AVIATION ASSETS

陸上航空の教育訓練、運用、装備、安全等に関連する米軍情報の発信源

書籍紹介:ドリーム・マシーン

悪名高きV-22オスプレイの知られざる歴史

リチャード・ウィッテル 著
影本 賢治 訳

鳥影社刊 四六判 約760 頁 定価3456 円(本体3200+ 税)

米海兵隊がV-22オスプレイと呼ばれるティルトローター(ヘリコプターと飛行機のハイブリッド機)の調達を決定したとき、その機体は「ドリーム・マシーン」だと思われていた。ヘリコプターのように垂直に離陸、着陸、ホバリングし、かつ飛行機のように速く、遠くまで飛行できる能力を有するティルトローターは、航空界にとって、北極海における北西航路の探索に匹敵する価値があるものと考えられたのである。この航空機が民間航空の世界に変革をもたらすと予言したり、米海兵隊が生き残るための鍵であると考える者も少なくなかった。

2000年頃、9年ものスケジュールの遅れと数10億ドルもの経費超過を生じさせていたオスプレイは、技術的なハードル、ビジネス上の敵対関係及び装備化に関わる政治的論争に翻弄され続けていた。米国防総省史上最悪の無駄遣いである、という反対勢力の酷評にも関わらず、海兵隊は何が何でもオスプレイを装備化しようとしていた。そして、2件の墜落事故により23名の海兵隊員の生命が失われてもなお、オスプレイに固執し続けた。それは、ある指揮官がこの航空機が有する問題点について虚偽の報告をするように部下たちに命じているという告発が国家的なスキャンダルとなっても変わることはなかった。

本書「ドリーム・マシーン」が、徹底的な調査や数百回におよぶインタビューに基づいて描き出すのは、米海兵隊がオスプレイを戦場に送り込むまでの四半世紀に渡る闘争である。著者であるウィッテルは、国防総省や議会の廊下からイラクの交戦地帯へと、そしてオスプレイを懸命に設計する技術者たちの製図台からオスプレイを命懸けで操縦する民間および海兵隊パイロットたちのコックピットへと読者を誘う。その上で、ティルトローターを設計し、販売し、調達し、操縦し、戦い抜いた男たちの動機、手段、そして執念を解き明かしてゆく。本書は、オスプレイがその悪名を馳せることになった墜落事故に関する未発表の目撃証言などの海兵隊の歴史に刻むべき事実だけではなく、航空輸送の世界に尚も革命をもたらそうとしているこのマシーンの魅力についても余すことなく描き出している。

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要約(訳者作成)

プロローグ

第1章 夢(ドリーム)
オスプレイ開発の原動力になったのは、「鳥と同じように空を飛びたい」という人類の夢であった。その夢を実現させたのは、発明家や個人起業家ではなく、軍産複合体であった。

第2章 営業担当者(セールスマン)
夢を売るためには伝道師のような地道な努力が必要であることを学んだオスプレイの営業担当者ディック・スパイビーは、そのドリーム・マシーンへの信仰を深めていった。

第3章 顧客(カスタマー)
オスプレイの顧客は、それに最も強いニーズがあり、高性能な航空機に最も関心があり、自らの軍種の将来に最も危機感を抱いている軍種、海兵隊であるべきだと考えられるようになった。

第4章 販売(セール)
オスプレイの販売に最も貢献したのは、ティルトローター研究機であるXV-15と、そのパリ航空ショーでの活躍、そして、それへの有力者たちの試乗であった。

第5章 機体(マシーン)
オスプレイに対する軍からの要求事項は、その機体をXV-15のような美しいものではなく、野獣のようなものにしてしまった。

第6章 若き海軍長官のオスプレイ
オスプレイの名付け親となり、その装備化を強力に推し進めた若き海軍長官のジョン・レーマンは、ベル・ボーイングに次々と厳しい要求を突き付けた。

第7章 1つの暗闇の時間(ワン・ピリオド・オブ・ダークネス)
オスプレイの計画を中止させようとするディック・チェイニー国防長官とその計画を推し進めようとするカート・ウェルダン下院議員の攻防の最中、オスプレイの最初の事故が発生した。

第8章 生存性(サバイバビリティ)
オスプレイの2回目の事故(最初の死亡事故)が発生したが、オスプレイを支持するクリントンが大統領選に勝利し、オスプレイの夢は辛くも生き残ることとなった。

第9章 もう1つの暗闇の時間(アナザー・ピリオド・オブ・ダークネス)
19名の死亡者を出した3回目の事故(2回目の死亡事故)が発生すると、オスプレイの前途には再び暗雲が立ち込めた。

第10章 弱り目に祟り目
不幸な事故から立ち直ろうとしたとき、4回目の事故(3回目の死亡事故)が発生し、さらには整備記録の改ざんという不祥事が国家的スキャンダルへと発展した。

第11章 暗黒の時代(ダーク・エイジ)
事故の影響で飛行停止となり、機体の大規模な改修を余儀なくされたオスプレイの運命は、専門家たちで構成される委員会の決定に託された。

第12章 不死鳥(フェニックス)
再設計と再試験を終えたオスプレイは、不死鳥のようによみがえった。イラクに派遣されたオスプレイは、その任務を完遂した。ディック・スパイビーにとって、ティルトローターは、ドリーム・マシーンであり続けた。

エピローグ

著者紹介

RICHARD WHITTLE(リチャード・ウィッテル)
「Dallas Morning News(ダラス・モーニング・ニュース)」紙に22 年間、米国防総省に関する記事を掲載し続けるなど、30 年以上にわたって軍事および航空に関する諸作を発表。
ワシントンDC在住。

訳者紹介

影本 賢治(かげもと けんじ)
陸上自衛隊航空科職種の整備幹部として、米陸軍機関誌の翻訳、オスプレイの装備化などに関わる業務に従事。退職後は、ウェブサイト「AVIATION ASSETS(アビエーション・アセット)」を運営し、米軍機関誌の翻訳記事を掲載中。
北海道旭川市在住。

リチャード・ウィッテルおよびドリーム・マシーンへの賛辞(原書「The Dream Machine」より)

「小説のように離陸し、情報源を明らかにした歴史的調査のように飛ぶ本である」
 ―グレーテル・C・コバック、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙

「ウィッテルは、製図版から現実までのこの航空機の進化を巧みに描いている。トレイシー・キダーの『ザ・ソウル・オブ・ア・ニュー・マシーン』の軍用バージョンだ」
 ―カーカス・レビュー

「最先端の軍事・航空テクノロジーを愛する者たちにとって、偉大な冒険談だ」
 ―マーク・トンプソン、ワシントン・マンスリー誌

「ウィッテルは、悲惨な事故、予算上の障害、政治的締め付け、そして言うまでもなく尊い命を失いながらもオスプレイへの献身を続けた海兵隊を語ることにより、ワシントンでの物事の行われ方についての教訓的事項を明らかにした。現代の政府、現代の政治、そして現代の軍事政策に興味を持ち、その3つを一度に知りたいと思う者であれば誰でも、ドリーム・マシーンを読んだことに満足することであろう」
 ―フィリップ・タージアン、ウィークリー・スタンダード誌

「本書『ドリーム・マシーン』を面白くしているのは、ワシントンの『恒久政府』であるロビイストやコンサルタントおよび官僚や請負業者たちに光を当てたことである・・・ウィッテルが書き表した教訓のひとつは、この国で巨大な金権のプールの中を泳ぐチャンスを逃す者はいないということであり、その中でも最大の魚は軍需企業であるということだ」
 ―マシュー・コンティネッティ、ワシントン・ポスト紙ブック・ワールド

「『ザ・ライト・スタッフ』の著者であるトム・ウルフは、ウィッテルがこの航空歴史書を『ザ・ローター・スタッフ』と呼んだとしても許してくれることだろう。その物語は、『衝撃破』という音速の壁を超え真空の宇宙に飛び込んだジェット・パイロットたちの物語と同じくらいに面白いからだ。ぜひ、この本を読んでもらいたい。これは、単に貴重な航空史であるだけではなく、技術的革命のために人類が払った犠牲を思い出させ、将来も同じような代償が強いられることを予想させる物語だからである」
 ―デビッド・H・ガーニー大佐、米海兵隊(退役)、USMC(RET。)、プロシーディングス誌

「リチャード・ウィッテルの航空機の開発および調達に関するこの物語は、古典になることが運命づけられている・・・これよりも精密な仕事を見出すことは、ほとんど不可能かも知れない」
 ―ウィル・ホラハン大佐、米海兵隊予備役(退役)、ザ・オフィサー誌

「ウィッテルは、本書を執筆するにあたって、『良いことと悪いことの双方を取り上げ、その事実に自分自身を語らせるように努めた』と言っている。彼は、そのことに成功している」
 ―スティーブ・ワインバーグ、ダラス・モーニング・ニュース紙

「200回以上のインタビューから、ウィッテルは、事故の続発、量産の遅延、および何十億ドルものコスト超過にも関わらずオスプレイを継続しようとした国防総省の戦略会議と、国会議事堂の隠れたミーティングを再構築している。素晴らしい本である」
 ―ディル・アイスマン、バージニアン・パイロット紙

「ウィッテルは、読者を軍産複合体の閉じられたドアの裏側から墜落するオスプレイのコックピットの中まで連れて行き、正確かつ臨場感あふれる物語を提供してくれる」
 ―アビエーション・メインテナンス誌

ウィッテルは、「手加減しないが、卑怯な手も使っていない。そのため、科学、政治、および陰謀についての魅力的な話が続く、誰もが面白く読める本になっている」
 ―ライン・オブ・デパーチャー誌、Military.com

「細心の注意を払った調査により・・・気が遠くなるほどに複雑な国防総省の調達システムの内情を暴き出している」
 ―ネイサン・ホッジ、デンジャー・ルーム誌、wired.com

「技術冒険談であり、複雑な国防総省政策への道標である」
 ―ベン・スチールマン、スターニュース紙(ノースカロライナ州ウィルミントン)

「オスプレイ計画が生き残ったことは、作り話ではない真実である・・・ウィッテルは、その論争や内紛が実際に行われた密室や会議室に我々を連れて行ってくれる。彼は、論争となることを避けようとせず、無数の小さな旧知の事実に光を当てながらオスプレイの物語を構成している」
 ―ビル・パワーズ大佐、海兵隊(退役)、マリーン・コー・ガゼット誌

「ドリーム・マシーンは、人間ドラマ、技術的推理小説、戦史、アメリカの軍事および経済の将来に影響を及ぼす主要な問題点をめぐる真相を上手に組み合わせている。これは、末永く読まれることになる貴重な読み物である」
 ―ジェームズ・ファローズ、アトランティック・マンスリー誌、「National Defense」著者

「過去四半世紀で最も物議を醸した飛行機に秘められた興味深い歴史である。ウィッテルは、民間航空の将来を担う可能性のある全く新しい新型軍用飛行マシーンがもたらす期待と危険を公平に描写している」
 ―ビング・ウェスト、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家、「ザ・ビレッジ」および「ザ・ストロンゲスト・トライブ」の著者

「この説得力のある貴重な本の中で、真の記者の中の記者は、厳しい質問を投げかけるとともに、安易な回答に甘んじることを拒絶している。ウィッテルは、海兵隊がV―22オスプレイを手に入れるために繰り広げた25年間の荒れ狂うような闘争という現実のミステリーを解き明かした。ひとりの読者として、あるいはひとりの市民として、ドリーム・マシーンを読まずにはいられないであろう」
 ―マーク・シールズ、同時配給コラムの著者であり、報道番組「PBSニュース・アワー」の政治アナリスト

「ドリーム・マシーンは、航空界を釘付けにし、何十億ドルもの金と何十人もの命を費やした飛行マシーンであるオスプレイについて、その探求の過程を描いた魅力的な物語である。何十年もの間、将軍、技術者、およびパイロットたちをじらし続けたその航空機のように、本書ドリーム・マシーンもまた、ハイブリッドなものとならざるを得ず、『ザ・ソウル・オブ・ア・ニュー・マシーン』と『ブラック・ホーク・ダウン』の中間物のような側面がある」
 ―ブラッド・マトセン、元パイロット、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家、「ザ・シー・キング」著者

「細心の注意を払って調査し、きっちりと書かれたリチャード・ウィッテルのドリーム・マシーンは、息を飲むような人間ドラマとともに技術的な詳細を述べながら、最も物議をかもした戦闘マシーンのひとつであるV―22オスプレイの魅惑的な歴史をテンポ良く語っている」
 ―エリック・シュミット、ニューヨーク・タイムズ紙テロ専門特派員 

出典:The Dream Machine: The Untold History of the Notorious V-22 Osprey, Simon&Schuster Paperbacks

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5件のコメント

  1. 管理人 より:

    日本におけるオスプレイ導入事業に携わっている方や、様々な観点からそれに関心を持つ方に、ぜひ読んでいただきたい本です。現在、管理人が翻訳・出版を準備中です。

  2. 管理人 より:

    管理人が翻訳した「ドリーム・マシーン」の校正が完了しました。平成30年8月中旬以降に出版される予定です。

  3. 管理人 より:

    本日、「ドリーム・マシーン」の販売が開始されました。この本を読むこと自体がひとつの冒険です。オスプレイに賛成する方でも、反対する方でも、思わぬ事実に遭遇できるはずです。ぜひ、ご一読ください。

  4. 管理人 より:

    千葉県木更津市で市議会基地対策特別委員長を務めていらっしゃる近藤忍議員が、本書に対するコメントをご自身のウェブサイト(http://sinobu.com/kika/ki18/0911.html)に掲載して下さいました。

  5. 管理人 より:

    本書の購入を検討していただいている方から、「何が書かれている本なのか、分からない」という意見がありました。また、本書を購入した方からは、「知りたいことがどこに書かれているのか、分からない」というご指摘もありました。このため、「要約」を作成してみましたので、参考にしていただければと思います。