AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

Aero App – 無料で利用可能な国防総省の電子フライト・バッグ

アレクサンドラ・M・マークス

「ドッグハウス」を使って経路を表示しているAero Appの画面
最新の空域情報を提供するAeroアプリのムービング・マップ機能

陸軍パイロットにとって、データをいつでも簡単に手に入れられることは、何よりも大事なことです。国家地理空間情報局(National Geospatial-Intelligence Agency, NGA)のAero Appは、任務を成功させるため、正確な航空情報を適時に入手することを可能にします。Aero Appは、アメリカ国防総省が管理する電子フライトバッグです。マルチプラットフォームで動作するこの航空用アプリケーションは、国防総省の軍事航空データを取得するために欠かせないツールとなっています。

Aero Appの能力および機能は、何年にもわたって改良が続けられ、連邦政府の傘下にある国家地理空間情報局が保有する広大な地理データへのアクセスが可能となりました。最新のテクノロジーを採用したAero Appは、必要なデータをいつでも現地で入手できる環境を与えてくれています。新しいバージョンがリリースされるたびに機能が追加され、新しい発見をもたらしてきました。

Aero Appは、コックピット内の紙ベースの飛行情報に置き換わり、世界中の情報を網羅したムービングマップを提供し、任務計画の策定と実行を強力にサポートします。数多くのデータソースをまとめて表示することにより、空港、地形、気象などの航空情報を含む飛行経路の全体像の把握を可能にします。データ圧縮およびクラウドを利用することにより、必要なデータをすばやくダウンロードすることができます。

Aero Appのプログラムは、ユーザーからの要望を直接聞き取り、飛行任務の遂行をサポートするために必要な機能を追加してきました。その一例が、多くの陸軍パイロットからの要望により実現したドッグハウス機能です。ドッグハウスを利用することにより、対地速度を入力し、ウェイポイント通過時刻を選択するだけで、離陸時刻、飛行時間、到着事項を自動的に計算して表示し、ウェイポイント通過時刻からの遅れまたは進み時間を表示し続けることができます。

Aero Appは、3つの主要なオペレーティングシステムのすべてで利用できる唯一の電子フライトバッグ用アプリケーションです。Aeroデータサーバーやクラウドからシームレスにデータを入手できる多様なツールを利用することにより、派遣先における運用を見直すことが可能となります。ムービング・マップ上に表示される航法援助施設、GPS航跡情報などの戦術ツールに加えて、リアルタイムの運航情報と気象レーダー情報を受信することにより、即応性および殺傷性を最大化できます。

一般の人たちが「遊ぶように練習する」のと同じように、パイロットたちにとっては「戦うように訓練する」ことが必要です。過酷な環境でも運用可能なAero Appは、戦闘地域での飛行任務に理想的なアプリケーションです。Aeroデータサーバーは、クライアントに対するAero Appデータの提供を担います。このため、Aero Appを実行しているiOS、Android、およびWindowsモバイル端末のユーザーは、ローカルでホストされたWi-Fiネットワークを利用してAero用データを入手し、航空データを迅速かつ確実に取得することができます。また、インターネット環境が存在しない戦闘地域であっても、秘匿された軍のサーバーを利用することが可能となっています。さらに、秘匿された航空任務計画ステーションの任務計画および関連図表を秘匿されたタブレットにダウンロードして、MBTilesを生成することもできます。このため、作戦の終始を通じて、完全に秘匿された状態で飛行任務を遂行することが可能になっています。

Aero Appを利用するためには、iOS、Android、およびWindowsタブレットが必要です。Aero Appの詳細や、ニュースレターおよび毎月行われるオンラインセミナーへのサインアップに関しては、www.AeroApp.infoにアクセスするか、AeroDistro@nga.milの航空情報提供チーム(Aeronautical Dissemination Team)までお問い合わせください。

アレクサンドラ・M・マークスは、バージニア州フォート・ベルボアールに所在する国家地理空間情報局で航空情報提供担当副プロジェクト・オフィサーとして勤務している。

                               

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2022年02月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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3件のコメント

  1. 管理人 より:

    一応サイトにアクセスし、Aero Appのダウンロードにチャレンジしてみましたが、拒否されました。当たり前ですよね。

  2. Water より:

    2年ほど前にはDoDに所属するパイロットはForeFlightというアプリのミリタリー版が無料で使用できた様に記憶しています。
    現在ではForeFlightを使用する場合には個人的な負担が必要な様です。
    予算的な問題なのか取扱う情報上の問題なのかわかりませんが官製のAero Appの登場によってパイロットに提供されるサービスが低下しないかが懸念されます。

  3. 管理人 より:

    これですね。
    能力的には、ForeFlight > Aero App なんですね。
    ありがとうございました。