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陸軍航空の情報センター

2023年8月27日にオーストラリアで発生したMV-22B墜落事故の航空事故調査報告書(意見および安全勧告)

訳者注:太字の装飾は、訳者によるものです。

意見

A ダーウィン海兵隊ローテーション部隊の人員、訓練、装備

1 ダーウィン海兵隊ローテーション部隊の交代のために計画された今回の派遣前訓練プログラムは、当該海兵空地任務部隊が割り当てられた必成目標を達成できるように訓練するには不十分なものであり、派遣前の適切な統合に必要な中核となる必成目標よりも、「フォース・デザイン」に示された指針の実現に重点が置かれたものであった。[認定した事実 278、279、280、281、282、283、284、285、286、287]

2 ダーウィン海兵隊ローテーション部隊の航空戦闘部隊の主力飛行隊を第1海兵航空団から派遣したことにより、派遣前訓練を協同で実施することができず、海兵空地任務部隊としての統合が損なわれ、派遣後に統合運用を実行するための業務を不必要に増大させ、リスクを不必要に増加させた。[認定した事実 278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290]

3 ダーウィン海兵隊ローテーション部隊海兵空地任務部隊の航空戦闘部隊を編成するため、第1海兵航空団および第3海兵航空団の双方から航空機を差し出させたことによって、混乱が生じ、飛行隊レベルでの統合運用が困難となった。このことは、事故の直接的な原因ではなかったが、国外展開頻度が高い中、VMM-363(増強) 要員の業務負担を不必要に増加させた。[認定した事実 283、284、286、288、289、290]

4 ダーウィン海兵隊ローテーション部隊の海兵空地任務部隊指揮官と航空戦闘部隊指揮官のいずれも、統合飛行作戦の実施前に搭乗者の体重測定を行うという方針を示すことはなかった。このため、地上および航空戦闘部隊のいずれの計画立案者も、搭載重量計算書に搭乗者の実重量を反映させていなかった。このような手順を実行するための時間および適切な計量器の利用可能性により常に実行できるとは限らないが、部隊は可能な限り計画立案の立案に必要な搭載重量を最大限に正確に把握するように努めるべきである。[認定した事実 27, 28]

5 事故発生後にビデオ・テープ、フライト・データ・レコーダーなどから情報資料を収集する手順が飛行隊内に整備されていなかったため、事故対象エリア内のAH-1およびUH-1の情報を事故発生後の飛行開始前に回収することができなかった。このことは、利用可能なすべてのリソースからの飛行任務の再構築に制約をもたらした。[認定した事実 17、67、73、74、77、114、121、138、258、288、290]

B 事故の原因および要因

6 168616号機の事故は、当該機の構成品の材料的または機械的故障が原因ではなかった。[認定した事実 362、363、364、365、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379]

7 168616号機の事故は、当該機に関する整備作業に起因するものではなかった。[認定した事実 43、44、46、49、78、79、81、82、83、84、88、89、87、90、93、94、98、99、101、103、104、110、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379]

8 本事故の直接的原因は、一連の誤判断および誤算であった。

a 事故機の機長が飛行前に計画立案に参加せず、リスク評価ワークシートを作成せず、搭載重量計算書を作成せず、航空機整備記録を確認しなかったことが、航空機の状態に関する状況認識の欠如をもたらした。[認定した事実 12、15、43、44、49、54、55]

b 事故発生編隊は、任務計画より約2,000 ポンド重い状態で離陸した。また、長機の搭乗員が航空機のコックピット管理システムを使用して行った性能計算では、当該滑走路への安全な着陸が可能であることが示されたが、これらの計算は20ノットの追い風 (事故機が右旋回を実行した後の条件) での着陸を考慮したものではなかった。[認定した事実 36、40、53、57、61、62、63、64、70、78、119、120]

c 長機の進入諸元が不適切であったこと、および長機の副操縦士が事故機にその旨を連絡せずに(つまり、「シュガー・コール」を行わずに)標準的ではない距離および(降着地域に対する)位置で出力を下げることを決定したため、長機の操縦に反応しようとする事故機の搭乗員がタスク飽和状態になった。[認定した事実 75、78、79、80、81、82、83、84、85、86、88、89、87、90、94、95]

d 長機が標準的ではない進入を行ったため、事故機は長機に対する相対位置を正しく維持しようとして複数の修正操作を行わなければならななかった。[認定した事実 76、80、82、83、84、85、87、88、89、90]

e 事故機の機長が困難な進入状況への対応について副操縦士に指導しようとしたこと、進入の初期段階で操縦を交代しなかったこと、あるいは全般的に不適切な進入諸元に応じてウェーブ・オフを宣言しなかったことが相まって、航空機は回復不可能な対気速度、高度、ナセル角、および出力設定の状態に陥った。[認定した事実 89、93、95、199、102]

f 事故機の副操縦士は両機の接近速度を視認/感知できなかったと考えられ、この接近中に空中衝突が2回発生しそうになった。この状況認識の欠如は、ICSで伝達されるか、またはウェーブ・オフが宣言されるべきであったが、どちらも実行されなかった。[認定した事実 84、86、89、87、90、91、92、95、96、97]

g 長機に対する事故機の位置を繰り返し不必要に調整したことにより、事故機の副操縦士は完全なタスク飽和状態となり、ナセルを35度より後方に操作できず、進入中に出力を増加できず、事故機を失速警報が作動する飛行諸元に陥らせた。[認定した事実 78、79、80、81、82、83、84、86、88、89、87、90、91、93。[95、96、98、99、114]

h 事故機の副操縦士は、進入中に長機を複数回視認できなかったが、その旨を表明したり、ICSで「ブラインド」(*37)を宣言したりしなかったため、空中衝突に近い状態が2回発生した。最初の状態は事故機の機長によって認識され、2番目の状態は長機の副操縦士によって認識された。事故機の副操縦士と機長とのコミュニケーション不足により、機長は全体的な状況把握を誤った可能性がある。[認定した事実 86、88、89、90、92、114; 図7]

*37 参照(o)によると、「ブラインド」宣言は「友軍の航空機、船舶、または地上部隊が視認できないことを示す。ビジュアルの反対語」となっている。

i 事故機の機長がスロットル・コントロール・レバーに片手を置いて出力を増加させるのではなく、両手でサイクリックを握ったため、ローターの揚力を増加させて飛行状態を回復することができなかった。[認定した事実 101, 104]

9 事故機の機長は、教官として編隊長(被教育者)の任務を遂行する長機の機長を綿密に監視し、セクション・リーダーとして必要に応じて長機の機長を指導することが期待されていたが、それを怠った。[認定した事実 12、14、15、248、249、261、262、263、264、266]

10 飛行隊の作戦担当士官は、その業務手順について適切な訓練を受けていなかったため、作戦担当士官としての職務の遂行に怠慢であった。作戦担当士官は、事故機の機長に対し、離陸のために地上滑走を開始する前に、 記載を完了し署名済みの搭載重量計算書またはリスク評価ワークシートを提出するように要求しなかった。[認定した事実 34,43,44,45,46,47]

11 事故発生編隊における作戦目標地域の競合回避は、攻撃支援戦術SOP に準拠して、2 つの形式の競合回避が計画時に確立され、実行された。[認定した事実 22; 図1]

12 事故発生編隊は、いかなる鳥の活動にも遭遇しておらず、事故機が目標エリア内での飛行中にそれを回避するために操縦操作を行い、制御不能な飛行諸元に陥るようなことはなかった。[認定した事実 117]

13 太陽および月の暦上の予測に基づくと、太陽が事故機の操縦の要因ではなかった。[認定した事実 118; 図2]

14 飛行前に予測された視界、または目標地域内で事故発生編隊の搭乗員によって報告された視界に基づくと、視程の喪失が事故機の操縦の要因ではなかった。[認定した事実 118]

C VMM-363(増強) 整備

15 168616号機の整備記録に複数の矛盾点が発見された。[認定した事実 322、325、326、328、331、337、341、351、354、356]

16 飛行安全に関連する文書には、事故機が整備業務実施規定によって安全であると認定された後に実行されるべき飛行安全プロセスの複数の手順が反映されていた。[認定した事実 296、297、298、341、349、351、353、354、355、356、358、352]

17 0600に到着した整備班は、事故発生編隊の離陸が早朝だったため、2機の主要航空機のターンアラウンド点検を含む飛行安全要求事項の完了を急いでいた。[認定した事実 314、315、316、341、349、351、352、353、354、355、356、352]

18 整備管理主任は、チェックリスト上の点検項目に従って飛行安全チェックを完了しようとしていたが、飛行安全チェックリストのすべての点検項目が完了していることを目視で確認せずに当該航空機の飛行安全を認定した。[認定した事実 296,297,298, 314, 315, 316, 325, 326, 337, 341, 349, 351, 352, 353, 354, 355, 356, 352]

19 事故機は、兵士を搭乗させた状態での事故機の正確な搭載状況を反映するフォームFが作成されておらず、事故発生編隊飛行の開始前において安全管理上不適切な状態であった。[認定した事実 349, 351, 353, 354,355,356,352]

20 整備資材管理士官は、飛行安全上、フォーム Fを正確に記入する必要があることを理解していた。このため、事故発生後にフォームFに署名し、同じく事故発生後にその署名済みのフォームFに正確な人員装備の搭載状況を反映させ、航空機整備記録に追加した。[認定した事実 344, 349, 351,354,356,352]

21 事故機の機長は、事故発生編隊として離陸する前に航空機整備記録を確認しなかった。[認定した事実 49、54、55、266、267、352]

22 事故機の機長 は、搭載重量計算書フォームを提出しなかった後、事故発生編隊として離陸する前に重量バランスのフォームFも確認しなかった。また、事故発生編隊飛行の前に 整備資材管理士官によって任務を支援する航空機の搭載状況に関する正確なフォームFが作成されていなかったため、当該フォームFを確認することもできなかった。アメリカ本土外での演習を支援し、兵士を搭乗させる飛行において、重量および出力への配慮が欠けていることは遺憾である。さらに、飛行安全手順および航空機の重量バランスに誤りがあることは、航空機整備記録およびフォームFを確認することにより事故機の機長によって把握できた可能性がある。機長が事故発生編隊飛行の前に航空機整備記録またはフォームFを確認している様子は誰にも視認されなかった。事故機の機長は、航空機整備記録を徹底的に確認する代わりに、事故発生編隊として離陸する前に整備管理班で整備資材管理士官と会話していた。会話の内容に航空機の整備状況は含まれておらず、事故機の機長が整備関連文書の正確性を確認することに重点を置いていなかったことを示している。搭乗員を乗せた航空機の搭載状況、重量および必要馬力の細部に関する配慮の欠如、および整備文書の誤りには、航空機の状態に関する事故機の機長の自信過剰状態が表れている。[認定した事実 43、46、49、54、55、266、267、349、351、353、354、355、356、352]

23 事故機の機長として、適切な手順が遵守されていることを保証する義務には、整備班によって行われた措置が正確であり、適切な根拠に準拠していることを確認することが含まれる。事故発生編隊飛行の当日の朝、整備業務が慌ただしかったことが安全点検を手抜きで行う事態を招いた。事故機の機長の安全管理が徹底していれば、当該誤りは機長によって把握できたはずであった。整備文書の誤りを修正することは、事故発生編隊の朝の離陸を遅らせた可能性がある。事故機の機長が当該航空機の飛行が安全であると認める前に、整備文書の正確性を確認することによる遅延が生じていれば、当該編隊がブリーフィングされていた遅延対処計画を実行するきっかけとなった可能性がある。もし当該遅延対処計画が実行されていたならば、事故機は単機で離陸しており、事故の発生を回避できていた可能性がある。[認定した事実 43、46、49、54、55、266、267、296、297、298、314、315、316、325、326、337、341、349、351、352、353、354、355、356、352]

24 飛行隊の副隊長でもある事故機の機長が事故発生編隊飛行の前に細部の注意喚起を行わなかったことおよび適切な飛行前手順を遵守しなかったことは、手順の厳格な遵守を重視しない飛行隊の文化を表している可能性がある。[認定した事実 43、46、49、54、55、266、267、296、297、298、314、315、316、325、326、337、341、349、351、352、353、354、355、356、352]

25 墜落した際に座席が事故機から外れたことで生じた搭乗者2の負傷は、TDコード50Basicの0277号が遵守されていなかったために悪化した可能性がある。[認定した事実 304、305、306、307、308、309、310、311]

26 事故機が損壊したため、断定することは不可能だが、事故機へのメッシュ・ネットワーク・マネージャー端末の配置または取り付け方法が、隣接する座席の保持機構を損ない、事故後の人員の脱出を妨げた可能性がある。[認定した事実 304、305、306、307、308、309、310、311]

27 整備班は、事故発生編隊飛行の当日の朝に2機の主要航空機のターンアラウンド点検を完了するのに必要な時間を適切に考慮できていなかった。スケジュールが短縮されたため、整備班による対応が急がれ、整備作業の完了に関する文書が不正確かつ遅れて作成される結果となった。[認定した事実 314、315、316、341、349、351、352、353、354、355、356、352]

28 飛行隊整備士官には、AH・UH分遣隊の整備作業を監督および管理する能力が不足していた。VMM-363(増強)の現地指揮手順に関する規定には、AH・UH機が含まれていなかったため、AH・UH分遣隊は独自の整備業務実施規定サーバーを用いて独自の整備作業を実施していた。[認定した事実 359、360、352]

D VMM-363(増強)の文化

29 複数の目撃者がVMM-363(増強)には安全文化がしっかりと根付いていると述べたが、事故機が安全管理上、安全な状態ではなかったこと、8 月中に一連の事故が発生していたこと、整備の手順および実施に関する統一的な規律が遵守されていなかったこと、飛行隊副隊長 (事故機の機長) がいくつかの標準的かつ必要な飛行前手順を完了できなかったことなど、いくつかの事実がそれとは反対のことを示しており、これを裏付けることができなかった。[認定した事実 12、18、34、36、43、44、46、47、49、54、73、74、172、215、220、221、222、223、225、228、248、250、258、260、264、274、276、278 284、285、286、288、289、290、315、325、326、328、337、341、349、351、352、354、355、356 357、358、359、360、315、326、328、337、 341、349、351、352、354、355、356、357]

30 わずか数週間以内に同様の原因による2件の事故(今回のクラスA事故と2023年8月16日のクラスC事故)が発生したことからもわかるように、VMM-363(増強)の指揮官は、飛行安全の維持に必要な手順、重量および出力に関する計画および手順、ならびに飛行隊全体における適切な航空機整備手順の実施を無視する文化を容認していた。さらに、2023年8月9日にクラスEの不具合が派遣され、さらにクラスCの事故が発生したにも関わらず、飛行隊全体の飛行の一時停止を実施しようとしなかった事実は、深刻な懸念事項であり、2023年8月27日に必要な飛行安全を確保できず、重量および出力の必要な手順を実行できなかったことに直接影響を及ぼした。VMM-363(増強)の指揮官は事故発生時にダーウィンを一時的に不在にしていたが、指揮官の部隊に対する責任は絶対であり、本事故の一因となった部隊内に蔓延していた文化や慣習に対する責任を逃れることはできない。[認定した事実 12、36、43、44、46、49、215、216、217、218、219、220、221、222、223、225、226、288、289、290、291、326、333、334、335、336、337、341、349、351、352、353、354、355、356、357、358、参照 (m) および (n)]

E 不正行為

31 整備資材管理士官は事故発生後に故意にフォームFに署名したため、統一軍事法典第92条(職務怠慢)および第107条(虚偽の公式声明および記録)に違反した。[認定した事実 344、349、351、354、356、344、357、358]

F 救助活動

32 墜落現場および降着地域におけるオーストラリア空軍隊員および地元住民、事故に関わった数名の地上戦闘部隊海兵隊員、および現場指揮官の行動は称賛に値するものであり、航空偵察員の生命を救うことに直接貢献した。[認定した事実 133、134、138、145、146、150、154、155、156、157、158、159、160、164、161、162、163、165、166]

33 事故機の機長の発見位置から判断すると、事故発生時に機長の安全ベルトは適切に固定されており、事故後に事故機の機長自身または事故機のクルー・チーフによって外されたと考えられる。[認定した事実 183, 186]

34 最終的には適切に計画・実行されたが、患者後送の実施中に、患者後送を実施する権限を誰が有しているのかに関して混乱が生じた。また、患者の移動を許可する承認権者は誰なのか、またいずれの部隊、機関または政府が移動を実施するのかについても混乱があった。注目すべきは、患者後送がケアフライトのオーストラリア民間医療搬送チームによって実施されたことである。患者後送を実施する部隊、機関または政府の権限およびその割り当てに関する混乱により、ケアフライトの行動開始が遅れた可能性がある。[認定した事実 161, 174, 176, 177, 178 ]

35 事故調査官の意見としては、墜落時に事故機のクルー・チーフのコラート伍長は事故機のクルードアから一旦脱出し、その後、閉じ込められたパイロットを救出するため航空機の燃えるコックピットに勇敢にも再突入した。コラート伍長彼は、この行為の最中に死亡した。本意見は、地上部隊指揮官が当該クルー・チーフが事故機から脱出するのを視認したと証言していること、コラート伍長のテザー・ストラップ(訳者注:機内を自由に歩けるように長さが調節できる安全ベルト)が機体の外で無傷で燃えていない状態で発見されたこと、および同隊員の検死結果が高レベルの燃焼生成物の吸入を示していることに基づいている。[認定した事実 125、126、127、128、183、184、186、194、195]

安全勧告

A ダーウィン海兵隊ローテーション部隊の指揮関係および派遣前訓練

1 第1海兵機動展開部隊第3部および第7部は、第1海兵師団と連携して、ダーウィン海兵隊ローテーション部隊海兵空地任務部隊の中核となる必成目標に適切に沿った、ダーウィン海兵隊ローテーション部隊向けの適切な派遣前訓練計画を策定する必要がある。

2 第1海兵航空団のMV-22飛行隊がダーウィン海兵隊ローテーション部隊航空戦闘部隊の基地飛行隊であり続ける場合、第1海兵師団ならびに第1および第3海兵航空団と連携して、第1海兵機動展開部隊と第3海兵機動展開部隊との間で統合派遣前訓練プログラムを計画する必要がある。

3 第24海兵航空群所属の海兵中型ティルトローター飛行隊(VMM)は、ダーウィン海兵隊ローテーション部隊航空戦闘部隊 として展開する前に、適切な派遣前訓練プログラムの訓練 (例: 演習 STEEL KNIGHT) に参加する必要がある。

4 第24海兵航空群の航空機が米国本土ベースの訓練を支援するには、第3海兵機動展開部隊およびアメリカ太平洋海兵隊は、これらの航空機をブラックボトム船でハワイから輸送するための予算を確保するため、適切な事業計画要求書の提出を計画する必要がある。

5 ダーウィン海兵隊ローテーション部隊航空戦闘部隊が引き続き第1航空団および第3航空団の双方から航空機の差し出しを受ける場合は、航空戦闘部隊(増強)のSOP要求事項を明確にするため、統合派遣前訓練プログラムを実施する機会が必要である。

6 第1海兵航空団および第3海兵航空団の計画立案者は、ダーウィン海兵隊ローテーション部隊の所在地に展開されるすべての T/M/S 航空作戦を支援できる増強飛行隊SOPを制定する必要がある。本権限は、適切な海兵航空群司令官に委任され、2年ごとに見直しおよび改訂を行う必要がある。

7 ダーウィン海兵隊ローテーション部隊海兵空地任務部隊の展開前に統合訓練を実施できない場合は、海兵空地任務部隊が作戦遂行の認定を受ける前に、第1海兵機動展開部隊第7部および 機動展開作戦訓練の担当者がオーストラリアで完全に統合された 海兵空地任務部隊 のパフォーマンス評価チェック リストに基づいた評価を実施する必要がある。

B 安全手順および対策

8 直接(事故部隊)または間接(本事故のAH・UHのように目標地域内の支援部隊)に関与する海兵隊航空部隊は、航空事故調査委員会およびコマンド調査チームが事故の原因を特定するために利用できる最も関連性が高く正確な情報を確実に得られるように、関連するすべての飛行データ保存ユニットおよび音声録音を保全する必要がある。

9 飛行隊の指揮官は、列線を離れるすべての飛行の前に、どのような文書をファイルに保存する必要があるかを作戦担当士官に再確認させ、飛行前に航空機の指揮官から必要な文書を受け取るために作戦担当士官がどのような措置を講じることができるかを指導する必要がある。

10 MV-22保有部隊、ICSによる「ブラインド/ビジュアル」宣言の実施を強化し、第1海兵隊航空兵器訓練飛行隊 はこれを訓練に組み込んで、すべての搭乗員が飛行中のパイロットの状況把握レベルを認識できるようにする必要がある。

11 MV-22 コミュニティは、いかなる場合でもウェーブオフが適切であることを強調する必要があり、第1海兵隊航空兵器訓練飛行隊はこれを訓練に組み込む必要がある。

12 複数の種類の航空機がある目標エリアで作業する場合、編隊長は、ウェーブオフを宣言する必要がある、または宣言する状況をあらかじめ計画し、ブリーフィングする必要がある。

13 すべての中型ティルトローター飛行隊は、特に本事故に焦点を当てた飛行の一時停止を実施し、適切な重量および出力に関する手順、戦術的進入の諸元、(コックピット内外の)自信過剰に関連する問題 、上級搭乗員の過信、および飛行安全手順について確認する必要がある。

14 アメリカ海兵隊司令部航空部は、野外飛行性能委員会 (FFPB)および飛行資格検討委員会 (FSSB) のプロセスに、飛行関連のクラスA事故に関係したパイロットの飛行資格を解除することについて検討する必要がある。

15 アメリカ本土外での演習に参加する部隊は、患者後送を実施するための1次、2次および3次的な手段を把握しておく必要がある。民間または政府の企業および機関と事前に調整し、それらの企業および機関が米軍人の患者後送を実施する権限を持っていることを確認する必要がある。部隊は、外国政府または民間の患者後送手段を使用するための事前許可を確実に取得し、軍人が負傷したと宣言された場合の不必要な遅延を防ぐため、それらの患者後送手段に対して演習の実施を通知する必要がある。

C 懲戒手続き

16 私は、統一軍事法典第92条 (職務怠慢) および第107条 (虚偽の公式声明) の違反に関して、整備資材管理士官が適切な行政手続きまたは司法手続きで責任を問われることを勧告する。

17 整備管理主任は、事故機が飛行安全上、実際には必要な基準を満たしていないにもかかわらず、それを認証したことについて適切な管理措置を講じなかった責任を負う必要がある。

18 私は、航空機整備手順を無視した文化を許容したことについて、飛行隊整備士官が適切な行政措置で責任を問われることを勧告する。

19 私は、作戦担当士官が作戦担当士官としての職務を遂行できなかったことおよび出発前に事故機の機長が必要な 飛行安全文書を提出したことについて、に対して適切な行政措置で責任を問われることを勧告する。

20 私は、飛行の安全性と航空機整備手順を無視した文化を許容したことについて、VMM-363(増強)の指揮官 が適切な行政措置で責任を問われることを勧告する。

D 航空機の改良/再構成

21 メッシュ・ネットワーク・マネージャー端末が搭載されているすべてのMV-22B航空機は、搭乗者の脱出への影響と、隣接する座席の保持機構が損なわれていないことを確認するために検査される必要がある。

DI 受賞および表彰

22 事故直後に人命救助に尽力したオーストラリア国防軍の以下の人々は、適切に表彰されるべきである。およびその指揮下で捜索救助活動を行ったオーストラリア空軍の隊員。

23 地上戦闘部隊の次の隊員は、事故後の人命救助活動に対して適切に表彰されるべきである: 地上部隊指揮官、火力支援チーム長、搭乗者1、および小隊衛生兵。

24 VMM-363(増強) の以下の隊員は、事故直後の行動に対して適切に表彰されるべきである: 現場指揮官、自らの生命を危険にさらして仲間の搭乗員の命を救おうとし英雄的な行為を行った事故機のクルー・チーフ(死亡)


2023年8月27日にオーストラリアで発生したMV-22B墜落事故の航空事故調査報告書

                               

出典:USNI News, U.S. Naval Institute 2024年08月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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