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陸軍航空の情報センター

お腹が空いているときの君は、本当の君じゃない

成功に必要な燃料を身体や精神にもたらす賢い栄養選択

上級准尉5 ジェフリー・ヨーク
第1-14航空連隊 D中隊

空腹は、人の心身を別人のように変えてしまう――。そんなコンセプトのもと、有名人が空腹のあまり奇行に走り、甘いチョコ・バーをひと口食べた瞬間に正気に戻るという、2010年頃のあの有名なCMを覚えている方も多いでしょう。笑い話のように思えますが、このCMは核心を突いています。私たちの食事が、他人からの見られ方や周囲との関わり方に、いかに深刻な影響を与えるかを浮き彫りにしているのです。陸軍のパイロットである私たちには、過酷な身体的状況に耐えうる強靭さと、常に研ぎ澄まされた精神力が求められます。それなのに私たちはつい、手っ取り早い高糖質、高カフェイン、そして添加物だらけのジャンク・フードに頼ってしまいがちです。これらはウエスト周りを太らせるだけでなく、最終的には任務を安全に完遂する能力そのものにも悪影響を及しかねません。

駆け出しのパイロットだった頃から、私たちはAR 40-8(陸軍規則40-8)の教えを叩き込まれてきました。薬物、疲労、アルコール、タバコ、そして低血糖症。これら「D.E.A.T.H.(Drugs, Exhaustion, Alcohol, Tobacco, Hypoglycemia)」こそが、パイロットを危険に晒す外的要因であると。薬物やアルコールが有害(かつ違法)なのは言うまでもありません。しかし、私たちの隣に座る副操縦士やクルーはどうでしょうか? 作戦室の「冷蔵庫基金」で購入したエナジー・ドリンクやスナック菓子を流し込み、興奮剤や化学物質の影響下にあるのが日常茶飯事ではないでしょうか。カフェインやタウリンによる急激な作用だけでなく、偏った食事もじわじわと体を蝕み、やがては大惨事を招く要因となり得るのです。

任務計画から飛行後点検に至るまで、最新鋭機の運航には研ぎ澄まされた感覚が不可欠です。周囲環境の鋭い認知、複雑な機体制御へのレーザーのような集中力、緊急操作手順の瞬時の想起、そして円滑なクルー・コーディネーションのための対人スキルが求められます。体質に個人差はあるとはいえ、クルーの誰かが推奨量を超えるカフェインを摂取していれば、パフォーマンス低下によるミスや、予期せぬ事態を招くリスクは確実に高まります。

アメリカ国立補完統合衛生センターによれば、「18歳から34歳の男性が最もエナジー・ドリンクを消費しており、16オンス(約473ml)缶のカフェイン量は70~240mgに達する(コーヒーの場合は8オンス(約237ml)で約100mg)」とのことです。「多量のカフェイン摂取は、不整脈や心拍数・血圧の上昇など、心血管系に深刻な問題を引き起こす可能性がある」と警告しています。さらに同記事は、エナジー・ドリンクが身体的な持久力を向上させる一方で、「手の安定性を損なう(手が震える)」可能性も指摘しています。

私たちは一流のミッション・プランナーとしての自負を持っています。離陸(ホイール・アップ)から降着地域(LZ)への到着まで、フライトの細部を±30秒以内の精度で完璧にコントロールすることに誇りをかけているはずです。FARP(燃料弾薬再補給点)での燃料チェックを怠るAMC(空中部隊指揮官)はいません。しかし、クルー自身の「燃料」である食事の質はどうでしょう? 計画など皆無に等しいのが実情です。結果として、機体に向かう手には冷凍ブリトーと脂ぎったポテトチップス。そして、戦術地図やチェックリスト、ニーボードに挟まれた書類の山の上に、魔法のようなバランスでソーダ缶を乗せて歩くことになるのです。フライト開始から2、3時間経過した頃の急激な血糖値の上昇と、その後の糖分欠乏による頭痛。お腹の張りや消化不良。これらが、計器や任務システム(ミッション・システム)に向けるべき集中力を削いでいくのです。ハーバード大学医学部の最近の記事によると、「ジャンク・フードを最も多く摂取した中高年は、そうでない人々に比べて、認知機能の低下スピードが最大28%も速いことが判明した」とのことです。マスター・ワーニング(主警報灯)やコーション(注意灯)が点灯したその瞬間、戦闘パイロットの思考が「トイレまでの距離」に奪われるようなことは、あってはならないのです。

子供の送り迎えだろうと、NTC(ナショナル・トレーニング・センター)での多機編隊によるNVG飛行だろうと、私たちは常に整備員や技術者たちの献身に支えられています。彼らが機体を完璧に仕上げてくれるからこそ、私たちは任務を遂行できるのです。栄養の専門家も同じように私たちを支えてくれています。しかし、真の変化を起こすには、軍の文化そのものを根底から覆すような意識改革が必要です。フライト・ブーツを履き、イヤー・カップを装着するのは私たち自身です。仲間の命を守るための明晰な思考、瞬時の判断力、そして尽きない持久力。これらを養う健康的な食事を選ぶことができるのも、また私たち自身しかいないのです。

アメリカ国立補完統合衛生センター、「Energy Drinks(エナジー・ドリンク)」、2025年5月31日アクセス、https://www.google.com/search?q=http://www.nccih.nih.gov/health/energy-drinks

ハーバード・ヘルス・パブリッシング、「Eating Ultra-Processed Foods Tied to Cognitive Decline(超加工食品の摂取と認知機能低下の関連)」、ハーバード・ヘルス、2023年2月6日。https://www.health.harvard.edu/mind-and-mood/eating-ultra-processed-foods-tied-to-cognitive-decline

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2026年01月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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