AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター


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飛行中のエンジン故障:どう対応すべきか?

ティモシー・エドゲット
調査・報告・追跡部第3科長
アメリカ陸軍戦闘即応センター、アラバマ州フォート・ラッカー

非戦闘任務を遂行中のヘリコプターにおいて最近発生した2件の死亡事故には、いくつかの共通点が見られた。そのうちのひとつは、予防着陸ができないような緊急事態ではなかったということであった。これから述べるとおり、どちらのパイロットたちも、緊急操作手順を適切に行えば、シングル・エンジン状態で「努めて速やかに着陸」することができた(するべきだった)のである。

事故事例1

当該UH-60Lは、患者後送任務を遂行中、海面高度において、一方のエンジンの内部に不具合が発生した。パイロットは、シングル・エンジン時の緊急操作手順を行わなければならなかったが、シングル・エンジン状態になったことを認識してはいたものの、適切に対応することができなかった。機体は、シングル・エンジンの飛行エンベロープの範囲内にあり、まだ、飛行可能な状態であった。このため、適切に対応していれば、予防着陸を行うことも、基地に帰投して滑走着陸を行うことも可能であった。もちろん、いずれの場合においても、任務は遂行できなかったものの、少なくとも死亡事故の発生は回避できたのである。

この事故の原因は、緊急操作手順の実施における状況把握の不十分、および搭乗員の相互連携の不適切であった。対策としては、緊急操作手順の訓練頻度の増加に加えて、緊急操作手順の教育・訓練内容の見直しが行われることとなった。現在、教育等が行われている緊急操作手順は、今後、不具合発生時の状況把握および対応要領についての見直しが予定されている。

事故事例2

当該UH-60Lは、部品交換後の整備確認試験飛行を実施していた。要求されていた試験項目の中に、点検する側のエンジンにより大きな負荷をかけるため、反対側のエンジンのPCL(power control lever, パワー・コントロール・レバー)を操作する手順が含まれていた。試験飛行操縦士は、試験開始前に操作手順を確認するとともに、MALE(maneuver, abort criteria, limitation, emergency, 飛行諸元、中止要件、制限事項、緊急操作手順 )ブリーフィングを適切に実施していた。

試験飛行操縦士は、No.2エンジンのPCLを絞ると、エンジン計器を監視するため、注意配分の重点を機内に移していた。2つ目の操作手順を行っている最中に、No.1エンジンの不具合発生を示す警報が表示された。No.1エンジンの補機に不具合が発生し、シングル・エンジン状態に陥ったのである。事故事例1との違いは、一方のエンジンのPCLがアイドルまたはそれに近い状態にセットされている状態で、もう一方のエンジンの不具合が発生していたことであった。飛行前のMALEブリーフィングにおいては、この試験項目を行っている最中にシングル・エンジン状態になった場合の操作手順についても、説明が行われていた。にもかかわらず、その手順を誤ってしまったため、ローターが急減速し、機体が急降下してしまったのであった。

当該機は、No.1エンジンに不具合が発生しても、まだ、飛行可能な状態であった。MALEブリーフィングで説明された手順に従って、試験のための操作手順を中断し、エンジンの不具合に適切に対応していれば、シングル・エンジン状態で飛行できたのである。その場合、飛行の継続が可能であり、所属駐屯地に帰投して、滑走着陸を行うこともできたはずであった。

結 論

これらの事故発生状況を読んで、実際の緊急事態にどのように対応すべきかが分かったであろうか? 双発機のシングル・エンジン状態を経験したことがなければ、分からないのではないだろうか? では、副操縦士は、どのように対応すべきなのであろうか? その時になれば、どうして欲しいかが分かるかも知れないが、それをあらかじめ示しておくことは、極めて難しいのではないだろうか? この2件の事故においては、どちらの機体のパイロットも、任務遂行を承認されたうえで、駐屯地を離陸した。しかしながら、いざ緊急事態が発生すると、その対応の不適切により、4名の死者、数人の重傷者および2機の航空機の喪失を生じさせてしまったのである。

操縦しているパイロットと操縦していないパイロットは、それぞれの任務と責任を正しく理解しなければならない。緊急事態は、通常、前触れもなく発生するものである。緊急事態に適切に対応するためには、このことをしっかりと認識しておく必要がある。対応に際しては、直ちに行動しなければならない場合もあるし、そうではない場合もある。自分ならば、どう対処するか、しっかりと考えておいてもらいたい。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2020年05月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    この記事の説明だけでは、具体的な不具合の発生状況やパイロットが行った操作手順が不明ですが、双発ヘリコプターにおいて、一方のエンジンに不具合が発生した際の対応には、非常に難しい場合があるということを認識しなければなりません。