AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター


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ポスターチャイルド

上級准尉4(退役)シェーン・R・レーン

私がこの話をするときに、いつも最初に言っていることですが、「この事故の責任は、100パーセント私にあります」 これから、そのクラスD事故について、プライドをかなぐり捨ててお話ししたいと思います。

2005年の秋、私は、フォート・ラッカーで教官課程を卒業してから4か月目の新米教官操縦士として勤務していました。上級准尉3に昇任したばかりでしたが、ブラック・ホークでの飛行時間は約1,200時間に達していました。操縦教官課程を卒業して4か月で1,200時間。信じられますか? これが落とし穴でした。同じような数字を「統計資料」というタイトルのパワーポイントで見たことがあります。それは、飛行時間と経験を積んだパイロットは自信過剰になりやすいという、誰もが受けたことのある授業で使われたものでした。

その時は、「自分には、関係のない話だ」と人ごとのように思っていました。しかし、その授業はまさしく私のためのものだったし、むしろ私自身が「ポスターチャイルド(典型)」だったのです。これを読んでいる皆さんの中には、私が言わんとすることを分かってくれる人もいることでしょう。

私の教え子の中のひとりに、非常に優秀な学生がいました。その学生は、常に準備を怠らず、積極的に学ぼうとしていました。ある金曜日の午後、私とその学生は、近郊の訓練場でホバリング中のシングル・エンジン故障の緊急操作訓練を行いました。学生によくあることですが、機体のすぐ下にある整地された地面に直ちに着陸しようとせず、ホバリングを続けながら、高高度で前進飛行している時のエンジン故障と同じように対応しようとする傾向がありました。私は、フォート・ラッカーを卒業した後は、機体性能あるいは環境条件によっては、シングル・エンジン状態でのホバリングが困難な場合もあることを説明しました。そのうえで、「着陸適地の上空でホバリング中に片方のエンジンが停止した時には、もう少し『アグレッシブ(果敢)』に機体を着陸させなければだめだ。緊急操作手順は、それからだ」と言いました。これが第1の過ち、「言い回しの不適切」でした。

その学生は、週末の間、次にホバリング中にエンジン停止の状況を付与されたならば、どうやったらもっと「アグレッシブ」になれるかということを考え続けていました。月曜日の朝、私とその学生は、また同じ訓練場で訓練を行いました。私は、ホバリングして、機首を90°左に向けるように指示しました。そして、その旋回中に緊急操作の状況を付与したのです。それは、この緊急操作への対応がやや遅かったという前回の訓練結果を踏まえたものでした。その学生は、旋回が終わるまでそれに対応しないだろうし、着陸してから緊急操作手順を行い、そのまま傾斜地訓練場に向けて離陸することになると思っていたのです。これが第2の過ち、「状況付与の不適切」でした。

私がパワー・コントロール・レバーを絞ろうとして手を伸ばしたとたん、その学生は、「アグレッシブ」にコレクティブを押し下げました。このため、機体が旋回している状態でテール・ホイールが地面に接触し、折損してしまいました。これもまた学生によくあることですが、緊急操作時のコレクティブの下げ操作が速すぎたのです。操縦教官課程で、常にコレクティブをガードするように教えられているのは、このためです。私のように、単にコレクティブの下側に指を添えているだけではダメなのです。加えて、旋回中に緊急操作の状況を付与しなければ、降着装置が衝撃を吸収してくれ、事故に至ることはなかったハズなのです。

さて、私はどこで間違ったのでしょうか? もっと「アグレッシブ」に対応するようにと言ったのは、言葉の選択が不適切でした。そして、緊急操作の状況付与も不適切でした。先ほども言ったとおり、もし、横方向の速度成分がない状態で接地していたら、この事故は起こらなかったのです。もうひとつの問題は、誰もが警告されていることですが、自信過剰です。その学生は優秀でした。しかし、どんなに優秀な学生でも、教官をビックリさせるような操作を行う可能性があるのです。あなたには、その心構えができていますか?

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2020年08月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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