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陸軍航空の情報センター

航空事故回顧-AH-64Eの制御不能

上級准尉4(退役) ダナ・R・ブリュワー
アメリカ陸軍戦闘即応センター有人航空システム航空安全部
アラバマ州フォート・ノボセル

当該機は、夜間の射撃訓練を実施中、最初の射撃のため、ホバリングを開始した際に機体がスピンしはじめ、操縦不能状態になった。その後、そのままスピンしながら降下して地面に接触した。機体は、さらに約90度スピンした後、No.1エンジン側に45度傾いた状態で停止した。搭乗員は自力で脱出し、救急医療隊員によって救助された。

飛行の経過

当該AH-64Eは、部隊指揮官によって承認された飛行計画に従い、射撃訓練の第6習会を実施中であった。諸兵科連合作戦の要員に選定されていた機長および副操縦士は、射場への移動・展開に先立ち、射撃ブリーフィングに参加していた。DAフォーム5484-Rの記載、任務の計画およびブリーフィングの実施、および戦闘航空旅団の規定に従ったリスクレベルの判定は、機長によって適切に実施されていた。機長は、その後、資格を有する任務担当士官から対面で説明を受け、続いて最終任務承認権者から、陸軍規則95-1「航空飛行規則」に基づき、中程度のリスクを持つ任務として、当該任務の遂行を承認された。

当該機は、多目的射撃場の観測点の付近にあるFARP(forward arming and refueling point, 燃料弾薬再補給点)から離陸すると、射場安全士官から射場への進入を許可された。射場安全士官は、事故機の搭乗員に対し、戦闘陣地に進入して待機するように指示した。地面効果外ホバリングに移行した当該AH-64Eは、操縦不能状態となり、スピンしながら降下して、戦闘陣地から約数百フィート離れた傾斜地に落着した。

搭乗員の練度

機長の総飛行時間は528時間であり、そのうち機長としての飛行時間が105 時間、シミュレーション訓練が433時間、NG(Night Vision Goggles, NVG, ヘルメット装着型暗視装置)での飛行が76時間、NS(Night Vision System, NVS, 機体搭載型暗視装置)での飛行が96時間であった。副操縦士の総飛行時間は323時間であり、そのうちシミュレーション訓練が245時間、NGが43 時間、NSが71時間であった。

 考 察

当該機は、搭乗員による過大な出力要求および不適切な操縦により制御不能状態に陥り、スピンしながら地面に接触したものである。この事故の原因は、戦闘位置に進入するため、地上300 フィートにおいて対気速度ゼロまたはそれに近い速度まで減速する際に、機体を適切に操縦できなかった機長の人為的ミスであった。当該機長の操作は、AH-64 シリーズ搭乗員訓練マニュアルのタスク1058「VMC(visual flight rules, 有視界気象状態)での進入」に従ったものではなかった。

過去2年間の陸軍全体における有人機のクラスA-C事故は、その80%以上が人的ミスによるものである。任務の完遂および事故防止のためには、作戦に適合したパワー・マネジメントおよび機体操縦の実施が重要であることを改めて認識しなければならない。

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2023年07月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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4件のコメント

  1. 管理人 より:

    「搭乗員の練度」に記載されている「NG」と「NS」の意味については、Flightfax編集部に問い合わせ中です。

    • 管理人 より:

      次のとおり、回答がありました。
      NG is Night Vision Goggles and NS is Night Vision System.
      記事の該当する部分を修正しました。

  2. 鎌田 和明 より:

    たぶんNGは、ヘルメットにつけるタイプでNSは、機体の暗視装置を使っての飛行では、ないですか?

    • 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      ご教示いただいたとおりです。
      本文にその旨を追記させていただきました。

      今後ともよろしくお願いいたします。