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陸軍航空の情報センター


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チヌークの航空事故発生状況(2015~2019年度)

ジョン・ディキンソン
アメリカ陸軍戦闘即応センター
事故調査および対策部局(Directorate of Assessments and Prevention)航空部

 

2015年度から2019年までの5年間(365,000飛行時間以上)で、H-47シリーズに発生したクラスA~Cの航空事故は、41件であった。その内訳は、クラスA事故が5件、クラスB事故が2件、クラスCが34件であり、総損害額は520万ドルを超えた。幸運なことに、死者はなかった。クラスA事故の発生率は、10万飛行時間あたり1.37件であった。クラスA~Cの事故発生率は、8.21件であった。

運航段階別(飛行中、飛行関連、地上)には、41件の事故のうち30件が飛行中、残りの11件のうち4件が飛行関連、7件が地上での事故であった。

他機種と比較すると、H-47のクラスAおよびクラスA~Cの事故発生率は、H-60のクラスA1.09件およびクラスA~C7.13件と、H-64のクラスA2.11件およびクラスA~C9.06件の中間の値であった。

クラスA事故においては、人的ミスによるものが4件(80パーセント)だったのに対し、器材の不具合によるものは1件(20パーセント)であった。原因が明らかになったクラスA~C事故においては、人的ミスによるものが68パーセントを占め、器材の不具合によるものは26パーセントであった。環境要因(バード・ストライクなど)によるものは、事故全体の6パーセントであった。41件の事故のうち、7件が原因不明または調査中である。以下は、事故の類別別の発生状況の概要である。

エンジンの停止/故障

・飛行場に向かう途中、No.1およびNo.2の低燃料注意灯が点灯した。35度の右バンクで9度の機首下げ姿勢で、トラフィックパターン内のダゥンウィンドを飛行中、No.2低燃圧注意灯が点灯した。14秒後、No.2エンジンが停止し、ローター速度が低下した。機体は、無事に着陸した。(クラスC)

・エンジン・オーバースピード点検を実施中、エンジン温度が1,000℃を超過した。通常の手順でエンジンを停止し、安全に着陸した。(クラスC)

・エンジンをシャットダウンしている最中に、No.1エンジン・タービン・ガス温度(turbine gas temperature, TGT)が1,100℃を12秒間超過した。(クラスC)

・飛行前点検中、No.1エンジン・エア・インレット・ハウジングに損傷を発見した。FOD(foreign object damage, 異物による損傷 )であることが判明した。(クラスC)

・ホバリング・チェック中にNo.2エンジンのNG(ガス・プロデューサー回転)が111.5パーセントまで過回転し、オーバー・トルク(125.8パーセント、1.92秒)が発生した。(クラスC)

・エンジン始動中(エンジン・コントロール・レバーをグランド・ポジションからフライトに設定)、No.2エンジンのFADEC(Full Authority Digital Engine Control, 全デジタル電子式エンジン制御装置)注意灯が点灯し、NGおよびTGT(turbine gas temperature, タービン・ガス温度)が許容値を超過した。(クラスC)

・FARP(Forward Arming and Refueling Point, 弾薬燃料再補給点)でホバリング中、No.2エンジンがフレーム・アウトした。着陸中にNo.1エンジンがオーバー・トルクとなり、温度が許容を超過した可能性もある。(クラスC)

機外搭載

・パイロットが懸吊物を卸下しようとしたが、前方フックの開放が遅れた。機体が前方に移動し、懸吊物を引きずって損傷させた。(クラスC)

・155mm榴弾砲を懸吊したところ、榴弾砲の脚がランプ・ドアに接触し、ランプ・ドアの下端に打痕を生じさせた。(クラスC)

・機外搭載訓練中、スリング・ベルトが破断し、懸吊物が地面に落下した。地面との衝突で生じた懸吊物の破片が機体の下部構造に損傷を与えた。(クラスC)

・パイロットの誤操作により、飛行中に懸吊物を切り離した。(クラスC)

悪視程環境

・潜入行動中、ブラウン・アウト状態に陥り、墜落した。機体は、現地において破壊された。(クラスA)

・NVG(night vision goggle, 暗視眼鏡)を使用中、ブラウンアウト状態で着陸しようとしていたところ、Tバリア(下側がT字型に広がったコンクリート製の仮設壁)に接触した。(クラスB)

・砂塵環境下で着陸中、EOS(electro-optical sensor, 電子光学センサ)が岩に接触し、損傷した。(クラスC)

物件の落下等

・定期点検後の整備確認試験飛行中に副操縦士側のドアが落下した。上部および下部ラッチは機体側に残っており、緊急投棄レバーの安全線も切れていなかった。機体の外板に軽微な損傷が生じた。(クラスC)

・FARPを離陸して、駐機位置に戻ったところ、パイロン右側の点検用プラットフォームが固定されておらず、エンジン・カウリングの上に落下しているのを機付長が発見した。(クラスC)

・IFR(instrument flight rule, 計器飛行方式)で飛行中、左側エスケープ・ハッチ・パネルが落下した。(クラスC)

・No.1エンジン・カウリングが取り付けポイント部から外れ、点検用プラットフォームに衝突して開放させ、キャビン側ヒンジから脱落させた。点検用プラットフォームは、黃ローター・ブレードに接触した。(クラスC)

・最終進入時、左側コックピット・ドアが機体から落下した。(クラスC)

・飛行中に副操縦士側ドアが落下し、後部ローターに接触した。機体は無事に着陸したが、飛行後点検において、すべてのローター・ブレードに損傷が発見された。(クラスC)

・ランプ・エクステンションが飛行中に落下した。(クラスC)

・空中給油訓練中に副操縦席側ドアが脱落した。落下したドアは、発見されなかった。(クラスC)

・左側ドア・ガナーのウィンドゥが離陸中の機体から落下した。搭乗員は、当該ウィンドゥが樹木に衝突するのを視認して、その位置の座標を記録した。(クラスC)

・斜面への着陸を実施中、右後方降着装置が機体から分離した。右後方降着装置のスイベル・アセンブリの肩部フィレットに疲労による亀裂が生じたのが原因であった。(クラスC)

物件との衝突

・ピナクル・ランディングの訓練を実施中、後部ローターが地面に接触し、機体が損傷するとともに乗員が負傷した。(クラスA)

・飛行場内を地上滑走中、後方ローター・ブレードが格納庫の角部に接触し、後方ローター・ブレードの3枚のブレード、2つの格納庫および格納庫内に保管されていた2機の航空機を損傷させた。(クラスA)

・NVGを使用していた2機の機体がFARPで燃料補給のために地上滑走していたところ、2番機のローター・ブレードが1番機の後部胴体に接触した。(クラスA)

・エプロン上でホバリング中、障害物に近づきすぎ、メイン・ローターブレードを電灯の柱に衝突させた。・3枚のメインローターブレードが損傷した。(クラスC)

・対地高度500フィートにおいて、鳥と衝突した。飛行後点検において、FLIR(forward looking infra red, 近距離暗視装置)のガラスに損傷が発見された。(クラスC)

・鳥の群れと衝突し、左右両方のウィンドスクリーンに損傷が生じた。(クラスC)

・空力的に制動をかけながら、滑走着陸を行ったところ、メイン・ローター・システムがドライブシャフト・カバー、中間ギアボックス・カバー、ドライブシャフト・フレキシブル・カップリングおよび地上部隊長用アンテナに接触した。(クラスC)

・エンジン停止中、後方メイン・ローターブレード・ダンパーの不具合のため、ブレードが胴体(前方トンネル・カバー)に接触した。(クラスC)

・ピナクル・ランディングを訓練中、胴体の下面が地面に接触し、損傷した。(クラスC)

・LZ(landing zone, 降着地域)において、NVGを使用した狭隘地への着陸を行っていたところ、後方ブレードが樹木に接触し、3枚のブレードすべてが損傷した。機体は安全に着陸し、負傷者はなかった。(クラスC)

その他

・MTF(maintenance test flight, 整備確認試験飛行)の着陸中に前方パイロン区域に火災が発生した。油圧配管に穴が空き、作動油が噴出して、付近の擦り切れたワイヤー・ハーネスで着火したのが原因であった。(クラスA)

・地上滑走中のダウン・ウォッシュにより、輪止めをしていなかったALUMMC(Aviation Light Utility Mobile Maintenance Cart, 軽多用途航空整備車)が動き、坂を下って、駐機中の航空機の左前方ブレードに接触した。(クラスC)

・MTF実施中に離陸しようとしたところ、機体姿勢に異常が発生し、後方ホィールが滑走路に複数回接触した。パイロットは、緊急シャットダウン手順を実施した。接地時の衝撃により、機上整備員が膝を負傷した。当該MTFは、インテグレーテッド・ロワー・アクチェータの交換に伴うものであった。(クラスC)

・当該機は、エンジンをフライト・アイドルで運転しながら、463Lパレットを搭載中であった。FE(flight engineer, 機上整備員)の停止の手信号が遅れたため、フォークリフトが上部リア・パイロンに接触した。(クラスC)

・飛行後のエンジン・シャットダウン中にヒーター・コンパートメントで火災が発生した。パイロットは、両方のECL(engine control levers, エンジン・コントロール・レバー)をストップ位置にし、APU(auxiliary power unit, 補助動力装置)シャットオフ・バルブを閉じた。ヒーター・コンパートメント内の擦り切れた油圧配管から作動油が霧状に吹き出し、擦り切れた電気ワイヤーで発生したスパークで着火して、火災が発生した。(クラスC)

・着陸中のダウン・ウォッシュにより、シャットダウン手順を実施中の隣の機体が損傷した。メイン・ローター・ブレードがNo.1トンネル・カバーに接触し、機体および操縦系統を損傷させた。(クラスC)

・コンバイニング・トランスミッションのクーリング・ファン・シャフト・アセンブリが飛行中に拘束し、No.1およびNo.2エンジン・トランスミッションおよびコンバイニング・トランスミッションを循環しているトランスミッション・オイルが高温になり、3つのトランスミッションすべての温度が許容を超過した。(クラスC)

・飛行後点検を実施中、スワッシュ・プレート区域にグリースが飛散しているのが発見された。確認したところ、非回転スワッシュ・プレートに異物(スリップ・ブッシング)が挟まっていた。(クラスC)

クラスD

クラスDの事故から得られる教訓も忘れてはならない。軽微な事故から得られる教訓が、将来の重大な事故の防止に役立つ可能性もあるのだ。
・NVGを使用し、岩に覆われた上り斜面への4輪同時接地を実施した後の機体点検において、キャビン・ドア区域の胴体下面に損傷を発見した。(Class D)

・地上滑走中、右後方降着装置が砂利が詰まった誘導路のくぼみに入り込み、ストラットが損傷した。(Class D)

・バンビ・バケット懸吊要員の資格認定検定を実施中、機付長が負傷した。(Class D)

・飛行中に副操縦席側のドアが脱落した。(Class D)

・15~20度の左バンクを行った際に、メイン・キャビン・ドアの上部ドアにあるエスケープ・ハッチが脱落し、海中に落下した。脱落したのは、キャビン・ドアを閉鎖している最中であった。(Class D)

・クルー・コーディネーションが不適切であったため、予期していなかった機体の接地が起こり、搭乗員が負傷した。(Class D)

・ピナクル・ランディング訓練を実施中、機体が後方にドリフトし、後方カーゴ・ランプが地面に接触した。後方カーゴ・ランプが損傷した。(Class D)

・水平直線飛行中、右側のパイロット・ドアが脱落し、森林地域に落下した。(Class D)
MRE(meals ready to eat, 携行食)を載せたパレットを機外へ搬出中、パレットがランプ・エクステンションに引っかかって横転し、搭乗員が負傷した。(Class D)

要約

クラスA事故のうち3件(60%)が夜間またはNVG環境下で発生している。また、H-47のクラスA-C事故のうち59%が同じ環境で発生している。15件(37%)の事故は、海外派遣中に発生している。

2010年度から2014年度までの5年間と比較すると、H-47の10万飛行時間あたりのクラスA事故発生率は、3.04件から1.37件へと低下した。2010年度から2014年度までの5年間においては、17件のクラスA事故が発生していたが、この5年間は5件に減少した。また、クラスA~Cの事故は、92件であったが、41件に減少した。

事故防止に関するより詳細な情報については、所属部隊の安全担当士官を通じて、 safety.army.milのウェブサイトにあるRMIS(Risk Management Information System, リスク・マネジメント情報システム)から入手されたい。本システムの利用には、利用者登録とCAC(common access card, 共通アクセス・カード)が必要である。

訳者注:米国の会計年度の開始は10月、終了は9月であり、終了時の年で呼ばれます。また、米国陸軍の航空事故区分の概要は、次のとおりです(AR 385-10、2017年2月改正)。
クラスA- 200万ドル以上の損害、航空機の破壊、遺失若しくは放棄、死亡、又は完全な身体障害に至る傷害若しくは公務上の疾病を伴う事故
クラスB- 50万ドル以上200万ドル未満の損害、部分的な身体障害に至る傷害若しくは公務上の疾病、又は3人以上の入院を伴う事故
クラスC- 5万ドル以上50万ドル未満の損害又は1日以上の休養を要する傷害若しくは公務上の疾病を伴う事故
クラスD- 2万ドル以上5万ドル未満の損害、又は職務に影響を及ぼす傷害若しくは疾病等を伴う事故
クラスE- 5千ドル以上2万ドル未満の損害を伴う事故
クラスF- 回避不可能なエンジン内外の異物によるエンジン(APUを除く)の損傷

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2019年12月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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