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陸軍航空の情報センター

UAS訓練の変革:15X戦術UASスペシャリストによる圧倒的優位の確立

中佐 リサ・M・ベッカー

陸軍長官は、覚書「ドローンによる圧倒的優位の確立」において、3つの重点施策を提示しました。最初の2項目が最新技術の調達や現有装備の改修、機体数の確保を主眼としているのに対し、3番目の項目ではドローン訓練の抜本的な刷新を求めています。UAS訓練大隊である第13航空連隊第2大隊は、UAS(Unmanned Aircraft Systems, 無人航空機システム)要員に対して「何を、いかに訓練するか」が、装備品による解決策と同様に、ドローンの優位性を確保する上で極めて重要な課題であると認識しています。

2025年の春、軍高官らは、現代の戦場における部隊編制には、従来の操作員や整備員の枠を超えた能力を持つ「グループ1〜3」のUASスペシャリストが必要であると判断しました。2-13大隊はこの訓練変革の要請に応え、新たなMOS (Military Occupational Specialty, 特技) である「15X戦術UASスペシャリスト」の創設に着手しました。そこでは、専属の教官らがグループ1〜3のUASの運用・操作・修理・整備・改修・製作・訓練に関する包括的な指導を行います。最も重要なことは、この課程の卒業生が「能動的な学習者」として、絶えず進化する技術やドローンの戦術的運用法に即応できる能力を備えていることです。

2025年6月、陸軍指導部は、新しい15X特技の柱となる2つのLOE (Line of Effort, 取り組み) を正式に示達しました。第一の取り組みは、指導官養成(Train the Trainer, T3)課程を開設し、部隊に所属する2,000名以上の航空要員を、現行の特技である15E(戦術UAS整備員)または15W(戦術UAS操作員)から15Xへと転換させることです。第二の取り組みは、いかなる作戦環境の要求にも応えられるよう、初任訓練生向けの新たな15XのPOI (Program of Instruction, 教授計画) を策定することです。

部隊における指導官を養成するため、選抜された教官10名は、構想策定から6週間足らずで第25歩兵師団に赴き、MART (Mobile Advanced Readiness Training, 移動高度即応訓練) を実施しました。この訓練の目的は、第25歩兵師団のUAS要員30名を多能化訓練することにあり、最終的な部隊対抗演習に必要なアディティブ・マニュファクチャリング (付加製造)、センサー情報の利活用、生存性、カウンター・UAS、および戦術訓練といった技能を習得させました。当該訓練に参加した「ライトニング(第25師団の愛称)」の隊員の多くは旅団野外演習に参加し、その後、JPMRC (Joint Pacific Multinational Readiness Center, 統合太平洋多国籍即応センター) 26-01において、15Xとしての資格証明を受けました。

大隊の教官たちは、第25歩兵師団での演習から得られた教訓を反映させ、2026年1月にアリゾナ州フォート・ワチューカで開始される指導官養成課程の訓練計画を洗練させました。MARTでの成果を基に発展したこの新しい指導官養成課程は、全部隊の15Eおよび15Wの指導者要員が参加する7週間の課程です。この駐屯地課程を修了した後、これらの指導者要員は2週間のオンライン課程に参加し、指導官養成課程の教授法を習得します。教育を終えた指導者要員は自らの軍団または師団に戻り、自部隊の15Eおよび15Wに対し、この7週間の課程を伝達教育することになります。

教官たちは、既存部隊の再教育と並行して、教育刷新の第二の柱である15X初任訓練生向けの新たな教授計画の策定にも着手しました。その際、単に15Eと15Wのカリキュラムを統合するのではなく、現代の学生の適性と部隊側の要求を満たすため、教育内容を全面的に刷新しました。15Xへの迅速な変革にあたり、教官たちは次の考え方を前提としています。「ドローン技術の進歩は戦場に強力な装備をもたらすが、そのイノベーションを真に引き出すのは『能動的学習者』として訓練された隊員たちであり、彼らこそがドローンを単なる道具から動的な解決策へと変貌させるのである。」

適応力と革新性を備えたUASスペシャリストを育成するため、まずは教則案を見直し、学生が能動的に参加できるインタラクティブ・エンバイロメント (双方向的な環境) を構築しました。現在の授業はスチューデント・セントリック (学生中心) であり、リサーチ、シナリオ主導の課題、グループ・ワーク、およびハンズ・オン (実践的) な指導を重視しています。こうした学習環境により、学生の認知レベルは単なる想起や丸暗記から、アイデアの分析や創造的な問題解決といった、より高次の段階へと引き上げられました。

教場の改修も、学生中心の教育への轉換を後押ししました。現場にはWi-Fi環境を整備し、授業中のリサーチ用に学生一人ひとりにノート・パソコンを支給しています。さらに、3Dプリント・ラボやアップグレードされた電気・ソルダリング (ハンダ付け) ステーションなどを活用しつつ、マルチメディア教材を用いた実践的な指導を促進しています。

また、成人学習モデル(大人の学習プロセスに最適化された教育手法)に基づくクロス・トレーニング(職務の枠を越え、複数の技能を修得させる多能化訓練)やリフレッシャー教育(再教育)を通じて、教官自身の能力開発も継続しています。教官らは従来の操作・整備の枠を超えた技能を相互に習得し、15X課程の新しい教材についての教育資格を認定されました。授業のあり方がシフトしたことで、教官もまた一方的な講義形式を脱却し、学生間の議論を導き促進するための新しい技法を習得しました。この教官の質の向上が、教室での教育成果、ひいては実戦部隊における学生の活躍を左右する鍵となります。

15Xの重要な資質は、いかなる機動部隊にも迅速に適合でき、UASがいかにして地上部隊指揮官の運用構想(機動計画)を補完し、情報提供を行うかを深く理解していることです。この能力をさらに強化するため、ジョージア州フォート・ベニングの偵察・警戒リーダー課程の幹部らとも提携し、最新の知見を導入しました。これにより教官らは、フィールド・クラフト (野外勤務)、移動技術、およびバトル・ドリル (戦闘予行) を効果的に指導するための教授法を学んでいます。習得したスキルは、部隊向けの指導官養成、初任訓練、および最終段階の野外訓練評価を通じて、余すことなく活用されます。

さらに、USAARL (United States Army Aeromedical Research Laboratory, 米国陸軍航空医学研究所) との協力関係も構築しました。人間工学や認知科学の専門家を擁するUSAARLは、より革新的なUAS要員を部隊に送り出すため、教育効果を科学的に分析・評価し、改善に向けた具体的な助言を行います。この提携により、15Xの教官と教育内容を最新技術、戦訓、および陸軍のニーズに即応させるための重要なフィードバック・ループ(最新技術や現場の観察データを人間のパフォーマンスや学習効率の観点から科学的に分析し、教育手法の改善と部隊の即応能力向上に繋げる双方向の循環)が形成されます。

ドローンの優位性は、空を舞う機体の性能や数で語られがちですが、我々は訓練の高度化に注力し、地上部隊指揮官に対して真に有効な「UASという解決策」を提供することを目指しています。そのため、現職の15Eおよび15Wの指導者らを教育しつつ、新世代の15X戦術UASスペシャリストを育成することに邁進します。最新技術と迅速な適応力、そして能動的な学習者である15Xを融合させることで、陸軍はドローンによる圧倒的優位を確立する準備を整えようとしています。

リサ_M_ベッカー中佐は、米国陸軍航空教育研究センター傘下、アリゾナ州フォート_ワチューカ所在の第13航空連隊第2大隊長です。

訳者注:グループ1〜3のUAS(無人航空機システム)の定義
本記事で言及されている「グループ1〜3」の定義は以下のとおりです。
グループ1:重量が約9kg(20ポンド)未満。隊員が手投げで発進させる、あるいは個人で携行して運用する小型機。
(例:RQ-28A SRR、Ghost-X、民生品(COTS)ベースのFPVドローン等)
グループ2:重量が約9kg〜25kg(21〜55ポンド)。中型の機体で、主にカタパルトによる射出や垂直離着陸(VTOL)能力を持つ。
(例:V-BAT、ScanEagle 3)
グループ3:重量が約600kg(1,320ポンド)未満。戦術レベルで運用される比較的大型の機体。
(例:Jump 20(将来型戦術UAS:FTUAS)、RQ-21 Blackjack)

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