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陸軍航空の情報センター

アメリカ海兵隊が2022年6月8日にカリフォルニア州で発生したMV-22Bオスプレイ事故の部隊調査報告書を公表

アメリカ海兵隊

ワシントン DC — 2022年6月8日にカリフォルニア州グラミスで第3海兵航空団第364海兵中型ティルトローター飛行隊のMV-22Bオスプレイに発生した事故について、発生原因の調査が完了した。

死亡した海兵隊員の家族には、可能な範疇で、当該調査結果および関係資料を提供した。

死亡したニコラス・P・ロサピオ大尉、ジョン・J・サックス大尉、ネイサン E. カールソン伍長、セス・D・ラスムソン伍長およびエヴァン・A・ストリックランド上等兵に対し、全海兵隊をあげて哀悼の意を捧げる。

調査の結果、この事故の原因は、左右双方のインプット・クイルにハード・クラッチ・エンゲージメント (hard clutch engagement, HCE)が発生し、シングル・エンジン・アンド・インターコネクト・ドライブ・システムが損傷したことによる、右側プロップローターの推力のほぼ完全な喪失であった。2022年6月8日に発生した悲劇的な墜落事故は、ハード・クラッチ・エンゲージメントの発生およびそれに起因するシングル・エンジン・アンド・インターコネクト・ドライブ・システムの損傷により動力伝達系統の機能が低下し、機体が制御不能状態になったことによって引き起こされた。

調査の結果、パイロットおよび搭乗員に過失はなく、この事故を予測または防止することが不可能であったことが明らかになった。この壊滅的かつ不測困難な機械的故障が発生した際、パイロットたちは、定められた規制に従って適切に飛行していた。また、当該機体を準備した隊員たちに整備ミスもなかった。

アメリカ海兵隊は、OEMメーカーと連携して次の措置を講じることとした。まず、意図しないクラッチ切断およびハード・クラッチ・エンゲージメント事象の発生を抑制した新型プロップローター・ギアボックス・インプット・クイル・アセンブリを設計し供給する。また、MV-22Bの動力伝達系統および飛行制御システム用ソフトウェア、動力伝達系統構成品の材料強度、並びに点検要領を改善する。さらに、MV-22B全機に耐衝撃、耐高温および耐弾性を有するフライト・データ・レコーダーを搭載する。加えて、アメリカ海兵隊のMV-22B部隊においては、パイロットおよび搭乗員に本調査結果を提供し、ハード・クラッチ・エンゲージメントの危険性およびシングル・エンジン・アンド・インターコネクト・ドライブ・システムの損傷に伴う複合的緊急事態発生の可能性について討議を行う。

2023年2月3日、アメリカ海兵隊、海軍および空軍特殊作戦コマンドは、V-22統合事業事務局(Joint Program Office)の勧告に基づき、所定の飛行時間を超過したすべてのインプット・クイル・アセンブリの交換を指示するダイナミック・コンポーネント・ブリテン63を発行した。データ解析の結果によれば、当該飛行時間までにインプット・クイル・アセンブリを交換することにより、ハード・クラッチ・エンゲージメントの発生率は99%減少し、極めて小さなものとなる。

我々は、ニコラス・P・ロサピオ大尉、ジョン・J・サックス伍長、ネイサン E. カールソン伍長、セス・D・ラスムソン伍長、エヴァン・A・ストリックランド上等兵とその愛する人たちのことを決して忘れず、航空機を操縦する男女に最も安全かつ効果的な機体を提供するための努力を続けてゆく。

当該部隊調査報告書は、個人情報および機密情報を削除した上で、アメリカ海兵隊の情報公開ウェブサイト(hqmc.marines.mil/Agencies/USMC-FOIA/FRR/ )に掲載している。

訳者注:上記情報公開ウェブサイトに掲載されている部隊調査報告書の部分訳は、こちらに掲載しています。

                               

出典:MARINES, The official website of the United States Marine Corps. 2023年07月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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