評価対策委員会(DAP)航空部の航空事故防止施策
アメリカ陸軍戦闘即応センター(United States Army Combat Readiness Center, USACRC)評価対策委員会(Directorate of Assessments and Prevention, DAP)には、航空に関する業務のみを行っている部署(評価対策委員会航空部)があります。航空部は、陸軍航空に関し、世界中から寄せられる数多くの要望に対処しています。また、事故報告の実施に関する助言、事故から得られた教訓事項の普及などを任務としています。以下、航空部が部隊に提供しているツールについて、その一部を紹介します。なお、これらのツールの入手先は、この記事の最後に記載してあります。
航空安全ブリーフィング
航空安全ブリーフィングは、従前の「ニアミス・ブリーフィング」から発展したものです。アメリカ陸軍戦闘即応センターは、数年前、事故調査官を航空科部隊および航空関連機関に派遣し、直近の事故やニアミスに関するブリーフィングを行いました。その目的は、部隊における否定的な思考プロセスの改善を促し、事故を発生させる潜在的要因を排除することにありました。このブリーフィングの特徴は、部隊のニーズに合致させられるようにモジュール式になっていることです。各部隊は、その基本スライドと個別事例スライドをダウンロードできます。現時点では、15種類の個別事例スライドの中から選択することができ、視聴者に合わせてブリーフィングの内容を変更できるようになっています。
アメリカ陸軍戦闘即応センターの職員が行うブリーフィングには、死亡事故に関する内容も含まれています。ちなみにwww.safety.army.milでは、死亡事故に関する情報は入手できません。このほど、部隊からの要望に基づき、航空部による「巡業(巡回ブリーフィング)」の予算化が決定しました。今後は、アメリカ陸軍戦闘即応センター運用部が計画するところにしたがって、実施されることになります。巡回ブリーフィングの開催を要望する部隊は、運用部に電話(334-255-****)または電子メール(usarmy.rucker.hqda-secarmy.mbx.************* @ mail.mil)にてご連絡ください。(訳者注:セキュリティ上の理由から、電話番号およびメールアドレスは、原文の一部を省略して記載しています。)
フライトファックス(Flightfax)
フライトファックスは、50年以上にわたり陸軍航空の要としての役割を果たしてきました。印刷物として配布されていた頃には、どこの事務室やフライトルームでも手に取ることができたものでした。フライトファックスにアクセスした際に、誰もが最初に行うことは、最後のページに掲載されている航空事故発生状況を確認することです。過去の記事は、特別号に掲載されるほか、アーカイブのページでも閲覧できます。また、速やかに部隊に周知すべき情報がある場合は、増刊号が発行されます。まだメンバー登録を行っていない方は、サイトにアクセスして購読手続きを行ってください。
事故の教訓
アメリカ陸軍戦闘即応センターは、事故防止に関する有益な情報を部隊に発信していると自負しています。そのツール、統計、および製品は、事故の根絶に向けて努力している兵士たちを支援するために開発されています。アメリカ陸軍戦闘即応センターは、事故調査結果に基づき、事故の概要、重要な事実、および再発防止対策を公開しています。これらの情報は、部隊レベルでのブリーフィングにおいて、任務の危険性、関連するリスク、教訓事項、および再発防止対策などを教育するためにあるのです。
ASMIS(Army Safety Management Information System, 陸軍安全管理情報システム)2.0
ASMIS 2.0は、共通アクセスカード(Common Access Card)で保護されており、承認がなければアクセスできないようになっています。このアプリケーションは、部隊の担当者が情報を入手するための貴重なツールを提供します。それらのツールには、データベースを検索するだけではなく、事故調査結果を抽出できるツールも含まれています。このツールを用いることにより、アメリカ陸軍戦闘即応センターが行った事故調査の要約、経過、調査結果および安全勧告を閲覧できます。また、1枚の用紙にまとめられた個別事例および安全指示の入手も可能です。これらのツールは、パイロットに対する講義、または小グループでの事故防止のための討議における教訓事項の共有など、事故防止を目的とする場合に限定して使用できます。
要 約
最新の航空事故の統計、または一般的な航空知識のいずれについても、航空部にアクセスすれば必要な情報を見つけることができます。ぜひ航空部のサイトにアクセスして、あなた自身およびあなたの部隊のために必要なツールを入手して下さい。
参 考
アメリカ陸軍戦闘即応センター評価・対策理事会航空部のサイト:https://safety.army.mil/ON-DUTY/Aviation
(訳者注:本記事掲載の時点では、FlightFax以外のツールは、すべて共通アクセスカードで保護されており、部外者は閲覧できません。)
出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2021年04月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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1件のコメント
アメリカ陸軍が航空事故に関し、部隊にどのような情報を提供しているのか、参考になればと思います。