AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

スキー場の人工雪による不安全

上級准尉3 マイケル・ベリー
マサチューセッツ州陸軍州兵第224航空連隊第1大隊(警戒・支援)C中隊第1分遣隊
マサチューセッツ州ウェストフィールド

パイロットは、着氷の危険性を常に把握するように訓練されています。防氷・除氷機能のない機種で飛行する場合には、特にそうです。UH-72Aでの最初のレディネス・レベル訓練を受けていた私は、着氷に関する恐ろしい経験をしました。

ある冬の夜、私は中隊の技量評価操縦士(standardization pilot, SP)と共に、レディネスレベル2に昇格するためのNVG訓練を計画・実施することになりました。飛行の前半には、今年は地元のスキー場の降雪量が少なく、人工雪を降らせている時に近くを飛行するのは危険であることを話し合っていました。ポーツマス国際空港に着陸し、給油およびデブリーフィングを行った後、後半の飛行を開始しました。デブリーフィング中に、風が強くなっていることに気づきました。天候を再確認し、地上での風速が10ノットから約20ノットに強まったものの、視程およびシーリングは変化していないことを技量評価操縦士に報告しました。

それから、ウェストフィールド・バーンズ地域空港に戻るため、ポーツマスを予定どおりに離陸しました。前半の飛行中に通過したスキー場の10マイル南で水平飛行に移行した際、軽微なガストを伴う40ノットの横風が吹いていることに気付きました。その時、技量評価操縦士からのNVGおよびNVG飛行の特性について質問に対し、灯火の効果的に使用する方法について説明しました。その要領を実際に行うため、サーチライトを点灯すると、心臓が止まりそうになりました。

まるでミレニアム・ファルコンが宇宙空間を飛ぶ時のような光景が、フロントウインドの前に広がっていたのです。どこもかしこも、雪だらけでした。サーチライトを消灯すると、雪は見えなくなりました。サーチライトを再び点灯させ、間違いなく吹雪の中にいることを確認すると、技量評価操縦士に操縦を交代しました。外気温を聞かれたので、マイナス4℃と答えました。技量評価操縦士は、私に対し、近傍の飛行場に無線機をセットし、スキッド・シュー、ワイヤー・カッターおよびピトー管を懐中電灯で照らしながら着氷を監視するように指示しました。そして、サーチライトを操縦しているパイロットの反対方向に向けることにしました。そうすることにより、操縦しているパイロットの視界に影響を与えずに吹雪の状況を確認できるからです。また、外気温度を高めるため、機体をVFR飛行の巡航高度から地上約1,000フィートまで降下させました。高度を下げても、外気温はまだ0℃で、降雪にも変化がありませんでした。

私は、指示された部位の監視を続けていましたが、幸いなことに、着氷は起きていませんでした。しかし、懐中電灯を使って監視を続けながら、乱気流にさらされているうちに、軽い吐き気をもよおし始めてしまいました。私は、そのことを技量評価操縦士に報告しました。その状態を「消滅」させる効果があるかも知れないと思った技量評価操縦士は、操縦を私に交代してみようと言いました。操縦を交代すると、吐き気が治まりました。私の操縦が安定していることを確認した技量評価操縦士は、それまで私が行っていた監視任務を引き継ぎました。

操縦中にドアの外を見ると、たくさんの照明が設置された山から、厚い雲が立ち昇っているのが見えました。その報告を受けた技量評価操縦士は、それがスキー場であることを地図で確認しました。飛行中の我々を包み込んでいる雪は、そのスキー場から強風で運ばれてきたものだったのです。スキー場から少し離れると、雪はやんでしまいました。機体に着雪や着氷がないことを確認し、技量評価操縦士に操縦を交代しました。それからの訓練飛行は、何事もなく順調に進みました。ウェストフィールド・バーンズに着陸してエンジンを停止すると、安堵のため息をつきました。技量評価操縦士と私は、その後、その日の飛行のすべての段階について、長いブリーフィングを行いました。

教訓事項

その日の教訓事項はいくつかありますが、最も重要なのは、気象予報だけでは着氷の危険性に気付けない場合があるということです。今回の場合、雪を作り出していたのは、スキー場でした。それ以来、飛行経路にあるスキー場を把握して、ブリーフィング時に報告し、上空の風の状況に応じて飛行経路を修正するようにしています。また、煙や降水、人工雪などが及ぼす自然現象や非自然現象から受ける影響を常に予測できるように努めています。加えて、NVG飛行中の灯火の使用は、そういった現象の発生を把握し、それによる影響を軽減するために非常に効果的だということも分かりました。スキー場の人工雪は、スキーヤーにとってはありがたいものですが、その上空を飛行している者にとっては決してありがたいものではないのです。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2022年12月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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