TrautmanとTroutman(私の翻訳失敗談)
私が翻訳・出版したV-22オスプレイに関するノンフィクション「ドリーム・マシーン」には、TrautmanとTroutmanという二人の人物が登場します(違いはaとoの一文字だけです)。
George Trautman:アメリカ海兵隊の航空副司令官を務めていた海兵隊員(中将)
George Troutman:ベル社のために働いていたロビイスト
「ドリーム・マシーン」を翻訳する際には、その両方を「トラウトマン」と訳していました。
平成30年に2018国際航空宇宙展が行われた時に、そのTrautman元中将とお会いする機会がありました。その頃から、「ドリーム・マシーン」に出てくる用語や人物について、オンライン百科事典のWikipediaに記事を投稿していた私は、元中将への手土産代わりに元中将に関する英語版Wikipediaの記事を翻訳して掲載し、それを見ていただこうと思い立ちました。ところが、その翻訳をしている最中に、ある問題に気づいてしまいました。「ドリーム・マシーン」に登場するこの二人の名前が、その巻末にある索引では、区別できずに一緒に扱われてしまっていたのです。
第2版を出版する際には(その頃は、恥ずかしいことに、すぐに第2版を出版できるものと思っていました)、この索引の問題を修正してもらおうと考え、「トラウトマン」の項目を2つに分けることにしました。しかし、やっかいなことにファーストネームも同じなので、ジョージ・トラウトマンという項目が2つできてしまい、どっちがどっちか分からなくなってします。
そこで、どちらかの名前の日本語表記を本文も含めてすべて変えてしまおうと考えました。オンライン辞書のWeblioで検索すると、Trautmanには「トラウトマン」という訳語しか示されていませんが、Troutmanには「トゥルートマン; トラウトマン; トルートマン」という3つの訳語が示されていました。これは、どう見ても、Troutmanmの方の日本語表記を変えるべきです。ところが私は、何とかTrautmanの方を変えられないかと思ってしまったのです。なぜかというと、Trautmanの方がTroutmanよりも「ドリーム・マシーン」に登場する頻度が少なく、こちらを修正した方が簡単だったからです。
改めてサイトを検索するとAllan Trautmanという俳優の名前に「トラアットマン」という日本語表記が用いられているのを発見しました。そこで、「ドリーム・マシーン」の第2版を出版する時には、Trautmanを「トラアットマン」と表記するように修正することにしました。そのうえで、「トラアットマン」という表題でWikipedia日本語版に英語版を翻訳した記事を掲載しました。Trautman元中将にお会いした時には、その記事を見ていただいて、大変喜んでいただくことができました(日本語表記の話はしていません)。
それから1年半ほどが過ぎ、WikipediaのV-22 オスプレイの記事を翻訳していると、Trautman元中将の名前が出てきました。そこで、以前に自分が掲載したTrautman元中将に関するWikipediaの記事を参照しようとして、Googleで「トラアットマン」を検索すると、びっくりするような結果が表示されました。何とWikipediaだけではなく、Weblioにも「トラアットマン」という訳語が「ジョージ・J・トラアットマン3世(George J. Trautman III, 1952年10月17日 – )は、アメリカ合衆国の軍人。」と、私がWikipediaに記載したとおりの内容といっしょに表示されているのです。Wikipedia、恐るべし!
先ほど述べたとおり、Trautmanを「トラアットマン」と表記している例は他にもありますので、決して間違いではないのですが、やはり「トラウトマン」と表記するほうが一般的であり、辞書にまで載ってしまうのは、不本意です。Weblioには、「Weblio英和対訳辞書はプログラムで機械的に意味や英語表現を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。」と記載されていますが、まさにそのとおりになってしまいました。
このようなことから、本日、Wikipediaの「トラアットマン」の記事の表題を「トラウトマン」に変更しました。「ドリーム・マシーン」の方は、(いつのことになるか分かりませんが)第2版が出版されることになったら、Troutmanの方を「トルートマン」に変更しようと思っています。Weblioもそのうち自動的に修正されると思いますが、それまでの間は、ちょっと気恥ずかしい状態が続きそうです。
発行:Aviation Assets
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1件のコメント
本日、Weblioの訳語が「トラウトマン」に変更されていることを確認しました。これで一安心です!
https://ejje.weblio.jp/content/George+J.+Trautman+III