AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター


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パワー・マネジメント:逃げ道を確保しておくことの重要性

上級准尉3 デール・フォーシュラー
ミシガン陸軍州兵第3-238全般支援航空旅団
ミシガン州グランドレッジ

操縦課程を卒業したての新米准尉だった私は、操縦を早く身に着けたいと思い、ある中尉との飛行任務に志願しました。その任務は、後にRAIDプログラムとして広く知られるようになった州の麻薬対策部門の支援であり、地元の麻薬取締チームをUH-1Hで空輸し、マリファナを探すというものでした。ネバダ州で行われたこの任務に従事していた6ヶ月間は、その後のいかなるキャリアよりも、多くの飛行経験を与えてくれました。

ある日の任務は、ラスベガスのすぐ南側から西側にかけて広がるレッド・ロック国立森林公園の山岳地域で行われました。そこでマリファナが栽培されているという情報があったからです。その地域を偵察するため、7名の捜査官を空輸することになりました。この日だけで、私はパワー・マネジメントに関する2つの重要な教訓を得ました。

一つ目の教訓を得たのは、朝、山脈に向かって水路をたどって飛行していた時のことでした。全員が機外に注意を向け、一連の谷から山岳地域へと続く水路だけを見ていました。あい路を飛行しているうちに、誤ってボックスキャニオン(箱の側面のように垂直に切り立った断崖を成す峡谷)の中に飛び込んでしまいました。突然、前進飛行に必要な出力が得られなくなりました。着陸する場所はなく、方向転換するための高度もありませんでした。トラップに飛び込んでしまった私たちには、逃げ道を失ってしまったのです。

出口は後方にしかありません。貴重な対気速度とわずかな高度を失いながら、右に旋回し始めました。旋回を終えると、ゆっくりと加速を開始しました。代わりに高度が下がり始めましたが、すでに出力は最大であり、そのまま進む以外に選択肢はありませんでした。

目の前に隆起した地形が迫って来ましたが、上昇することはできませんでした。コレクティブを引き上げようとしましたが、低ローター回転の警報音がむなしく響くだけでした。地面に激突する衝撃に備えた時、驚くべきことに、機体が上昇し始めました。激突の寸前に転移揚力を獲得し、かろうじて地形をクリアすることができたのです。機長であった中尉は、私を見て、「操縦を交代しようかとも思ったが、あれ以外の方法が考えつかなかったので、自分が操縦して墜落するよりもましだと思ったのさ」と、引きつった笑いを浮かべながら言いました。

二つ目の教訓を得たのは、その任務の後段のことでした。私たちは、再び、マリファナ植物が生育している地域へとつながる水路をたどり始めました。捜査官は、その地域を調査しようとしていました。私たちは、マリファナのすぐ近くに着陸しようとしましたが、着陸適地が見つかりませんでした。このため、斜面に一方のスキッドを接地させた状態で捜査官を1人ずつ機外に降ろし、捜査官たちが周囲を調査している間は周回飛行をしながらピックアップまで待機することにしました。この計画の最初の部分は問題なく進み、捜査官全員が何事もなく機体から卸下を完了しました。問題が起こったのは、ピックアップする時でした。

捜査官たちは、卸下した時とは違って、全員同時に機体に乗り込んできました。このため、急激にパワーが必要となり、ローター回転数が瞬間的に低下しました。低ローター回転警報音が鳴り響き、機体が傾くのが感じられたので、直ちに離陸することにしました。これは、適切な判断でしたが、まだ1名の捜査官が体の半分を機外に残したままだったのです。離陸した時、その捜査官は、座席の脚部をつかんで、体の半分を機体の外にぶら下げていました。幸いなことに、着陸適地を見つけて着陸し、座席に着かせるまでの間、その状態のまま持ちこたえることができました。

その日、私たちは幸運にも航空機事故を発生させず、誰かに深刻な怪我を負わせることもありませんでした。これらの経験から学んだのは、パワー・マネジメントの重要性でした。必要馬力は操縦課程で教わったとおりに計算していましたが、それを実際に飛行に適用した経験がありませんでした。今では、山岳地域での操縦技術について教育する時は、いつも、対気速度であれ高度であれ「逃げ道」を確保しておくことが重要であることを強調するようにしています。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2023年02月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    いつも思うのですが、この手の情報を世界に向けて公開できるところが、アメリカ陸軍の底力のような気がします。私の現役時代の経験からすると、陸上自衛隊では部隊内では共有されたとしても、それ以上はなかなかできていないのではないでしょうか?