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不動産登記を自分でやってみた

先日、自分の所有する不動産(土地・建物)の登記を自分でやってみました。紆余曲折がありましたが、ちゃんと登記ができましたので、その体験をまとめておきたいと思います。

お断りしておきますが、私は、不動産登記に関し、何らの資格も持っていない素人です。これから記載する内容には、一切、責任を負えませんので、ご了承ください。

結論

まず、結論を先に申し上げますと、不動産登記を自分でやるために絶対不可欠なことは、「法務局の指示のとおりに手続きする」ということです。

状況

私が不動産の登記を行った際の状況は、次のとおりです。
・平成5年に土地と建物を購入し、「所有権移転登記」を行った。土地の「地目」は、「雑種地」のままであった。
・平成13年に建物を建て替えたが、「建物表題登記」および「所有権保存登記」を行っていなかった。
・令和2年に土地と建物を売却することになり、土地の「地目変更登記」、ならびに建物の「建物滅失登記」、「建物表題登記」および「所有権保存登記」が必要となった。

ちなみに、このような「状況」になっていることを理解できたのは、すべての手続きが終わるころになってからです。
それまでは、何が必要で、何ができていないのか分からず、手探り状態で、一旦申請した登記を取り下げてやり直すこともありました。

そもそも、なんでこんな「状況」になったのかという説明は割愛しますが、要は「適当」に済ませてしまっていたということです。

オンライン申請

私の場合、登記手続きは、オンラインで行いました。法務局のホームページに、コロナ対策のため、「努めてオンラインで手続きを行うように」と記載されていたことと、オンラインの方が法務局に行く手間を減らせるし、申請書を手書きで書かなくても済むと思ったからです。

申請準備

「登記・供託オンライン申請システム」というサイトでオンライン申請のマニュアルやソフトをダウンロードできます。

このサイトには、さまざまな情報が掲載されていますが、そのうち必要なのは、「申請用総合ソフト」だけです(個人の感想です)。
・これ以外にも「簡易版」だの「体験版」だのといろいろな情報やソフトが盛りだくさんですが、どれもこれも役に立ちません(個人の感想です)。

この時点で最も知りたい情報は、「申請に必要な書類は何なのか」ということなのですが、いくら探しても、それにきちんと答えてくれる情報はありません(個人の感想です)。
必要な添付情報(書類)は、申請書を作成すると自動的に表示されるようになっていますので、とにかく、あれこれ悩むより、ソフトをインストールして、手順を進めた方が手っ取り早いです。

ちなみに、「かんたん登記申請」というWeb版の申請アプリもありますが、そもそも一体何の申請ができるのかがさんざん準備を進めた後にならないと説明されないというありさまです(個人の感想です。ちなみに名義人の変更しかできません。)。

申請用総合ソフトのインストール

まず、「申請用総合ソフト」をダウンロードしてインストールします。「申請」するだけなのに、なぜ自分のパソコンにアプリケーションをインストールしなければならないのか、全く理解できませんが、大事なことは、「法務局の指示のとおりに手続きする」ことです。疑問を持たずにインストールしましょう。

インストールそのものは、特に難しいことはありません。

このソフトを使って、オンラインで申請手続きができるのは、「平日 午前8時30分から午後9時まで」です。「オンライン」なのに、なぜ24時間対応でないのか、これも全く理解できませんが、「法務局の指示のとおりに手続きする」ことが重要です。

各登記に共通する事項

記入には、細かいルールがたくさんあります。例えば、住所には、漢数字を用いる部分と算用数字を用いる部分があります。雑種地と宅地では、面積の記載要領が異なります。また、不動産の所在地には「番地」が使われますが、家屋建物番号には「番」です。そんなこと、知る由もありませんから、とにかく常識的な記載要領で記入して、申請してしまいましょう。修正が必要な場合は、申請後の「補正」として、法務局から電話とオンラインで修正が指示されますので、それに従って修正すれば問題ありません(個人の感想です)。ここでも大事なことは、「法務局の指示のとおりに手続きする」ことです。「なんで、そんな修正が必要なんだ?」なんて聞いても、何の意味もありません(専門家になりたいと思っているなら別ですが…)。

登記完了証は、どこかに提出するものではありませんので、オンライン交付で問題ありません。

申請には、マイナンバーカードを用いた署名が必要です。もちろん、そのためには、カードリーダーも必要です。

「添付情報」は、「ファイル添付」機能を使って提出できます。「公的個人認証サービス」が必要になると思って準備したのですが、必要ありませんでした。ファイル添付の仕方にいろいろと選択肢があって迷いますが、「ファイル追加」で問題ありませんでした。でも、結局、ほとんどの書類の原本を提出するように、補正指示がありました。何のための「ファイル添付」なのか意味が分かりませんが、「法務局の指示のとおりに手続きする」ことが重要です。

なお、建物に関する登記は、本来、新築後1ヵ月以内に行わなければならないのですが、おとがめはありませんでした。

地目変更登記

土地の売買に伴ってローンを組むためには、土地が「宅地」でなければならないそうです。

この登記には、特に添付書類は求められませんでした。

建物滅失登記

新しい建物を登記する前に、取り壊した建物について、建物滅失登記を行う必要があります。

取り壊した時期が不明確で補正を求められましたので、指示どおりに修正しました。

建物表題登記

これが一番面倒な手続きです。添付情報として、建物図面、各階平面図、所有権証明情報および住所証明情報が求められます。

このうち、所有権証明情報は、「確認済証」と「検査済証」、住所証明情報は「住民票」を提出すればOKです。

問題は、「建物図面」と「各階平面図」です。同じ名称で同じ情報を網羅した書類が「検査済証」の中に含まれていますが、B4の用紙に決められた書式で「建物図面」と「各階平面図」をまとめて記載した書類を別途作成し、提出しなければなりません。なぜこんな書類が必要なのか、全く不明です(個人の感想です)が「法務局の指示のとおりに手続きする」ことが必要です。私の場合は、ネット上で公開されていたエクセルの様式に図面を記載し、コンビニのプリンターでB4の用紙に印刷して「持参」しました。

所有権保存登記

建物表題登記を行えば、登記簿にはすでに所有者が記載されているのに、なぜ、改めて所有権を登記しなければならないのかは、全くもって謎です(個人の感想です)。しかし、この登記を行なわなければ「登記識別情報」(いわゆる権利書)を発行してもらえません。そして、権利書がなければ、不動産の売却ができないそうです。

この手続きだけは、「登録免許税」を支払う必要があります。この金額は、「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)納税通知書」に記載されている「固定資産税課税標準額」に応じて、自分で算定しなければなりません。この金額の算定要領という一番欲しい情報が、マニュアルには記載されていませんので、別途、調べる必要があります。

登記識別情報

「登記識別情報」は、オンラインでも交付を受けられます。ただし、これは全くもってお勧めしません。そのための手続きがとても面倒だからです。どうせ、何回も法務局に行くことになりますので、窓口で交付してもらったほうがはるかに簡単です

申請手続きが終わっても、「取りに来てください」というような案内はありません。私の場合は、「手続き終了」の連絡を受けた翌朝に受領に行きましたが、すぐに交付してもらえました。

ちなみにオンライン交付の手続きは、ざっくり言うと、「所有権保存登記」の際にオンライン交付を申請し、その際にパスワードを設定した返信用封筒のようなものを添付し、登記完了後に別途ダウンロードを申請するとパスワード付きのデータが送られてくるというような流れになります。

おわりに

不動産の登記を自分で行うのは、大変です。最初に述べたとおり、私の場合は、4つの登記を順不同かつバラバラに、試行錯誤しながら行いましたので、補正要領の確認や書類の提出などのため、全部で7,8回は法務局に行かなければならず、期間も1ヵ月以上かかりました。でも、いろいろと勉強になりましたし、何よりも10万円以上の節約ができたので、やってみて良かったと思っています。
最後にお世話になった旭川地方法務局の担当の方に、心からお礼を申し上げたいと思います。法務局にしてみれば、私のような素人を相手にするのは、さぞかし面倒なことだと思うのですが、とても丁寧に対応していただけました。そうでなければ、自分で登記なんて絶対にできませんでした。大変、ありがとうございました。

           

発行:Aviation Assets, 10 July 2020

アクセス回数:8,238

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4件のコメント

  1. 中沢祐太 より:

    いつも投稿されるためにブログを拝見させていただいております。
 
    中沢祐太です。
    お忙しい中恐れ入ります。 

    インターネットなどいろいろ調べたり、法務局に行きましたが、出すものしか言われません、自分の知識不足で理解が追いついていないと感じており
質問をさせていただきたくご連絡いたしました。

    不動産登記にに関して知識を深めたいと考えております。
つきましては、以下3点について教えていただけますでしょうか。

    1
    物件を購入して、譲っていただいたときの最低限必要な書類(売り主、買主い)

    2
    最低限の必要な項目など 

    3
    ひとまず国のルール、最低限できていれば良い箇所などを教えていただけたら幸いです。

    お忙しい中わがままを言ってしまい申し訳ございません。

    • 管理人 より:

      コメントをいただき、ありがとうございます。

      投稿にも書かせていただいているとおり、「不動産登記に関し、何らの資格も持っていない素人」です。売買に伴う登記は、(先方に迷惑をかけてしまうかも知れないので)自分で行ったことがありません。よって、ご質問には、お答えできません。

      ただし、「申請用総合ソフト」で「登記申請書(権利に関する登記)(3)所有権の移転(売買)」を行うこと、そこに記載されている「登記原因証明情報、登記識別情報、住所証明情報、代理権限証明情報」を準備すること、申請に不備があった場合に送られてくる「補正」指示に従うこと、が必要なことのような気がします。

      今後ともよろしくお願いいたします。

    • 備後のめんそーれ より:

      私もこれだけを知りたいのですが、なかなかこれだという情報にあたりませんねー
      太陽光発電を土地借りてやってるのですが、地主さんがワシはもう長くないから土地を買ってくれ、身軽になりたいと言われて、できれば司法書士代浮かせたいとあやこれ見てる状況です
      AAさんのコラム面白くてタメになります。今後も読ませていただきます

      • 管理人 より:

        コメントありがとうございます。
        うまくいくといいですね。

        旭川地方法務局の相談窓口では、ベテランの方が対応してくださり、「えっ! そこまで教えてくれるの?」というところまで懇切丁寧に教えてくれました。
        今は「ウェブ登記手続案内」もあるようです。
        まずは一度相談してみるのも手かも知れません。