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陸軍航空の情報センター

テクニカルトーク:ヘリコプターの騒音対策

トーマス・L・トンプソン博士

回転翼機が軍事作戦および民間運航を行う際の問題点のひとつに、騒音の発生があります。

敵との接触線の近くを飛行する場合でも、都心部のヘリポートに着陸するために降下する場合でも、地上の人々から余計な注意を引くことは望ましいことではありません。このため、近年では、回転翼航空機の設計および承認に際し、より厳しい騒音基準に適合することが求められるようになってきました。

米国連邦航空局(FAA)が最初の騒音規制を制定したのは、1969年のことでした。1988年には、その基準である14 CFR Part 36(連邦規則集タイトル14パート36)が修正され、ヘリコプターに関する認定要件が付け加えられました。その新しい規則には、新しい型式のヘリコプターを設計する際の、離陸、進入、および飛行中の外部騒音の許容値が設定されています。その目的は、新型機の設計に最新の騒音低減技術を適用させることにより、米国だけではなく世界中の地域における航空機の騒音被害を減少させることにあります。2014年7月には、ヘリコプターに関する最新の認定要件である「ステージ3」が採択されました。

その規制には、航空機の騒音に対する人間の不快感を最も適切に表すものとされるEPNdB(Effective Perceived Noise, 実効知覚騒音)を用いた外部騒音の制限が定められています。それには、音の強さ(デシベル)だけでなく、周波数や持続時間も含まれています。EPNdBは、地上に配置された複数のマイクで集音された信号を使用し、14 CFR Part36に規定されている方法で計算されます。ステージ3に定められているヘリコプターの騒音許容値は、ステージ2よりも約3EPNdB低いものとなっています。また、その許容値は、航空機の重量に応じ、対数関数を用いて調整されます(つまり、重量の大きな航空機ほど騒音許容値が高くなります)。連邦航空局は、アドバイザリー サーキュラー(Advisory Circular) 36-1Hを発出し、これらの手法に基づく飛行機およびヘリコプターの騒音レベルをすべて公開しています。

「ファン・イン・フィン」設計のエアバスH145ヘリコプター
MD520Nノーター・ヘリコプター

これらの規制の厳格化により、外部騒音を低減するための設計手法や運用技術が改善されてきました。現代の回転翼機の設計者たちは、地上の観測者が知覚する騒音の主な原因であるメインローターとテールローターからの騒音を低減するため、数十年にわたる研究から得られた成果と教訓を取り入れています(エンジン騒音のほとんどは、上向きに放出されます)。

メインローターは、ローター先端の速度を下げるだけでなく、ブレード、特にその先端部を成形して空力効率を最大化し、ブレードの厚さ、負荷および遷音速(衝撃形成)効果による騒音を低減しようとしています。たとえば、過去30年以内に設計されたほとんどの回転翼機は、約720フィート/秒以下の先端速度で運用されており、空力効率を高め、高速飛行での騒音を低減するために、スイープまたはテーパー・ブレード・チップを採用しています。

また、テールローターも、地上の人々に聞こえる騒音の大きな原因となっているため、最新の設計では、エアバス社のヘリコプターに見られる「ファン・イン・フィン(fan-in-fin)」設計などのダクテッド・テール・ローターを備える場合が多くなってきています。ダクテッド・テール・ローターは、メインローターの先端渦との相互干渉などのテールローターの騒音の原因の排除または低減に効果があります。また、従来のテールローターよりもブレード数が多く、周波数が高いため、騒音がより速く大気中に拡散されます。ノーター(NO-Tail-Rotor, NOTAR)も、テールブーム内にファンを囲い込むことで、同様の効果をもたらします。

さらに、騒音を軽減するための着陸要領については、アメリカ航空宇宙局(NASA)などの機関が実施した検証試験により、さまざまな手順がもたらす効果が実証されています。試験結果によれば、ヘリコプターが自分自身の航跡の中を降下するときに発生するBVI(blade-vortex interaction)騒音を最小限に抑えるように飛行プロファイルを変更することにより、地上に到達する騒音のレベルを低減できることが明らかになっています。

連邦航空局は、より厳しい基準の設定および低騒音技術の開発により、航空機の騒音にさらされる人々の数を大幅に減少させることができたと報告しています。航空当局がさらなる騒音規制の採用に取り組む中、次世代の回転翼機の開発にあたっては、より「静かな」の機体の設計が求められてゆくことでしょう。

トーマス・L・トンプソン博士は、アラバマ州レッドストーン工廠に所在する米陸軍航空およびミサイルセンター(U.S. Army Aviation and Missile Center)のシステム即応準備局(Systems Readiness Directorate, SRD)の航空力学部のチーフエンジニアです。

                               

出典:ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2021年07月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. Takumi soyama より:

    はじめまして日本在住のtakumi -soyama ともうします。航空機、ヘリコプターの排気音を低減ではなく消音無臭化する史上初のタービンを発明しました。本タービンを排気口部へ装着するとアイドリングから排気ガスを吸収相殺し同時に内燃機関の排気音も低減ではなく消音無臭化し綺麗な空気で静かで飛行できCO2の排出量は自動車で測定した結果0‚00であつた。このタービンを貴国をはじめ世界が早急に内燃機関や火力発電所へ採用されることを希望します。