AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

書籍紹介:ドリーム・マシーン

悪名高きV-22オスプレイの知られざる歴史

リチャード・ウィッテル 著
影本 賢治 訳

米海兵隊がV-22オスプレイと呼ばれるティルトローター(ヘリコプターと飛行機のハイブリッド機)の調達を決定したとき、その機体は「ドリーム・マシーン」だと思われていた。ヘリコプターのように垂直に離陸、着陸、ホバリングし、かつ飛行機のように速く、遠くまで飛行できる能力を有するティルトローターは、航空界にとって、北極海における北西航路の探索に匹敵する価値があるものと考えられたのである。この航空機が民間航空の世界に変革をもたらすと予言したり、米海兵隊が生き残るための鍵であると考える者も少なくなかった。

2000年頃、9年ものスケジュールの遅れと数10億ドルもの経費超過を生じさせていたオスプレイは、技術的なハードル、ビジネス上の敵対関係及び装備化に関わる政治的論争に翻弄され続けていた。米国防総省史上最悪の無駄遣いである、という反対勢力の酷評にも関わらず、海兵隊は何が何でもオスプレイを装備化しようとしていた。そして、2件の墜落事故により23名の海兵隊員の生命が失われてもなお、オスプレイに固執し続けた。それは、ある指揮官がこの航空機が有する問題点について虚偽の報告をするように部下たちに命じているという告発が国家的なスキャンダルとなっても変わることはなかった。

本書「ドリーム・マシーン」が、徹底的な調査や数百回におよぶインタビューに基づいて描き出すのは、米海兵隊がオスプレイを戦場に送り込むまでの四半世紀に渡る闘争である。著者であるウィッテルは、国防総省や議会の廊下からイラクの交戦地帯へと、そしてオスプレイを懸命に設計する技術者たちの製図台からオスプレイを命懸けで操縦する民間および海兵隊パイロットたちのコックピットへと読者を誘う。その上で、ティルトローターを設計し、販売し、調達し、操縦し、戦い抜いた男たちの動機、手段、そして執念を解き明かしてゆく。本書は、オスプレイがその悪名を馳せることになった墜落事故に関する未発表の目撃証言などの海兵隊の歴史に刻むべき事実だけではなく、航空輸送の世界に尚も革命をもたらそうとしているこのマシーンの魅力についても余すことなく描き出している。

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著者紹介

RICHARD WHITTLE(リチャード・ウィッテル)
「Dallas Morning News(ダラス・モーニング・ニュース)」紙に22 年間、米国防総省に関する記事を掲載し続けるなど、30 年以上にわたって軍事および航空に関する諸作を発表。
ワシントンDC在住。

訳者紹介

影本 賢治(かげもと けんじ)
陸上自衛隊航空科職種の整備幹部として、米陸軍機関誌の翻訳、オスプレイの装備化などに関わる業務に従事。退職後は、ウェブサイト「AVIATION ASSETS(アビエーション・アセット)」を運営し、米軍機関誌の翻訳記事を掲載中。
北海道旭川市在住。

 

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雑誌などでの紹介

Jウイング 2018年11月号 「訳者が登場 気になるアノ本」
航空情報 2018年11月号 「AR.TRANSPONDER」
木更津市議会議員 近藤 忍 ウェブサイト 「最近思うこと」
ウェブサイト「Kojii.net ココログ別館」
ウェブサイト「読書メーター」
日本経済新聞2018年10月20日
竹蔵雑記
読書三昧
防衛技術ジャーナル2020年2月号
田中のりこのブログ

販売元など

鳥影社
Amazon(中古品も購入できます。)
楽天市場
書 店(このほか、全国の書店で注文できます。)
図書館(現在地を入力すると検索結果が表示されます。)

お詫びと訂正

4ページに掲載しているV-22オスプレイの開発中の事故で亡くなった方のお名前および階級に翻訳ミスがありました。謹んでお詫び申し上げます。

訂正は、次のとおりです。

ホセ・アルバレス・ジュニア軍曹→ホセ・アルバレス・ジュニア3等軍曹
カン・ソレルランス伍長→カン・ソレル伍長
ジェイソン・T・デュークランス伍長→ジェイソン・T・デューク上等兵
イエスゴンザレス・サンチェスランス伍長→ジーザス・ゴンザレス・サンチェス上等兵
セス・G・ジョーンズランス伍長→セス・G・ジョーンズ上等兵
ホルヘ・A・モリンランス伍長→ホルヘ・A・モリン上等兵
ケネス・O・パディオ伍長→ケネス・O・パディオ上等兵
ジェイソン・A・バイク軍曹→ジェイソン・A・バイク3等軍曹

翻訳者が海兵隊兵士の階級に不慣れかつ不注意だったことが原因です。本文中に登場する方のお名前などではありませんが、オスプレイ開発中の事故で尊い命をなくされた方々およびそのご遺族に対し、大変失礼なことをしてしまいました。
本書をお買い上げ頂いた皆様におかれましては、大変お手数ではございますが、上記訂正を行って頂けますよう、お願い申し上げます。

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出典:The Dream Machine, Simon&Schuster Paperbacks 2011年05月

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10件のコメント

  1. 管理人 より:

    日本におけるオスプレイ導入事業に携わっている方や、様々な観点からそれに関心を持つ方に、ぜひ読んでいただきたい本です。現在、管理人が翻訳・出版を準備中です。

  2. 管理人 より:

    管理人が翻訳した「ドリーム・マシーン」の校正が完了しました。平成30年8月中旬以降に出版される予定です。

  3. 管理人 より:

    本日、「ドリーム・マシーン」の販売が開始されました。この本を読むこと自体がひとつの冒険です。オスプレイに賛成する方でも、反対する方でも、思わぬ事実に遭遇できるはずです。ぜひ、ご一読ください。

  4. 管理人 より:

    本書の購入を検討していただいている方から、「何が書かれている本なのか、分からない」という意見がありました。また、本書を購入した方からは、「知りたいことがどこに書かれているのか、分からない」というご指摘もありました。このため、「要約」を作成してみましたので、参考にしていただければと思います。

  5. 管理人 より:

    要約に「将来の方向性のようなもの」が読み取れるようにした方が良い、というアドバイスをいただきましたので、エピローグの要約を追加してみました。あわせて、プロローグの要約も追加しました。

  6. 管理人 より:

    本書を紹介して頂けた雑誌やウェブサイトへのリンクを追加しました。

  7. 管理人 より:

    要約にWikipedia へのリンクを追加しました。このうち、「ブルーリボン委員会」は、管理人がWikipedia英語版の記事を翻訳し、日本語版に掲載したものです。

  8. 管理人 より:

    唐突ですが、西川渉氏が「Aviation Now」というサイトで「<V-22・BA609>ティルトローター機の操縦」という記事(『コクピットイズム』09号/2008年11月刊掲載)を公開しています。非常に良くまとまった記事ですので、ぜひ、ご一読ください。

  9. 管理人 より:

    Wikipediaの「V-22」の記事を修正する際に、北村淳先生の「海兵隊とオスプレイ」を読んでいたら、著者のRichard Whittleを「リチャード・ウィットル」と表記していることに気づきました。私も当初、ウィットルとしていたのですが、出版するにあたって、類書を確認したところ、「プレデター」を翻訳・出版した赤根洋子先生は「リチャード・ウィッテル」としていたので、これに合わせて修正しました。ただし、「訳者あとがき」だけ、修正を忘れてしまい、「ウィットル」という表記が残ってしまっています。もし、第2版を出版することがあったら、こちらも修正したいと思っています。

  10. 管理人 より:

    「訳者あとがき」を追加しました。