになった。視程が1マイル(約1.6キロメートル)以下であったため、他の機種は、周辺の飛行場で待機するほかなかった。CV-22編隊の長機は、患者収容地点まで、悪視程状況下での進入を行った。負傷者の収容が完了すると、編隊は、カンダハールまで飛行した。飛行制御ソフトウェアの更新のおかげで、計器速度260ノット(時速約490キロメートル)で飛行することができた。速度、航続距離、垂直離着陸、地形追従/地形回避レーダーを連携させて使用することにより、CV-22はこの任務の遂行に最も適した機体となった。患者の容態は安定に向かい、一命をとりとめた。

イラクの自由作戦

2009年7月~11月

2009年6月、第8特殊作戦飛行隊に所属する6機のCV-22が、その部隊にとって初めての実戦運用のため、フロリダ州のハルバート・フィールドからイラクに向けて離陸した。これらの機体は、イラクの自由作戦を支援するため、7000海マイル(1万2964キロメートル)の自己展開を行った。6機の航空機は、途中で3回の空中給油を行いながら、7日間で大西洋横断を完了した。派遣されたCV-22の主要な任務は、長距離の潜入・離脱および再補給任務を実施して、特殊作戦部隊を支援することであった。
派遣間、飛行隊は45回の強襲部隊の潜入・離脱任務、123回の戦闘戦務支援任務を完遂するとともに、3万250ポンドの貨物および2349名の人員を空輸した。この部隊のCV-22は、また、複数の作戦においてイラク特殊作戦部隊を支援し、テロ容疑者の捕獲に寄与した。この新型機を操縦したのは、アメリカ空軍のパイロットであったが、兵員を指揮して任務を遂行したのは、イラク特殊作戦部隊のエリートたちであった。
CV-22は、戦場における戦士や指揮官たちから、その価値を認められることとなった。この航空機が発揮した卓越した航続距離、速度および多用途性は、従来のヘリコプターでは実現不可能なものであった。

人道支援

アメリカ南方軍 2009年6月

作戦任務を支援するためアメリカ南方軍に配属されていた第8特殊作戦飛行隊所属のCV-22は、ホンジュラス国における大規模な人道援助活動において航空支援を行った。そのペイロードおよび飛行性能を生かし、北東の小さな村に対する3回の重要物資空輸任務を完遂した。
空輸した物資は、総計約4万3000ポンド(約20トン)に達した。これらの物資は、かなりの間、配給待ちの状態であったが、CV独自の垂直離着陸能力により、生鮮食料品、病院用ベッド、教科書などの必要とされている品目を遠く離れた村へと空輸することができたのである。このガイドブックや他の文献で紹介されているV-22救援活動が証明しているとおり、CV-22オスプレイの搭載能力、航続距離および速度は、人道援助活動の広範囲の分野おいて、他の機体では不可能な任務を遂行してきたのである。

フリントロック09

2008年10月〜11月

フロリダ州ハルバート・フィールドの第8特殊作戦飛行に所属する4機のCV-22は、その部隊で初めての自己展開任務を完遂した。フリントロック09と呼ばれる訓練を支援するため、マリのバマコまで、大西洋を横断して5300海マイル(約9816キロメートル)を飛行したのである。サハラ交易地域において定期的に行われるその訓練は、アフリカ各国がその主権の及ぶ領土を警備・統制する能力を向上させることを目的としたものであった。
15か国の人々が参加するその訓練において、CV-22は多国籍訓練用輸送機として用いられた。具体的には、広大な訓練地域全域にわたって、マリおよびセネガルの特殊作戦部隊および首脳陣を空輸した。その主要任務は、特殊作戦部隊が潜入し、地上作戦を遂行した後、離脱するために必要な、長距離垂直離着陸輸送能力を提供することであった。
この演習を通じて、CV-22が作戦に大きな影響を及ぼす画期的な航空機であることが証明された。CV-22の長い航続距離のおかげで、特殊作戦部隊は、広大なアフリカ大陸を従来のヘリコプターよりも短い時間で横断することができた。CV-22独自のティルトローター能力を利用することにより、500海マイル(約926キロメートル)以上離隔した目標に対し、4時間以内に小部隊を潜入・離脱させるような任務を日常的に遂行することができるようになったのである。この任務をMH-53で行った場合には、その2~3倍の時間が必要だったと考えられる。

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発行:NAVAIR.2013

アクセス回数:396

1件のコメント

  1. 管理人 より:

    「第4章 任務」の訳文を追加しました。オスプレイについては、事故の情報ばかりが取り上げられる傾向にありますが、その活躍ぶりについてもぜひ知っていただきたいものです。