AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

自分自身の限界を把握すること

上級准尉3 ジョエル・バーロウ
アイダホ陸軍州兵第168航空連隊第1大隊A中隊
アイダホ州ボイシ

操縦課程に入校中に、NVG(night vision goggle, 暗視眼鏡)を使って、UH-60を初めて操縦した時のことを忘れることができません。それは、アラバマ州の美しい夜のことでした。私と教官は、ステージフィールドと呼ばれる訓練場で滑走着陸訓練を実施していました。滑走路のアプローチ・エンドには樹木が生い茂っていました。このため、その上から進入したならば素早く降下を行って、デパーチャー・エンドに到達する前に機体が停止できるようにする必要がありました。

平均的なレベルの飛行学生だった私は、当然、判断を誤る可能性がありました。2回目の進入を行った際、降下が遅れ、滑走路の真ん中に接地してしまいました。私には、ふたつの選択肢がありました。出力を上げてゴーアラウンドするか、あるいは、急ブレーキをかけて着陸するかです。着陸することにした私は、ブレーキを踏んで速度を落とそうとしました。しかし、滑走路のデパーチャー・エンドを超え、舗装面から逸脱しそうになったので、さらに強くブレーキを踏み込みました。

ようやく停止できた時には、草地の中に10〜15フィート入ってしまっていました。事故にならずに済んだことに安堵しましたが、驚いたことに、教官は、その間ずっと腕を組んだままでした。最後まで操縦桿を取ることもなく、何も心配していないかのようでした。私は引きつった笑みを浮かべながら言いました。「教官! 教官にとっては、恐れるほどのことではなかったんですね。」教官は、静かに笑いながら、こう言いました。「そんなことはない。良い経験になると思ったから、黙って見ていたんだ。これほど効果的な訓練は、他にないだろう?」

その教官は、こういった経験を積むにしたがって、機体と自分自身の限界を理解できるようになるのだ、と付け加えました。自分の限界を知り、自己満足に陥らないようにするためには、ミスによる恐怖を味わいながら、少しずつ経験を積み重ねることが必要なのです。

私は、操縦課程を卒業した後、飛行時間と経験が増えるにしたがって、操縦士としての自信を持てるようになってきました。その間、いくつものミスを犯し、事故を起こす寸前になったこともありましたが、無事故を継続できています。先のことが見通せないコックピットにおいて、ミスを完全に無くすことは不可能です。必要なのは、可能な限りミスを減らし、任務遂行に影響を与えないようにすることです。

たったひとつの小さなミスが致命的な事故につながる場合もあります。そういった事故を防止するために必要なのは、機体だけではなく、自分自身の限界を把握することなのです。ただし、危険度の許容レベルを高くしすぎないように注意しなければなりません。ミスから学ぶどころではなくなります。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2022年09月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

アクセス回数:339

コメント投稿フォーム

  送信後5分間は、編集が可能です。