AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

ゴー・アラウンドのコールには従え!

上級准尉2 スティーブン・ハンナ
第2916航空大隊C中隊
カリフォルニア州フォートアーウィン

操縦課程を卒業した私が最初に配属されたのは、カリフォルニア州フォートアーウィンにあるUH-72ラコタを装備する部隊でした。ある夜のこと、私は中隊の教官操縦士と2名の搭乗員とともに、NVG訓練飛行を行っていました。コロラド州ジプサムにある陸軍航空高高度訓練場で訓練を受けた経験豊富なNVG操縦士であるその教官操縦士は、山岳地での飛行とピナクル(狭隘な山頂部)で離着陸を展示しようとしていました。その教官操縦士は、コックピットの内外を問わず、常に気性が荒く、無愛想なことで知られていました。彼と一緒に飛びたいと思う者は、誰もいないほどでした。

駐屯地の演習場内には数多くのピナクルがあり、そこには警戒用の戦闘前哨が設営されていました。そこには合板で作られた小屋や携行食の入ったダンボール箱、土嚢、蛇腹鉄条網などがありました。これらはすべて、FODとなって降着地域の安全を脅かす可能性がありました。

教官操縦士は、低高度で偵察飛行を行いながら離脱経路の説明を行った後、ピナクル・ランディングを展示するためVMCアプローチを開始しました。対地高度約50フィート(約15メートル)に達した時、いつものように粉塵や土嚢袋が舞い上がりました。しかし、それよりも重大だったのは、着陸地点のすぐ近くに4×8フィート(約1.2×2.4メートル)のベニヤ板が置かれていたことでした。対地高度約25フィート(約8メートル)まで降下すると、そのベニヤ板がダウン・ウォッシュであおられ始めました。それは今にも舞い上がり、ローター系統に衝突しそうでした。私は、直ちに「ゴーアラウンド!」をコールしました。しかし、教官操縦士は降下し続けました。このため、ゴーアラウンドをもう一度コールしました。教官操縦士は、「分かった」と返事をしました。

その時には、ベニヤ板が地面から数インチ浮かび上がっていました。そのまま着陸してしまったあと、私は教官操縦士の肩を叩きながらこう言いました。「着陸復行を強く勧告したはずです。10時方向20フィート(約6メートル)にベニア板があるのが見えないのですか?」教官操縦士は、ちゃんと見えていたから心配するなと言いました。私は、2回目にゴー・アラウンドをコールした後、危険を回避するため操縦桿を取ってコレクティブを引くことも考えましたが、そうはしませんでした。幸いなことに、一度浮かび上がったベニア板は地面に戻っており、機体に損傷を与えることはありませんでした。

飛行を終了し、飛行後点検を完了した後、私は教官操縦士にゴー・アラウンドをコールした理由とそれに反応してもらえなかったことにショックを受けたことを明確に伝えました。経験レベルの違いによって安全性の判断が異なることは、若手パイロットの私にも理解できていました。しかし、誰でもゴー・アラウンドをコールできるということも、初飛行の日からずっと教え込まれていました。私は「最も保守的な対応(most conservative response)」という言葉を何度も聞いたり、使ったりしてきました。上級操縦士と一緒に飛行する新米の機長資格操縦士であった私は、自分の判断は正しかったし、真剣に受け止められるべきだったと感じました。

病院のヘリポートへの着陸やダスト・ランディングの最中にFODを巻き上げて危険な目にあったパイロットの話は、何度も聞いたことがあります。NVGを使用した低照度環境の中、埃の舞い上がりやすい山岳地帯で十分なパワーのない機体を飛ばす場合には、特に危険性が増大します。新人の機長である私は、搭乗員ブリーフィングで安全を強調しないことはありません。この経験から得た教訓は、搭乗員からゴーアラウンドがコールされたならば、必ずそうしなければならないということです。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2023年12月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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