AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター


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安全確保に必要な要素

大佐 ジェイソン・ミラー
アラバマ州フォート・ラッカー
アメリカ陸軍戦闘即応センター副司令官

陸軍航空に「ルーチンな任務」などというものはない、とよく言われる。航空事故調査の結果も、その多くがこのことを証明している。作戦行動前後の平時においても、事故を引き起こす悪魔は常に存在しているのである。これから紹介するのは、最近のクラスA事故の航空事故調査で頻繁に指摘されている事項である。

R-COP(Risk-Common Operating Picture, 状況の特質):

航空事故調査において、事故発生部隊がデータとして残しているR-COPを確認すると、危険(mission risk)の増大につながる重要な要因(key factors)が記載されていないことが多い。忘れられがちな要因には、作戦環境(operational environment)(砂塵/地形)、体調管理(fighter managemen)およびNVG訓練(night vision system training)の実施状況などがある。これらの要因を考慮しないということは、パイロット等の選定に必要な情報をMBO(Mission briefing officer, 任務担当将校)および承認権者(approval authority)に提供できないことを意味する。飛行部隊は、常日頃からR-COPの様式の洗練に努め、訓練と戦闘任務のいずれに関しても、部隊運用に影響を与える要因をすべて網羅できているか確認しなければならない。

ATM(Aircrew Training Program, 訓練計画):

事故調査の結果によれば、ATPが適切に管理されていない場合が多い。指揮官による確認を行なわずに放置すると、標準練度からの僅かな逸脱が、短期間のうちに「通常」のことになってしまいがちである。指揮官およびその訓練幕僚(standardization staff)ならびに航空安全担当将校(aviation safety officer)は、自隊のATPを定期的に確認し、抜き打ち検査(no-notice evaluations)や指揮官同乗(commander fly-alongs)、飛行前ブリーフィング(MBO briefings)への参加などを行って、ATPが健全な状態にあり、部隊の練度が基準に適合していることを自ら確認するように努めなければならない。

MBO(Mission briefing officer, 任務担当将校)訓練:

事故調査の結果、事故防止のための最後の砦であるMBO訓練に問題が見られる場合もある。飛行前ブリーフィングは、搭乗員が離陸前に危険を認知できる最後のチャンスである。MBOは、搭乗員に何を質問すべきかを完全に理解できていなければならない。各級指揮官は、自らがMBO訓練計画の作成とMBOの評価に関する鍵を握っていることを自覚し、それらが目的に合致して行なわれていることを定期的に確認しなければならない。

幕僚活動(Staff Planning):

事故調査の結果によれば、計画の立案に際し、(安全担当将校を含む)主要幕僚が不在であったため、DRAW(Deliberate Risk Assessment Worksheet, 危険見積)が十分に行なわれていなかった場合もあった。計画の立案を適切に行うことによって、任務の遂行に先立って危険を予知し、不測事態への対処を演練し、任務の実行を管理することが可能になる。指揮官は、DRAWおよびR-COPを単なる書類作成ではなく、実効性のある業務として実施するとともに、その立案の過程に適切な要員が参加できるように着意しなければならない。さらに、隷下部隊は、指揮官の企図を踏まえ、状況、環境および任務の変化に応じた状況判断(risk decisions)を継続的に実施して、任務の完遂を確実にしなければならない。

搭乗員の自信過剰:

自信過剰は、これまで述べた標準状態からの逸脱、不適切な計画および訓練、不十分な安全管理などが生み出す副産物である。指揮官および操縦士は、航空機の内外において、自分が自信過剰になっていないことを定期的に確認しなければならない。また、自信過剰は、任務の完遂の観点から最も重要な、ある事項に対しても劇的な影響を及ぼす。それは、CRM(Crew Resource Management)(訳者注:原文は、crew coordination)である。飛行のように危険な状態を快適に感じてしまうことは、大きな危険性をはらんでいることを認識すべきである。

予行(Rehearsals):

地上における作戦と同じく、航空事故においても事前の戦闘予行(pre-mission rehearsals)が不足している場合が多く見られる。予行は、作戦遂行中のみならず、その前後の平時においても、搭乗員が事前に危険対処を演練し、壊滅的な事故につながる小さな問題点を認識できる機会を与えてくれる重要なプロセスである。指揮官は、飛行前に行う予行を標準化することにより、実行管理を適切にし、危険を許容レベルまで低下させることができる。また、隷下部隊および隊員を訓練し、何が「正しい」のかということについて、プロにふさわしい見識を作り上げることができる。

このシステムの欠陥は、最終的には事故の原因につながる。SOPに従い、標準を維持し、総合的な訓練を実施し、適切な要員(教官操縦士および航空安全担当将校)により計画を策定しつつ、事前予行の標準化を行い、安全に任務を完遂できる態勢を構築しなければならない。

Readiness Through Safety!(安全の確保により、即応性を維持せよ)

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2020年03月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    内容的には、目新しいものは何もありませんが、航空安全に関する用語が多く含まれている記事です。基本的に陸自航空科で使用されている用語に置き換えるようにしたつもりですが、違っているものがあれば、ぜひ、ご指摘ください。
    なお、米陸軍は、現在、CRMという用語を用いていません(以前は、Composite Risk Managementの略語として用いていました)。米陸軍のcrew coordinationは、民間航空や陸自のCRMに相当すると考え、CRMという訳語をあててみました。