AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

航空科部隊の特性をアピールせよ(後編)

陸軍航空に特有の要求事項に対応するために

中佐 ジョン・Q・ボルトン
少佐 ワイアット・A・ブリテン

<航空科部隊の特性をアピールせよ(前編)>

新型のヘリコプター装備したインディアナ州兵 撮影:SSG David Bruce

部隊訓練を重視せよ

第三に、航空科部隊は大隊や飛行隊による大規模な任務を重視しなければならない。そのためには、地上部隊への支援とは別の重視事項を慎重に定める必要がある。戦闘訓練センター(combat training center, CTC)は、貴重な訓練機会を提供してくれるが、元々は旅団戦闘団のために設立された組織である。航空科部隊は、主要な訓練対象ではない。訓練の想定によっては、付け足しのように扱われている場合もある。したがって、旅団戦闘団とは別に、またそれと協調しつつ、独自の部隊訓練計画を策定しなければならない。

陸軍のパイロットは、空軍や海兵隊と同じように学校教育の恩恵を受けているが、航空科職種が陸軍の任務遂行に貢献できているのは、パイロットの操縦能力ではなく、飛行部隊の部隊行動能力である(Bolton, 2017)。航空科部隊の重要な役割は、部隊を機動展開させ、遠隔地任務を遂行することである。射撃、スリング、空輸などの各種戦術飛行の訓練にどれだけの時間を費やそうとも、これらは部隊のMET(mission essential tasks, 任務遂行に必要な業務)のための各個訓練にすぎない。戦闘訓練センターのAARおよび関連記事に示されているとおり、過去10年間にわたる航空部隊に対する習慣的な「業務の強制」は、attacks out of contact(非接近攻撃)や空中機動といった大規模な任務の計画・実行を妨げてきた(Woodward&Godfrey、2015年)。野外での訓練は、それが行われるのが森の中であれ、砂の中であれ、遠隔地の飛行場であれ、小隊レベルより上の中隊などを管理する大隊や飛行隊による部隊行動を中心に設計されるべきである。

「(ナショナル・トレーニング・センターで)学んだ最も重要な教訓は、どれほど高度な兵器がどれほど装備されようとも、決定的な違いを生み出すのはリーダーシップであるということであろう。」
-中将(退役) ダニエル・ボルガ―、Dragons at War

スティーブン・ビドルの湾岸戦争における陸戦の分析結果にも示されているとおり、最も有効性の高い部隊とは、最高の装備を有する部隊ではなく、最高に訓練され団結した部隊である(Biddle,1996;Millett et al.,1986)。新しい兵器、最新の航空機、さらにはFVL(Future Vertical Lift, 将来型垂直離着陸機)を装備したとしても、陸軍のパイロットには、その能力、適応力、回復力および習慣を生み出すため、部隊レベルの厳しい訓練を必要とする。

図3 MET(mission essential tasks, 任務遂行に不可欠な業務)の個別管理表の一例(Bolton, 2022a)

ただし、部隊行動能力を向上させるためには、単に「野外に行く」だけでは不十分である。そのための訓練は、指揮官に対し、「fog and friction(霧と摩擦)」の中、限られた情報で決心することを強要するものでなければならない(Pietrucha、2016年)。各部隊は、また、各パイロットの練度向上の進捗度を詳細に把握しなければならない。部隊のMETに関連する部隊行動能力は、特に重要である。規定では、レディネス・レベルの判定は、年次評価の際に行うだけで足りる。それでは、部隊を正しく評価するのに不十分である。陸軍における評価には、映画『マネーボール』のスカウト場面のようなことが多すぎる(Miller, 2011)。根拠のない直感、これまでの経験、あるいは「いつもどおり」の判断だけで、客観的な裏付けデータを欠いている。指揮官自らが自分の部隊について判断することは、質的には可能であるが、量的には難しい。教官操縦士(instructor pilots, IP)の支援を受けつつ、各METを各搭乗員が実行できるかどうかを把握しなければならない(図3)。飛行計画に基づく業務指示は、決してマイクロマネジメント(逐一の監視、子細なことへの干渉)であってはならない。訓練管理と緊密に連携したミッションコマンド(企図を明示、自主裁量の余地の付与)でなければならない。練度を把握は、パイロットにすでに習熟した業務や無関係な業務を命ずることによる時間の無駄を防止することにも役立つ。

指揮官は、特定のMETごとにパイロットの練度を把握し、個々の飛行業務が、単に飛行時間を累積するためのものではなく、部隊の訓練目標と統合されたものになるように努めなければならない。単なる飛行時間の累積は、訓練管理に逆行するにもかかわらず、あまりにも広く一般的に行われている(Bolton&Wyant, 2015)。搭乗員が、飛行の目的が何であるのか、または、部隊の訓練計画にどのように組み込まれているのかを分かっていないようなことがあってはならない。

航空科部隊における訓練管理は、週間飛行計画の作成により始まる。飛行計画は、(METに関する)指揮官の指導要領に従って割り当てられた業務に必要な時間を割り当てるものであるが、その詳細は搭乗員に委ねられる。飛行計画に、単に「訓練飛行」と記載されている場合が驚くほど多い。このため、飛行計画が、その場しのぎの計画(思考)に留まってしまう。上級パイロットから「最近、何をした?」と尋ねられても答えることができなくなるのである。十分に練り上げられた訓練計画であれば、飛行計画の中に部隊の練度を向上させるために必要な多数の飛行要領(計器、超低空飛行、NVG飛行など)がその業務と目標に組み込まれることになる。優れた飛行計画は、「launch-recover-launch(発射-回収-発射)」の一連の流れの中、クルー・チーフを含めた、部隊のチームワークの構築に役立つものなのである。

図4 2機編隊による偵察任務の想定テンプレートの一例(Bolton,2022b)

指揮官は、短時間の単機による任務ではなく、部隊行動に焦点を当てた、長時間の複数機による任務を重視すべきなのである。資格試験のための飛行以外は、すべての飛行を部隊行動に関連付けなければならない。しかし、飛行のたびにあるMETを実行できる能力の修得を要求するだけでは、効果は得られない。拡張性の高い想定をしっかりと準備する必要がある。一般的な被支援部隊を対象とした単純なシナリオであっても、大隊参謀が想定を付与し、その実行を支援し、監督するために十分有用である。ある記事の著者は、中隊長として、空中部隊指揮官が利用できる基礎的な想定テンプレートを12種類作成したという。想定に基づき、空中部隊指揮官に状況に応じた行動をとらせることにより、訓練の質を向上させることができる。想定の深さは、航空偵察などの単純な任務から、詳細な計画を必要とする周到な航空攻撃や阻止攻撃まで、さまざまであって良い。中隊レベルでの複雑な訓練を積み重ねることにより、大隊レベルでの訓練の効果を増大させることができる。想定は、下級士官や空中部隊指揮官に十分な情報を与えた上で状況判断を要求するものでなければならない(図4)。大隊の上級士官や准尉には、想定を作成するだけでなく、評価員や指導員(Observer- Controller/Trainers, OC/Ts)としての役割を果たすことも期待される。

陸軍の第3、5および7部は、部隊に対し、紛争の勝利から侵略の抑止に至るまで、様々な課題に備えることを求めている(Flynn, 2020)。次の戦いにおいて勝利を収めるためには、パイロットのために戦うだけではなく、陸軍航空の文化の独自性を尊重し、パイロットが飛行し、戦うための準備を整えなければならない。地上部隊が「戦闘をアピール」するのと同様に、航空部隊の指揮官は飛行をアピールする必要があるのだ(Kleisner,2018)。同様に、航空部隊の指揮官は、「巨大な陸軍」の要求事項に合わせただけの訓練計画を策定するのではなく、独自の訓練計画を策定し、維持しなければならない。そして、独自の組織的要求事項に適合した包括的、効果的かつ詳細な訓練計画を地上部隊への支援とは別に策定するとともに、部隊のMETごとに搭乗員の能力を個別に把握しなければならない。これらの取り組みは、チャーチル元首相が「巨大かつ強烈な力を持つ手段」(Churchill, 1940)と呼んだものにふさわしい、効果的な部隊になるために欠かせない。

いかにして飛行をアピールするか?

陸軍航空は、このような改革を必ず実現できる。かつて、それを行っていたからである。2001年以前の航空作戦は、特に航空攻撃に関し、「bull in a china shop approach(乱暴者のようなやり方)」であった(Robinson, 2012)。しかし、2001年以降は、新たな戦争の形態に適合するため、パイロットや職種全体において、教義的、戦術的および組織的な改革が行われた。(少なくとも形式的には)航空機の型式は変わっていないが、20年前の航空科部隊と比較すると大きな違いが生じている。部隊レベルの訓練の進化および文化の変革を通じ、さらなる職種の改革を実現するには、当時と同様の努力を必要とするが、困難な戦闘環境における運用のためには欠かすことができないのである。

執筆にご協力いただいたジェフリー・メインダー中佐、スティーブ・セビニ中佐、ハナ・リー大尉、ティモシー・セットル上級准尉4およびダスティン・ハークネス上級准尉4に謝意を表します。

ジョン・ボルトン中佐は、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際研究大学院で博士号を取得したArmy Goodpaster Scholarです。209航空支援大隊B中隊長、1-1攻撃偵察大隊A中隊長、2-25攻撃ヘリコプター大隊副隊長、4-25歩兵旅団戦闘団(空挺)旅団航空士官を歴任してきました。指揮幕僚大学のArt of War Scholars Programを卒業し、軍事史および機械工学の学位を取得しています。AH-64D/Eのパイロットであり、施設、航空、および歩兵部隊の一員として複数回の海外派兵を経験しています。民間の飛行教官資格を持ち、300飛行時間の飛行経験を有しています。

ワイアット・ブリテン少佐は、アフリカ・コマンドの作戦士官です。これまでに第2戦闘航空旅団および4-2攻撃大隊の作戦士官として勤務し、第2歩兵部将来戦部長を歴任してきました。高等軍事研究学校(School of Advanced Military Studies)およびArt of War Scholars Programの卒業生であり、ビジネス管理および軍事科学の学位を取得しています。ナショナル・トレーニング・センターで航空評価・指導・訓練官として勤務した後、韓国に派遣されました。AH-64DおよびOH-58Cの機長であり、イラクおよびアフガニスタンへの派遣を含め2,000時間以上の飛行経験を有しています。

ワシントン州で再編記念飛行を行うB中隊「ビッグフット」 撮影:CPT Kyle Abraha

注3:WINGSプログラムの詳細については、https://www.faasafety.gov/WINGS/pub/learn_more.aspxを参照

注4 :OPAの詳細については、公式ウェブサイトhttps://www.aopa.org/を参照

ドイツのグラーフェンヴェーア訓練場に駐機するUH-60ブラック・ホーク 撮影:PFC Jacob Bradford

References:

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出典:AVIATION DIGEST, Army Aviation Center of Excellence 2022年04月

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