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陸軍航空の情報センター

陸軍航空に脅威をもたらすレーザー攻撃

レーザー攻撃は陸軍機の航空安全に対する深刻な脅威であり続けています。航空機への意図的なレーザー照射は、パイロットの安全を脅かす、連邦法への違反行為です。高出力レーザーは、軍人や民間人を輸送する航空機を操縦するパイロットを操縦不能に陥らせる場合もあるのです。

米国内だけでも、2023年の初めから2025年の6月までに、170件の米陸軍機が関与したレーザー照射事件が報告されています。これは平均すると毎月約6件の事件があったことになります。以下のリンクには、最新のレーザー照射事件に関する州ごとの統計が公表されています。https://www.faa.gov/about/initiatives/lasers

FAA(Federal Aviation Administration, 連邦航空局)は、航空機にレーザーを意図的に照射する者に民事および刑事罰を科すため、連邦、州、地方の法執行機関と緊密に連携しています。連邦航空規制に違反してレーザーを航空機に照射した者には、罰金による民事罰および禁錮刑(米国法典第18編第39A条)が科せられることになっています。

無許可のレーザー照射を予測することは困難ですが、レーザー活動に遭遇する前、中、後に航空搭乗員が実施すべき対応策は次のとおりです。まず、パイロットは継続的に無許可のレーザー活動が報告されているエリア内での飛行を可能な限り避けます。また、特定のエリアで過去20分以内にATC(Air Traffic Control, 航空交通管制)または他のパイロットから無許可のレーザー照射に関する注意喚起があった場合は、そのエリア全体での飛行を避けるべきです。

IFR(Instrument Flight Rules, 計器飛行方式)で飛行中に近傍でのレーザー活動に遭遇または報告された場合には、割り当てられたクリアランスから逸脱する前にATCの許可を得るべきです。予期せずレーザー照射にさらされた場合には、ビームとの直接的なアイ・コンタクトは避け、航空機の制御と安全性に影響を及ぼさない範囲で最大限に目を保護します。

すべての航空搭乗員は、無許可のレーザー照射を受けた場合、可能な限り速やかに適切なATC管制施設に無線報告することが求められています(アドバイザリー・サーキュラー70-2B「航空機へのレーザー照射の報告」)。その際の報告には、事件発生の場所(例:軍用座標、緯度/経度、および/または連邦中継地区)、高度、レーザー・ビームの色、発信方向などの情報を、可能な限り含める必要があります。迅速な報告の実施は、法執行機関によるレーザー送信源の特定にも役立ちます。

報告を受けたATC施設は、地方の法執行機関またはFBI(Federal Bureau of Investigation, 連邦捜査局)に加えて、DEN(Domestic Events Network, 国内イベント・ネットワーク)によりATSC(Aviation Traffic Safety Coordinator, FAA航空交通安全調整官)へ報告する義務があります(FAA指令JO 7210.3 施設運用および管理)。DENは、FAA、TSA(Transportation Security Administration, 運輸保安局)、および法執行機関などの政府機関の間で、NAS(National Air System, 国家航空システム)の航空交通の運用に影響を及ぼすセキュリティ関連情報をリアル・タイムで共有することを可能にしています。この情報は、これらの政府機関による適切な行動を促し、NASの安全性とセキュリティを維持するために用いられます。

非管制空域を飛行中にレーザー照射を受けた航空搭乗員は、UNICOM(ユニ・コム:管制塔がない飛行場で、パイロットが他の航空機や地上のオペレーターと通信するために使用する共通の無線周波数)またはVHF/UHF(Very High Frequency/Ultra High Frequency, 超短波/極超短波)ガード周波数121.5/243.0などの適切な周波数により、可能な限り速やかに非管制空域を飛行中にレーザー照射を受けた航空搭乗員は、UNICOM(ユニ・コム:管制塔がない飛行場で、パイロットが他の航空機や地上のオペレーターと通信するために使用する共通の無線周波数)またはVHF/UHF(Very High Frequency/Ultra High Frequency, 超短波/極超短波)ガード周波数121.5/243.0などの適切な周波数により、可能な限り速やかに放送するよう要請されています。

この注意喚起には以下の内容を含めることになっています。

無許可のレーザー照射の影響を受けたパイロット等は、目的地に到着した際、FAAウェブ・サイト(https://www.faa.gov/aircraft/safety/report/laserinfo/)にあるFAAレーザー・ビーム暴露質問票、国防総省レーザー安全事象ホット・ライン(商用:800.473.3549、DSN(Defense Switched Network):312.798.3764)、および米陸軍職員はそれに加えてASMIS(Army Safety Management Information System, 陸軍安全管理情報システム)ニア・ミス・アプリケーション(https://asmis2.safety.army.mil/DashBoard)を通じて事象を報告することが奨励されています。

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ASMIS: https://safety.army.mil/media/asmis2

                               

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2025年08月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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