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陸軍航空の情報センター

ブッシュ(灌木)の上への着陸

匿名希望

2017年の夏、私の部隊は、その翌年に控えていた海外派遣に備えるため、カリフォルニア州フォート・アーウィンのナショナル・トレーニング・センターでの訓練に参加していました。私にとって、実際の砂塵の中で離陸、飛行および着陸するのは、操縦課程を卒業して初めてのことでした。

ある夜、私たちは、想定上の患者後送要求を受領しました。私の機体の搭乗員は、患者を収容して病院に後送するため、砂漠に向かって離陸しました。外はとても暗く、新人パイロットであった私は、不安を覚えました。後部座席には教官がいて、我々のすべての動きを評価していました。私は、飛行速度が遅すぎる、と彼女から注意されてしまいました。彼女は、私が飛行時間を余分に稼ごうとしているだけだと思っていたようですが、実際には、あんなに暗くてほこりっぽく、コントラストがほとんどない状態で飛行したことがなかったので、緊張してしまっていただけでした。

臨時の降着地域に無事に着陸した我々は、患者を収容し、病院で卸下しました。燃料給油とデブリーフィングのために基地に戻る途中、基地が「攻撃を受けている」という状況付与の無線があり、指示があるまで空中待機しなければならなくなりました。指示どおりに空中で待機し、燃料がなくなるまで空に円を描き続けました。その頃には、誰もが野良犬のように疲れ果てていましたが、着陸して燃料補給を行わなければなりませんでした。

私たちは、NVGの中の黒と緑の海に向かって、降下を開始しました。機長は着陸しようとしている場所を伝えてくれました。それを確認した私は、機長の操縦を援助していました。機長は、スポット・オンの要領でダスト・ランディングを行い、砂漠の中の小さな黒い点を補助目標として、その直ぐ隣に着陸するつもりでした。地面に近づくと、コックピットの外が見えなくなりましたが、チン・バブル・ウインドゥから地面が見えるようになるまで、ゆっくりと前方に降下し続けました。その瞬間、補助目標にしていた黒い点が見えました。なんと、それは、フォルクスワーゲン・ビートルほどの大きさのブッシュ(灌木)だったのです。

その真上に接地しようとしていることが分かったとき、私ができたのは、「ブッシュ!」という言葉を発することだけでした。私は、ブレードが砂に接触するか、ダイナミックロールオーバーが発生するに違いないと思いました。その間も、「攻撃」を受けているという状況を付与するため、照明弾が打ち上げ続けられていました。その照明弾の匂いで機体に火災が発生したと勘違いした我々は、エンジンを緊急停止しました。

結果的には、怪我人はなく、機体下部の小さなアンテナを曲げただけで済みました。その夜の不安全の最大の要因は、搭乗員の疲労だったと思います。また、砂漠の中の黒い点の隣に向かって進入する前に、低空で偵察飛行を行うべきだったと思います。それ以来、私は、夜間に着陸する際には、たとえ視界がクリアであっても、事前に高高度および低高度からの簡単な偵察を行うようにしています。また、離着陸の間、キャビン内の救難員が「猿まわし」だけではなく、シートベルトを締めて着席していることを必ず確認するようにしています。加えて、決して自分の限界を超えることがないように、そして、ゴーアラウンドはいつでも無料であることを忘れないように心がけています。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2021年10月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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2件のコメント

  1. 管理人 より:

    「bush」という単語の翻訳に悩みました。そのまま直訳すると「茂み」なのですが、「ブレードが砂に接触するか、ダイナミックロールオーバーが発生するに違いない」や「フォルクスワーゲン・ビートルほどの大きさ」という記述と合いません。スキーなどで雪が少ない場所で地面が露出している部分のことを「ブッシュ」と呼びますが、それに近い表現なのではないかと考え、「ブッシュ(岩)」としてみました。ご意見がれば、お寄せください。