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陸軍航空の情報センター

V-22オスプレイ:その状況と課題

ジェニファー・ディマシオ
米国防衛政策アナリスト

2025年9月12日
議会調査局(議会での議論に1914年から情報を提供)
CRSレポート(議員および議会委員会向け)

概要

V-22オスプレイは、統合運用が可能な多任務中型輸送回転翼機である。V-22はティルト・ローターとして知られる航空機の一種で、有人軍用機としては他に例を見ない設計である。ティルト・ローターはヘリコプターのように垂直離着陸が可能な一方、各翼端にあるローター・ブレードをターボプロップ機のように前方に傾けることで、固定翼機のような前進飛行も可能である。オスプレイは、固定翼機とは異なり滑走路なしで、あるいは艦船甲板から離着陸でき、垂直飛行と前進飛行の組み合わせにより、従来のヘリコプターと比較して速度と航続距離が大幅に向上している。V-22は1980年代に開発が開始され、2007年に初期作戦能力(IOC)の獲得が宣言された。以降、イラク、アフガニスタンその他の地域での戦闘作戦に投入されてきた。

米海軍省は、V-22 JPO(Joint Program Office:統合プログラム・オフィス)を管理し、航空機の開発、支援、配備、廃棄を担当している。V-22プログラム・オフィスは、テキサス州フォートワースのベル・ヘリコプター・テキストロン社と、ペンシルベニア州フィラデルフィアのボーイング・ヘリコプター社と協力し、海兵隊、空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)、海軍向けにそれぞれ異なる3つの型式を製造している。V-22の試作機は1988年に製造され、翌1989年に初飛行した。米国防総省(DOD)は、海兵隊向け360機、海軍向け53機、AFSOC向け56機のV-22を調達しており、一部は現在も生産中である。国防総省は、2028会計年度に生産ラインを閉鎖する予定である。米国はV-22を日本に輸出し、日本は17機のオスプレイを保有している。

2025年7月現在、V-22が関与する事故で軍人および文民65名が死亡している。この数字には、初期作戦能力宣言前の2007年以前の死亡者30名と、2007年以降の35名が含まれる。2022年以降、V-22では4件の死亡事故が発生し、20名の軍人が死亡、さらに20名が負傷した。事故調査報告書によると、これらの事故のうち少なくとも2件は、部品の故障が主要因であった。国防総省当局者は、同様の部品が類似事故の原因となった可能性があることから、現在この航空機の飛行を着陸可能地点から30分以内に制限している。第118回および第119回議会の一部議員は、2022年と2023年に発生したV-22の死亡墜落事故に関連し、このプラットフォームの安全性について懸念を表明している。下院政府監視委員会は2023年12月にV-22プログラムの調査を実施し、2024年6月にこの件に関する公聴会を開催した。

V-22 JPOは、2026年にオスプレイを完全な運用状態に戻すため作業を進めており、安全性と信頼性向上のため航空機の部品とコンポーネントの複数のアップグレードを追求していると述べている。海兵隊、空軍、海軍も訓練を修正し、新しい運用手順を実施している。

一部議員は、V-22の設計が、将来型長距離強襲機として知られる陸軍の新しいティルト・ローター機開発に何らかの教訓を提供できるかについても懸念を表明している。議会は、そのような分野の監督実施の可否、およびそのようなアップグレードへの資金提供の可否を検討することができる。V-22の監督を行うにあたり、議会は特に以下の問題を検討することができる:

目次

はじめに

本報告書は、議会に向け、米国防総省のV-22オスプレイ(統合運用可能な多任務中型輸送回転翼機)に関する背景と潜在的問題点を提供するものである。オスプレイは、海兵隊、空軍、海軍向けにそれぞれ1つずつ、3つの派生型が生産されている。国防総省は、CH-46およびCH-53輸送ヘリコプターの後継機として、1980年代にV-22の開発を開始した。V-22は開発中に遅延や死亡事故を経験し、2007年まで運用可能と宣言されなかった。運用可能宣言以降、海兵隊はV-22をイラク、アフガニスタンその他の地域に派遣してきた。一部軍当局者は、この航空機の独特な設計により、部隊の兵站範囲(すなわち、自給自足部隊と外部資源依存部隊との間の距離)が、先行機に比べて3.5倍に拡大したと述べている。

2025年7月現在、V-22航空機が関与する事故で65名が死亡している。2022年以降、V-22は4件の死亡事故を経験し、20名の軍人が死亡、さらに20名が負傷した。事故調査報告書によると、これらの墜落事故のうち2件は、部品の故障が主要因であった。事故後、海軍はV-22の運用を一時停止したが、2024年に、機体が着陸可能地点から30分以内に留まるという制限付きで運用を再開した。海軍と空軍の部隊では、その制限が依然として続いており、2026年まで解除されない可能性がある。一部議員は、航空機の安全性、特にハードウェアの故障、航空機の飛行制限が米軍の訓練と作戦にどのように影響したか、そしてV-22の開発・運用から得られた教訓が、FLRAA(Future Long-Range Assault Aircraft:将来型長距離強襲機)と呼ばれる同様タイプの航空機を開発する陸軍の取り組みにどの程度活かされているかに関心を示している。

背景

V-22はティルト・ローターとして知られる航空機の一種で、有人軍用機としては他に例を見ない設計である(図1参照)。ティルト・ローターは、プロペラ駆動の前進飛行による速度と航続距離に加えて、ヘリコプターと同様に滑走路なしで、あるいは艦船甲板から離着陸できる能力を持つ。V-22には海上運用のための追加機能がある。その翼は回転して水平に折りたたむことができ、空母や強襲揚陸艦でより容易に輸送・保管できる。

V-22は、テキサス州フォートワースのベル・ヘリコプター・テキストロン社とペンシルベニア州フィラデルフィアのボーイング・ヘリコプターズ社による合弁事業であるベル・ボーイング社によって生産されている。海軍省のNAVAIR(Naval Air Systems Command:海軍航空システム・コマンド)は、3種類のV-22の開発、支援、配備、廃止を行うV-22 JPOを管理している。

V-22の正式な開発は1980年代に始まった。開発中、このプラットフォームは、エンジン故障によって乗員7名全員が死亡した事故を含む、いくつかの事故を経験した。2025年7月現在、V-22航空機が関与する事故で65名の軍人が死亡している。V-22は2007年に初期作戦能力に到達した。国防総省は、この航空機の生産を2028年に終了する計画である。調達総数には、海兵隊向け360機、AFSOC向け56機、海軍向け53機が含まれる。日本は17機のV-22を受領した。国防総省は2019年12月、V-22の総取得費用を557億ドルと見積もった。

V-22の海兵隊版(MV-22と呼ばれる)は、24名の戦闘部隊を輸送し、中型輸送ヘリコプターCH-46と大型輸送ヘリコプターCH-53の後継機として開発された。MV-22は、水陸両用強襲、戦闘支援、および中型輸送戦闘業務支援任務のために設計されている。2024年6月現在、海兵隊は306機のMV-22を保有している。MV-22はまた、大統領輸送を支援し、支援要員、報道関係者、物資を輸送する海兵隊第1ヘリコプター飛行隊(HMX-1)の一部でもある。(大統領と副大統領は、VH-92パトリオットと呼ばれる別のヘリコプターで飛行する。)

AFSOCは、CV-22と呼ばれるV-22の派生型を運用している。このコマンドは、長距離の潜入、脱出、再補給任務を遂行するためにCV-22を使用する。これらの任務は、空軍当局者が「チャレンジング(困難)」と表現する、航空機をほこりや厳しい着陸環境にさらす場所で行われる傾向がある。空軍は、2009年からCV-22を運用し、51機を保有している。CV-22は最大32名を輸送できる。

海軍のV-22派生型はCMV-22と呼ばれ、脅威下にあっても、前進基地から空母へ人員、郵便物、優先貨物を輸送することを目的としている。海軍機は、前部スポンソン燃料タンクを再設計し、翼に燃料タンクを追加したことで、海兵隊のMV-22派生型よりも25%多い燃料を搭載できるようになった。海軍の発表によると、CMV-22は最大6,000ポンドの貨物等を1,150海里以上輸送できる。海軍は、2022年2月にCMV-22派生型が初期作戦能力に到達したと発表した。海軍は37機のCMV-22を保有しており、これは現在、COD(Carrier Onboard Delivery:艦上輸送)任務を実施している固定翼機である老朽化した15機のC-2グレイハウンドの後継機となることを目的としたプラットフォームである。海軍は、残りのグレイハウンドを2026年までに退役させる計画を示しており、海軍のCMV-22が飛行制限下にある間、C-2の使用を継続している。

表1. V-22の主要諸元

項目内容
推進装置ロールス・ロイス AEI 107C エンジン 2基
最大垂直離陸重量52,600ポンド
燃料搭載量1,721-2,025ガロン
最大巡航速度255ノット
実用上昇限度25,000フィート

出所:海軍省、米海兵隊、V-22オスプレイ・ガイドブック、NAVAIR、CMV-22オスプレイ・ウェブサイト

図1. V-22オスプレイの主要寸法

出所:Shutterstock-Pixelsquid/Shutterstock.com、海軍省、米海兵隊、V-22オスプレイ・ガイドブック

安全性の問題

前述の通り、2025年7月現在、V-22航空機が関与する事故で65名が死亡している。2007年以降の35名の死亡者のうち、23名は海兵隊機で、12名は空軍機で発生した。

航空事故と調査

国防総省は、飛行分野における航空事故を、「飛行の意図があり、国防総省航空機に損害があった」状況として位置づけている。国防総省内では、各軍がその管轄下で航空事故の調査を実施する。例えば、空軍省内では、AFSEC(Air Force Safety Center:空軍安全センター)が空軍と宇宙軍の事故調査を監督している。

事故が発生した後、AFSECは暫定安全委員会を任命して調査を開始し、事故にクラスを割り当てる。国防総省は、最も深刻なタイプであるクラスA事故を、「政府およびその他の財産への損害の総費用が200万ドル以上である、国防総省航空機が破壊された(UAS(Unmanned Aerial Systems:無人航空機システム)グループ1、2、または3を除く)、あるいは負傷または職業性疾病が死亡または完全な永久的身体障害をもたらした」インシデントと定義している。

次に、安全調査委員会が事故の根本原因を究明するために開催される。国防総省によると、安全調査の目的は将来の事故を防ぐことである。安全調査報告書は、将来の行動のための調査結果と勧告を作成する。勧告と文書に含まれる情報の多くは、秘匿特権の対象(すなわち、法的に保護され、公表されない)となる場合がある。国防総省によると、「安全特権」という用語は、「裁判所によって認められた、安全情報を公開から保護する特権」を指す。これは、「重要な政府プログラムの効率的な運営を妨げ、国家防衛または安全保障を損なう可能性のある情報を公開から保護するために機関の長に与えられた行政特権」である。国防総省は、この特権にはいくつかの例外があると述べている。一つの例外は、1989年に国防総省とHASC(House Armed Services Committee:下院軍事委員会)との間で交わされた合意であり、これによりHASCまたはSASC(Senate Armed Services Committee:上院軍事委員会)の委員長または筆頭理事が安全情報に関するブリーフィングを要請することができる。国防総省はさらに、「委員長と筆頭理事はブリーフィング中に要求された秘匿特権のある安全報告書の部分をレビューすることができるが、事前にコピーを提供されることはなく、また委員長と筆頭理事が公衆、他の政府機関、または他の議会議員やスタッフに秘匿特権のある安全情報を公開することはない」と述べている。

空軍はまた、並行して調査を行うために事故調査委員会を招集することもできる。その結果として得られる報告書は、安全調査委員会の報告書とは異なり、法的調査として実施されるものであり、勧告を提示しないため、公表される場合がある。海軍と海兵隊も航空事故委員会を招集することがあり、その結果は秘匿特権の対象となる場合がある。海軍法務総監も指揮系統調査を実施することができ、空軍事故調査委員会と同様に、その調査結果は情報公開法に基づき開示される場合がある。

V-22事故率、2015会計年度~2024会計年度

国防総省は、航空機の事故を飛行10万時間あたりで追跡している。海兵隊のMV-22Bのクラス A事故率は、2015会計年度から2024会計年度までで、飛行10万時間あたり2.56件である。海兵隊の全航空機の同期間の平均は、飛行10万時間あたり2.67件である。空軍のCV-22の同期間のクラスA事故率は、飛行10万時間あたり11.55件であり、これに対し空軍の全機種の平均は飛行10万時間あたり1.65件である。海軍によると、CMV-22は事故も死亡者も発生していない。

機械的故障が関与した特定のV-22死亡事故

本セクションでは、2022年と2023年に発生した2件の死亡事故について述べる。これらは、最も最近の死亡事故に含まれ、機械的故障によって引き起こされた最新の事故であり、一部議員が潜在的な物的解決策に関心を示している事故である。

2022年6月8日、カリフォルニア州エル・セントロでの海兵隊事故

2022年6月8日のクラスA事故に関する法務官の指揮系統調査報告書によると、第3海兵航空団の5名の海兵隊員がカリフォルニア州エル・セントロでの訓練飛行中に死亡した。出発後、パイロットの一人がギアボックスの温度上昇を冷却するために着陸地点の変更を要請した。乗組員は午前11時50分にハバス湖市営空港で給油作業を完了し、その後ユマ射爆場へ向かった。その後、訓練場所に向かい、パターン飛行をしながら実弾射撃試験を実施していた。航空機は3回の射撃を問題なく実施した。4回目には、乗組員が「ホットボックスの兆候」を報告し、航空機はギアボックスを冷却するために上空の飛行位置へ移動する許可を得た。これは、その日2回目のギアボックス温度上昇の報告であった。2分以内に、航空機はレーダーとの接触を失い、地面に激突した。

「事故は、単発エンジン/ICDS(Interconnect Drive System:インターコネクト・ドライブ・システム)故障の複合緊急事態を引き起こしたデュアルHCE(hard clutch engagement:ハード・クラッチ・エンゲージメント)事象によって引き起こされ、回復不可能な低高度での制御飛行からの逸脱と急激な降下につながった。」

報告書はさらに、「HCEの根本原因は依然として不明であるが、インシデントの傾向分析によれば、HCE事象は800時間以上飛行したインプット・クイルを持つ航空機で発生している」と述べている。この航空機のインプット・クイル・アセンブリは800時間以上飛行していた。V-22 JPOを運営する海軍航空システム・コマンドの司令官であるカール・チェビ中将は、下院政府監視委員会に対し、V-22プログラムは19件の「ハード・クラッチ・イベント」を経験しており、2022年にはその数が急増したと語った。「時間が経つにつれてクラッチは摩耗し、滑りやすくなるため、ハード・クラッチ・イベントを引き起こす可能性が高くなる」とチェビ中将は述べた。チェビ中将は、データに基づき800飛行時間以上のクラッチを交換することを義務付けたと述べた。

2023年11月29日、日本の屋久島沖での空軍事故

2023年にも機械的な問題がクラスA事故を引き起こした。2023年11月29日、空軍第21特殊作戦飛行隊の8名の隊員が搭乗していたCV-22Bが、日本の屋久島の海岸から約半マイルの海上に墜落し死亡した。乗組員は統合相互運用性演習に参加していた。空軍事故調査委員会の報告書によると、パイロットは一連の「チップ・バーン」警告を受け、そのうちのいくつかを無視した。その後、「速やかに着陸」という警告を受け、乗組員は任務を中止し、近くの空港へ進路を変更した。滑走路への最終進入中に、音声・データ記録装置が連鎖的な故障と警告音を記録した。航空機は左に横転し、海中に墜落した。

事故報告書によると、事故調査委員会委員長は、「証拠の優越により、事故は左側プロップローター・ギアボックスの壊滅的な故障によって引き起こされ、それが(事故機の)駆動システムの急速な連鎖的故障を生み出し、回復不可能な瞬間的な非対称揚力状態をもたらした」と結論づけた。委員会はまた、パイロットがより早い段階でダイバートして別の場所に着陸しなかったことにも過失があったと判断した。調査により、左側PRGBが故障し、PRGB内の5つの高速ピニオン・ギアのうちの1つが破損していたことが判明した。海軍は、将来の欠陥を防ぐために、腐食が発生したことのあるギアボックスの構成部品を交換する計画であると述べている。

ナセル

2022年6月8日と2023年11月29日に発生したV-22の死亡事故は、航空機が回転翼揚力からプロペラ駆動飛行へ移行する際に傾く、各翼端に位置するセクションであるナセル内で発生した機械的故障に関連していた。各ナセルにはエンジン、駆動システム、コンポーネント、配線が収められている。ナセルはエンジンの振動にさらされ、その内部の配線には泥、ほこり、エンジンオイルが溜まることがある。主契約者であるベル・テキストロン社は2021年に、V-22の整備時間の60%がナセル作業に費やされていると述べた。

プロップローター・ギアボックス(PRGB)

事故調査官は、2022年6月8日と2023年11月29日に発生したV-22の死亡事故において、ナセルの構成部品であるプロップローター・ギアボックス(PRGB)に異なる種類の機械的故障が発生していたことを発見した。各ナセル内に位置するV-22の駆動システムの一部がPRGBである(図2参照)。エンジンはインプット・クイルに動力を供給し、それがクラッチ・アセンブリに接続される。クラッチ・アセンブリは、相互に連結されたギアとピニオンのシステムを介してマストを回転させ、それに対応するプロップローターを駆動する。PRGBには、破片を捕捉するための磁気プラグとスクリーン、およびギアオイル中に破片が検出された場合にパイロットに「チップ・バーン」警告を送るための3つの検出システムが備わっている。報道によると、国防総省は過去5年間でV-22のプロップローター・ギアボックスに関する60件のインシデントを報告しており、軍は過去10年間で修理のために609個のプロップローター・ギアボックスを取り外した。

図2. プロップローター・ギアボックス(PRGB)の概略図

出所:マイケル・E・コンリー准将、「合衆国航空機事故調査委員会報告書、CV-22B T/N 10-0054、事故発生日:2023年11月29日」、空軍特殊作戦コマンド

V-22完全飛行運用計画

2023年12月、V-22 JPOを率いるNAVAIRは、2023年11月29日の事故の予備調査において、潜在的な材料の問題が原因として示されたとして、全V-22派生型の飛行を停止した。2024年3月、NAVAIRは最初の飛行停止を解除したが、プレスリリースで「米海軍、米海兵隊、および米空軍は、各軍固有のガイドラインに従って飛行再開計画を実行する」と述べた。2024年5月までに、ニュース報道は、V-22の全派生型が、依然として適切な代替飛行場から30分以内の飛行に制限されていると伝えた。

2024年11月にニューメキシコで発生した重大インシデントの後、チェビ中将は一時的に全機体の飛行停止を再実施した。2024年12月20日、NAVAIRは、航空機の次の飛行前に各PRGBの使用時間を確認する検査を指示し、制限付き飛行の再開を許可した。

2024年7月16日付の当時のロイド・オースティン国防長官宛の書簡で、下院政府監視委員会の委員長と筆頭理事は、1991年以降の「すべてのクラスAオスプレイ事故の日付、場所、原因」のリストを要求した。書簡はまた、1991年以降のすべてのクラスAオスプレイ事故の安全調査報告書も要求した。すでに2023年12月に国防総省に情報を要求していた同委員会は、「必要な資料を入手するために大幅な遅延と障害に直面した」と付け加えた。2025年9月現在、同省が情報を提供したかどうかは明らかではない。

カーツとチェビ中将の証言によると、NAVAIRは、V-22の完全な無制限飛行の基準を確立するために、エンジニアリング・テストと分析を実施している。また、「完全な任務遂行能力への復帰は、2025年半ばより前に起こるとは予想されない」と述べられた。海軍省は、V-22 JPO、NAVAIR、ベル・ボーイングと協力し、さらなるリスク削減努力を検討していた。2025年4月、海兵隊当局者は、PRGBコンポーネントのアップグレードを展開する時間を確保するため、完全な飛行運用は2026年まで再開されないと述べたと伝えられている。海兵隊はまた、ハード・クラッチ・エンゲージメントを緩和するために、新しいインプット・クイル・アセンブリをテストしていると伝えられている。

選定されたV-22アップグレード計画

国防総省は、V-22とその駆動システムを改善するために、様々な整備およびアップグレード・プログラムを開始または提案している。アップグレードの取り組みには以下が含まれる:

プロップローター・ギアボックスの改良

NAVAIRによると、設計および品質管理プログラムは完了しており、「信頼性の欠陥」に対処するため、強化されたPRGBプラネタリー・ピニオン・ベアリング用のハードウェアの納入が2024年8月に開始される予定であった。2024年10月、NAVAIRは、金属中の介在物(不要な粒子)をなくすため、高速プラネタリー・ピニオン・ギア、低速プラネタリー・ピニオン・ギア、ブル・ギア、サン・ギアなどの一部のPRGBコンポーネントを、X-53トリプル・メルト合金として知られるより耐久性のある合金の製品に交換する計画であると述べた(図2参照)。連邦航空局によると、トリプル・メルトとは、ニッケル基合金の製造プロセスを指し、異常を減少させ、回転部品での使用が推奨されている。2025年2月、海軍は、ダブル・メルトX-53から作られたすべてのギアにトリプル・メルト・プロセスを実施すると述べた。海軍は、これらの部品が2025年5月までに部隊で利用可能になる予定であると述べている。海軍はまた、現在のPRGB上部マストのカドミウム・めっきの剥離を防ぐため、2025年からPRGBマストに亜鉛ニッケル・めっきを追加する計画であると述べた。

PRGBインプット・クイル/クラッチのアップグレード

上記の通り、PRGBクラッチは解放と再かん合を繰り返し、ハード・クラッチ・エンゲージメントを引き起こす可能性がある。海軍は、800時間以上飛行したすべてのクラッチの交換を義務付けた。2023年1月、ベル・ボーイング社は、V-22の全派生型向けのプロップローター・ギアボックス・インプット・クイルおよびクラッチ設計の統合、認定、文書化、テストを設計するために、1,270万ドルの契約を受注した。さらに、海軍は、インプット・クイル・アセンブリの再設計を決定し、2026年から開始される後続契約のデータを提供できる可能性があると述べた。

ナセル改善計画

海軍航空システム・コマンドは、空軍のCV-22用のナセル改修キットを開発、設計、設置するために、ベル・ボーイング社に契約を発注した。この改修は、ナセル内部へのアクセスを改善し、配線を合理化することで、整備員が駆動システムの潜在的な問題を診断し、トラブルシューティングを実施することを容易にする。2024会計年度国防授権法(NDAA; P.L. 118-31, §125)において、議会は国防総省に対し、ナセル改善プログラムの下で「24機以上のV-22」をアップグレードするよう指示した。

ODSSHI(Osprey Drive System Safety and Health Information:オスプレイ駆動システム安全衛生情報)

ODSSHIは、ギアボックスの振動を監視し、ギアボックスが交換を必要とするまでの時間を推定するために設計された診断システムである。ベル・ボーイング社は2023年3月、劣化しているギアボックス・コンポーネントを検出するためのV-22ギアボックス振動監視/オスプレイ駆動システム安全衛生情報システムの設計のために、5,360万ドルの契約を受注した。

VeCToR(V-22 Cockpit Technology Refresh:V-22コックピット技術更新)

VeCToRは、航空機の航空電子システムの包括的な近代化案であり、部品の陳腐化に対処し、ローター・ブレードによって巻き上げられる大量のほこりによって視界が遮られる「ブラウンアウト」状況下での制御を改善するために、飛行制御システムをアップグレードするものである。国防総省は、要求事項を定義するために、2024会計年度第3四半期にトレード・スタディと代替案分析を開始した。VeCTORトレード・スタディの初期段階は、2025会計年度第2四半期に終了し、その後のVeCTORアップグレード計画に情報を提供する予定であった。

ReVAMP(Renewed V-22 Aircraft Modernization Program:V-22航空機近代化プログラム更新)

ReVAMPは、海兵隊がMV-22を2055年まで運用し続けることを可能にするために設計・提案されている近代化改修である。海軍によると、ReVAMPの改修項目には、改良された駆動システムとナセル、氷結防止、新しいまたは再コア化されたエンジンが含まれる可能性がある。2024会計年度第4四半期に、V-22プログラム・オフィスは、要件を定義するためにトレード・スタディと代替案分析を開始し、2026会計年度第1四半期に終了する予定である。

V-22の訓練と運用上の変更

2022年6月8日と2023年11月29日に発生したV-22の死亡事故では、機械的故障が要因であったが、後者の事故調査委員会の報告書は、パイロットの過失も要因であったと指摘している。(2022年6月のカリフォルニア州エル・セントロ近郊での事故に関する指揮系統調査は、人的要因は事故の要因ではなく、パイロットと搭乗員の対応は適切であったと述べている。)事故調査により、2022年から2023年の間に発生した他の2件の死亡事故(オーストラリアで1件、ノルウェーで1件)は、パイロットの過失が原因であったと判断された。

国防総省は、機械的故障への対処を求めることに加えて、飛行の安全性を向上させるための安全措置を導入した。下院政府監視委員会への証言で、チェビ中将と国防総省の航空対潜戦・特殊任務プログラム担当プログラム・エグゼクティブ・オフィサーであるゲイリー・カーツは、これらの安全措置の一部には、NAVAIRによる事故の因果関係に関するブリーフィングや、「安全上重要な寿命制限のある部品」のシリアル番号の確認と精査が含まれると述べている。彼らはまた、プログラム担当者が、飛行前にV-22の駆動系が正常に作動していることを地上で確認するとともに、任務計画を改善し、緊急手順を修正する計画であると証言した。

2024年3月、海兵隊はプレスリリースで、17個のMV-22飛行隊を飛行状態に戻すために「3段階のアプローチ」をとっていると示した。第一に、海兵隊はパイロットと乗員にケアと基本的なスキル訓練を提供する。第二に、飛行隊は基本練度および高練度訓練・即応マニュアルを遵守する。第三に、飛行隊は次の配備に向けて、配備前の任務対応訓練を実施する。

また、2024年3月、海軍はプレスリリースで、「CMV-22の飛行再開時に、安全を優先する、慎重で、多段階の、条件に基づいたアプローチ」を実施していると述べた。その計画には、整備点検と個別の訓練が含まれる。海軍は、パイロットがV-22の警報システムを無視しないように、運用に関する指示を変更した。

空軍は、同様の運用上の修正を行ったと述べている。「我々の以前の基準は、3回のチップ(警告)があれば『努めて速やかに着陸』であった」と空軍特殊作戦コマンド司令官マイケル・E・コンリー中将は、2024年9月に述べたと伝えられている。「我々はそれを1回に変更し、2回目は『速やかに着陸』となる。」ただし、常に機長および搭乗員には裁量が残されている。

AFSOCはプレスリリースで、CV-22を完全な飛行運用に戻すために3段階の計画を実施しているとも述べている。第1段階には、地上・シミュレーター訓練、安全ブリーフィング、整備記録の精査、新しい安全手順による飛行隊訓練の改良が含まれる。第2段階は数ヶ月にわたり、基本的な訓練と完全な任務熟練度のための訓練、ならびに追加の整備訓練と飛行隊レベルの訓練が含まれる。第3段階には、多国間演習や作戦展開を伴う完全な任務遂行形態の再開が含まれる。

ティルト・ローターの教訓

陸軍は、従来のヘリコプターよりも高速で航続距離の長い次世代回転翼機を求めており、ベル・テキストロン社からV-22と同様のティルト・ローター設計を開発することを選択した。陸軍当局者は、FLRAAと呼ばれるこの航空機が、シコルスキーUH-60ブラックホーク・ヘリコプターの後継機となることを意図している。

現在のFLRAAの設計はティルト・ローターであるという点でV-22に似ているが、FLRAAはV-22の設計とはいくつかの注目すべき点で異なる。FLRAAはV-22よりも小さい。V-22ではエンジンを含むナセル全体が回転するが、FLRAAの設計ではローター・ブレードのみが前方に傾く。ベル社の当局者は、V-22が設計された当時は利用できなかったデジタル・ツールを使用して、ナセルの設計をさらに簡素化したと述べている。技術の進歩により、FLRAAの配線システムにも、より単純で、被覆され、保守が容易な配線が使用可能になる可能性がある。同社の当局者によると、FLRAAのクラッチは、V-22のクラッチよりも従来型のヘリコプターに近い。現在のFLRAAの試作設計は、V-22にあるミッドウイング・ギアボックスが不要な直線翼を採用していると伝えられている。

これまでの立法活動

2025会計年度

2025会計年度予算要求に関する議会の措置の概要

表2は、V-22プログラムに関連する品目についての2025会計年度予算要求に関する議会の措置を要約したものである。

表2. V-22関連の特定品目に対する2025会計年度予算要求に関する議会の措置

(単位:百万ドル、予算権限ベース)

品目種類要求額HASCSASC制定額(権限)HACSAC制定額(歳出)
V-22(ティルトローターACFT)オスプレイ[海軍]Proc.$235.1$360.1$325.1$295.1$295.1$265.1$265.1
V-22(中型輸送)[海軍]Proc.$60.2$60.2$60.2$60.2$80.2$30.2$30.2
V-22A[海軍]RDT&E$109.4$109.4$109.4$109.4$144.8$103.9$108.2
CV-22改修[空軍]Proc.$42.8$42.8$42.8$42.8$42.8$42.8$42.8
CV-22改修[SOCOM]Proc.$49.4$49.4$49.4$49.4$49.4$40.8$40.8
CV-22生産後支援[空軍]Proc.$12.0$12.0$12.0$12.0$12.0$12.0$12.0
CV-22[空軍]RDT&E$26.2$26.2$26.2$26.2$26.2$26.2$26.2
合計$535.1$660.1$625.1$595.1$650.5$521.0$525.3

出所:米国議会、下院軍事委員会が作成したこの表は、「兵士の生活の質の向上および2025会計年度国防授権法」(H.R. 5009/公法118-159、第119議会第1会期、下院印刷物119-2、2025年1月)に付随する立法文書および共同説明声明、H.R. 8774および下院報告書118-557、S. 4921および上院報告書118-204、ならびに国防総省の「予算の流用に関する行動のための1414基盤」に基づいている。

注: HACは下院歳出委員会、SACは上院歳出委員会。Proc.は調達。RDT&Eは研究・開発・試験・評価。2025年通年継続歳出・延長法(H.R. 1968; P.L. 119-4)には、国防総省プログラムの品目レベルのドル額リストは含まれていなかった。通年CRの第1422条は、国防総省に対し、国防歳出小委員会との「協議の後」、制定後45日以内(すなわち、2025年4月29日まで)に2025会計年度の詳細な「支出、経費、または運営計画」を提出するよう要求した。国防総省のDD 1414再プログラミング措置基礎資料は、国防総省の2025会計年度運営計画を詳述している。キャメロン・M・キーズ著、CRSインサイトIN12425「2025会計年度国防歳出:資金概要」を参照。表には、V-22の予備部品および修理部品、支援機器、または特定のシステムのための追加資金は含まれていない。表には、P.L. 119-21によって提供された義務的資金も含まれていない。数値は小数第1位に四捨五入。四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

2025会計年度国防授権法(H.R. 8070; S. 4638; H.R. 5009; P.L. 118-159)

下院軍事委員会は、2025会計年度NDAA(H.R. 8070)の自院案に付随する報告書(H.Rept. 118-529)の中で、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求額より1億2500万ドル多い額を勧告した(表2のHASC欄参照)。同委員会の報告書は、一部において、海軍長官に対し、C-2グレイハウンドが退役しCMV-22の飛行が制限された場合に海軍がどのように空母打撃群を支援するかについての報告書を提出するよう指示している。これには、戦闘作戦中の艦上輸送の説明やCMV-22自体を支援する計画も含まれる。また、空軍参謀総長と海兵隊総司令官に対し、V-22に予定されているアップグレードについて下院軍事委員会にブリーフィングを行うよう指示し、海軍長官に対し、ナセル改善計画について、改善されたナセルを装備した航空機とそうでない航空機を比較した任務準備態勢の統計を含めて下院軍事委員会にブリーフィングを行うよう指示している。さらに、海軍作戦部長に対し、空軍参謀総長および海兵隊総司令官と連携し、V-22の各派生型への計画的投資について下院軍事委員会にブリーフィングを行うよう指示し、空軍長官に対し、CV-22部隊の提案されている部隊構成について下院軍事委員会にブリーフィングを行うよう指示している。

上院軍事委員会は、2025会計年度NDAA(S. 4638)の自院案に付随する報告書(S.Rept. 118-188)の中で、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求額より9000万ドル多い額を勧告した(表2のSASC欄参照)。

制定された2025会計年度軍人生活の質改善・国防授権法(H.R. 5009; P.L. 118-159)は、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求額より6000万ドル多い額を承認した(表2の制定額(権限)欄参照)。これは、海軍のV-22(ティルト/ローターACFT)オスプレイ調達ラインで要求された「安全性向上」のための額を6000万ドル増加させたためである。

2025会計年度国防総省歳出法(H.R. 8774; S. 4921; P.L. 119-4, A編, 第IV部)

下院歳出委員会は、2025年国防総省歳出法(H.R. 8774)の自院案に付随する報告書(H.Rept. 118-557)の中で、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求額より1億1540万ドル多い額を勧告した(表2のHAC欄参照)。

上院歳出委員会は、2025会計年度国防総省歳出法(S. 4921)の自院案に付随する報告書(S.Rept. 118-204)の中で、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求額より9000万ドル多い額を勧告した(表2のSAC欄参照)。同委員会の報告書は、一部において、陸軍プログラム・エグゼクティブ・オフィサー(航空)に対し、海軍のプログラム・エグゼクティブ・オフィサー(航空対潜戦・強襲・特殊任務)と協力し、V-22プログラムのライフサイクル全体で得られた知見をFLRAAの詳細設計活動に早期に適用できるよう、ティルトローター機の開発と運用に関する教訓について連携することを奨励している。また、海軍長官に対し、NAVAIR主導のV-22プログラムの包括的レビューの状況について議会の国防委員会に四半期ごとに最新情報を提供するとともに、NAVAIRの包括的レビュー完了後90日以内に、すべての勧告の調査結果と実施計画に関する最終報告書を提出するよう指示している。

制定された2025会計年度国防総省歳出法(P.L. 119-4, A編, 第IV部)は、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求額より980万ドル少ない額を歳出した(表2の制定額(歳出)欄参照)。

2026会計年度

2026会計年度予算要求に関する議会の措置の概要

表3は、V-22プログラムに関連する品目についての2026会計年度予算要求に関する議会の措置を要約したものである。

表3. V-22関連の特定品目に対する2026会計年度予算要求に関する議会の措置

(単位:百万ドル、予算権限ベース)

品目種類要求額HASCSASC制定額(権限)HACSAC制定額(歳出)
V-22(ティルトローターACFT)オスプレイ[海軍]Proc.$319.1$319.1$319.1$247.8$309.1
V-22(中型輸送)[海軍]Proc.$47.2$47.2$47.2$50.9$47.2
V-22A[海軍]RDT&E$125.0$125.0$125.0$144.8$125.0
CV-22改修[空軍]Proc.$78.7$78.7$78.7$100.4$78.7
CV-22改修[SOCOM]Proc.$19.7$19.7$19.7$19.7$19.7
CV-22生産後支援[空軍]Proc.$5.1
CV-22[空軍]RDT&E$0.7$0.7$0.7$30.9$0.7
合計$590.4$590.4$590.4$594.4$580.4

出所: この表は、H.R. 3838 および下院報告書 119-231、S. 2296 および上院報告書 119-39、H.R. 4016 および下院報告書 119-162ならびにS. 2572 および上院報告書 119-52に基づいてCRS(米国議会調査局)が作成したものである。

注: HACは下院歳出委員会、SACは上院歳出委員会。Proc.は調達。RDT&Eは研究・開発・試験・評価。表には、V-22の予備部品および修理部品、支援機器、または特定のシステムのための資金は含まれていない。表には、P.L. 119-21によって提供された義務的資金も含まれていない。数値は小数第1位に四捨五入。四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

2026会計年度国防授権法案(H.R. 3838; S. 2296)

下院軍事委員会は、「効果的な執行と引き渡しのための調達合理化および2026会計年度国防授権法」(H.R. 3838)の自院案に付随する報告書(H.Rept. 119-231)の中で、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求通りの額を勧告した(表3のHASC欄参照)。同委員会は報告書の中で、国防総省に対し、ナセルの改善、デジタル相互運用性の向上、航空機の可動率を高める維持管理など、不可欠なアップグレードへの資金提供を優先するよう奨励し、海軍長官に対し、空軍長官と連携の上、V-22部隊の短期的および長期的近代化戦略について、2025年12月1日までに下院軍事委員会にブリーフィングを行うように指示している。

上院軍事委員会は、2026会計年度NDAA(S. 2296)の自院案に付随する報告書(S.Rept. 119-39)の中で、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求通りの額を勧告した(表3のSASC欄参照)。同委員会は報告書の中で、会計検査院長に対し、V-22プログラムの安全性、コスト、信頼性、性能に関するレビューを実施し、V-22プログラムから得られた教訓をFLRAAプログラムに組み込むための国防総省の取り組みの評価を含めるよう指示している。また、海軍長官に対し、ナセルの改善をCMV-22B航空機部隊に適用するよう奨励し、会計検査院長に対し、陸軍のFLRAAプログラムを評価し、陸軍と契約業者がV-22の教訓をFLRAAの設計、リスク削減、運用・保守計画にどの程度組み込んだかを把握するよう指示している。

2026会計年度国防総省歳出法案(H.R. 4016; S. 2572)

下院歳出委員会は、2026年国防総省歳出法(H.R. 4016)の自院案に付随する報告書(H.Rept. 119-162)の中で、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求額より400万ドル多い額を勧告した(表3のHAC欄参照)。同委員会は報告書の中で、特殊作戦軍司令官に対し、下院および上院の歳出委員会国防小委員会に、CV-22オスプレイの導入以降の墜落事故に関する事故調査結果や、単一の高速プラネタリー・ピニオン・ギアの故障が関与したその他の事故所見を含む報告書を提出し、フォローアップ・ブリーフィングを実施するよう指示している。

上院歳出委員会は、2026会計年度国防総省歳出法(S. 2572)の自院案に付随する報告書(S.Rept. 119-52)の中で、V-22プログラムに関連する品目に対し、要求額より1000万ドル少ない額を勧告した(表3のSAC欄参照)。

議会における潜在的考慮事項

議会は、V-22の近代化、将来の購入、および運用のための資金を承認することもできるし、しないこともできる。議会はまた、プラットフォームの安全性について監督を実施することができる。議会は、空母の兵站支援、ナセルの改善、アップグレードへの投資、CV-22の部隊構成、およびプログラム全体に関する情報を求めている。議会が考慮すべき追加事項には以下が含まれる:

V-22部隊の規模

国防総省の計画では、V-22の生産は2028年に終了する予定である。2026会計年度に要求された調達資金は、新しい航空機の取得には充当されない。むしろ、それはコンポーネントや生産ラインの閉鎖などの費用に充てられる。議会にとっての潜在的な問題の一つは、国防総省が保有するV-22が作戦要件を満たすのに十分なのか、多すぎるのか、または少なすぎるのかということである。

一部のアナリストは、海軍がアジア太平洋地域での作戦のためにDMO(Distributed Maritime Operations:分散型海上作戦)に移行するにつれて増大する海軍の兵站ニーズに対応するため、より多くのCMV-22を購入すべきだと主張している。これらのアナリストは、CMV-22の夜間でも可能な垂直離着陸能力により、C-2グレイハウンド貨物機のように滑走路などの航空インフラを必要とすることなく、兵站支援を実施できると主張している。議会は、DMOにおけるCMV-22の役割に関する追加情報を求め、2028年に生産ラインを閉鎖する計画を超えてCMV-22の生産を維持するための資金を提供することもできるし、しないこともできる。議会はまた、CMV-22の代替案を追求するかどうかを検討することができる。

これとは別に、一部の議員は空軍のCV-22の部隊構成に関する報告書を要求している。HASCが報告した2025年度NDAA(H.R. 8070; H.Rept. 119-529)に付随する報告書は、空軍が2026年までCV-22を保管状態に置いていることに言及しつつ、CV-22の部隊規模の妥当性に疑問を呈している。空軍は、より限られた数の航空機をより良く維持・運用するために、特定のCV-22を一部保管に移したと伝えられている。議会にとっての潜在的な問題は、航空機の可動率の低下を考慮して、現役のV-22の数を増やす余力が米軍にあるかどうかである。CBO(Congressional Budget Office:議会予算局)の報告書は、2024年11月に発表され、国防総省の回転翼機の可動率を分析した。CBOは、空軍のCV-22の可動率が2017年の61%から2023年には33%に低下したことを発見した。この調査は、2023年11月29日のV-22死亡事故以前のデータを使用して実施された。

議会は、AFSOCのCV-22部隊の将来の規模と資金調達に関する決定、ならびにナセル改善の将来計画に関する監督を実施するために、空軍から要求された情報を評価することができる。

空母の兵站

前述の通り、海軍は2026年まで、艦上輸送任務のためにC-2グレイハウンドの後継としてCMV-22を段階的に導入している。CMV-22は依然として30分間の飛行制限下にある。海軍は、CMV-22Bが「任務に中断なくこの移行を支援するために、完全な運用範囲に戻る」と予想していることを示している。

V-22の安全記録と飛行制限を挙げ、一部の議員は、海軍が艦上輸送のためにCMV-22の代替としてどのような他のプラットフォームを使用する可能性があるかを尋ねている。海軍当局者は、CH-53Kのような大型輸送ヘリコプターがC-2の任務を遂行する能力があると述べている。議会は、C-2の使用をさらに延長するよう海軍に指示するかどうか、CMV-22の代替案を研究するよう海軍に指示するかどうか、またはCMV-22に資金を提供するかどうかを検討することができる。

将来のアップグレードのための資金調達

議会にとっての潜在的な問題の一つは、海兵隊がMV-22を2055年まで運用し続けるという意向を支持するかどうかである。国防総省は、上記のVeCTORやReVAMPイニシアチブのような将来のアップグレードについて承認および歳出を要求することができる。

海兵隊当局者は、V-22の速度、航続距離、および給油能力が、アフガニスタンでの作戦に不可欠であり、インド太平洋地域で資産となると述べている。彼らは、その安全記録は部隊の他の航空機に匹敵すると主張している。ある海兵隊当局者は、MV-22が紛争下の兵站任務に不可欠であるため、MV-22に対する当初の飛行制限が海兵隊の強襲支援の約75%を妨げたと議員に語った。

議会は2025年度NDAA(H.R. 5009; P.L. 118-159)で、V-22の安全性向上のために追加で6000万ドルを承認した。一部の議員は、国防総省の計画に関する追加情報を要求している。議会は、その結果を用いて、将来のアップグレードのための資金を承認または歳出するかどうかを検討することができる。

安全調査報告書

下院政府監視委員会は、安全調査報告書へのアクセスが不足していることに不満を表明している。2024年7月16日付の当時のロイド・オースティン国防長官宛の書簡で、1991年以降のすべてのオスプレイのクラスA事故に関する報告書と情報を要求しており、「もし国防総省が2024年7月30日までに要求された文書を提出し続けない場合、委員会は、この重要な資料を入手するために、強制的な手段の使用を含む追加の措置を検討する」と述べている。

国防総省指令6055.07は、「司令官が正確な事故情報を迅速に入手できるように、構成部隊は秘匿特権のある安全情報を保護する」と述べている。この指令はまた、情報を提供する情報源への機密性の約束を含む、安全調査における秘匿特権のある情報に関するガイドラインを定めている。

前述の通り、国防総省は、下院および上院軍事委員会の委員長および筆頭理事に対し、要請に応じて、安全調査委員会の結果に関するブリーフィングを提供することに合意している。議会は、この合意をより多くの議員および/または委員会の専門スタッフを含むように変更することを検討することもできるし、しないこともできる。安全調査委員会の結果をより広く配布することは、透明性を高め、議会が監督を実施するのに役立つ可能性がある。一方、調査結果をより広く公開することは、調査に協力する情報源の機密性を損なうなど、意図しない結果を招く可能性がある。

整備訓練

一部のアナリストは、海兵隊の航空技術者および整備員の育成、訓練、教育が、MV-22を含む海兵隊の航空機部隊の革新ペースに追いついていないと述べている。そのうえで、さらなる成功を得るためには、パイロットや搭乗員が受けるような飛行隊固有の訓練が整備技術者にも必要であると主張している。議会は、航空機に搭乗する整備員に飛行隊固有の訓練を提供するために必要な費用と便益を検討する可能性がある。議会はまた、飛行隊レベルの整備訓練に追加の資金を提供するかどうかを検討する可能性がある。

付録:安全統計

以下の表は、V-22の飛行10万時間あたりのクラスA事故率を、海兵隊のAH-1Z攻撃ヘリコプター、CH-53E大型輸送ヘリコプター、UH-1Y中型多用途ヘリコプターを含む、他の選定された海兵隊および空軍の回転翼機と比較したものである。他の空軍回転翼機には、HH-60中型輸送多用途ヘリコプターとH-1ヘリコプターが含まれる。これには、クラスA飛行事故を経験していないCMV-22は含まれない。

表A-1. 選定された海兵隊および空軍のクラスA飛行事故および事故率、2015会計年度~2024会計年度

(機種別、軍別、事故件数と率)

機種事故件数
海兵隊572.67
AH-1Z20.81
CH-53E135.49
MV-22B112.56
UH-1Y41.54
空軍2931.65
HH-6031.29
H-120.66
CV-221111.55

出所:海軍安全センターおよび空軍安全センター

注: 率は飛行10万時間あたりのクラスA事故件数。

表A-2. V-22事故による死亡者数

(全V-22派生型)

期間死亡者数
1991-200730
2007-202535

出所:海兵隊立法連絡室、空軍立法連絡室、航空安全ネットワークデータベース

注: 初期作戦能力を達成した最初のV-22派生型は2007年のMV-22であった。

免責事項

この文書は、CRS(Congressional Research Service:議会調査局)によって作成されたものである。CRSは、議会の委員会および議員に対し、超党派の共有スタッフとして奉仕する。CRSは、もっぱら議会の要請に基づき、その指示の下で運営される。CRSレポートの情報は、CRSがその組織的役割に関連して議会議員に提供した情報の公的理解以外の目的で依拠されるべきではない。米国政府の著作物であるCRSレポートは、米国内において著作権保護の対象とはならない。いかなるCRSレポートも、CRSからの許可なく、その全体を複製および配布することができる。ただし、CRSレポートには第三者の著作権で保護された画像や資料が含まれている場合があるため、著作権で保護された資料のコピーまたはその他の使用を希望する場合は、著作権者の許可を得る必要がある場合がある。

                               

出典:Congressional Research Service 2025年09月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

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