航空機事故ブリーフ(抜粋)
本稿は、報告された航空機事故の予備報告に基づく情報です。
有人機
H-60

当該UH-60Mは、沿岸の施設へ向けて移動中、潤滑油圧の著しい低下に続いてNo.2エンジンの完全故障に至った。洋上を飛行中、搭乗員は「Check EICAS」(エンジン計器・乗員警報装置の確認を促すコーション)の点灯を認めたが、陸地に到達するまで最大出力を確保するため、標準的な緊急操作手順から逸脱して、パワー・コントロール・レバーを「FLY」位置に保持することを選択した。その後、当該エンジンは潤滑油漏れにより故障したが、搭乗員は近隣の飛行場への単発での滑走着陸を成功させ、負傷者は生じなかった。予備的な点検では、潤滑油給油口キャップのシールの損傷が原因と考えられた。帰還のための海上輸送を予定していた当該機は、補給処整備段階でエンジンを交換した(クラスC事故)。
当該UH-60Mは、計画された任務を実施中、始動シーケンスの途中でNo.1エンジンが火災を起こした。搭乗員は緊急停止手順を実施し、機体から脱出した。地上から始動を監視していた機付長が、エプロンの消火器を用いて火災を鎮圧した。事案後の点検により、No.1エンジンと補助動力装置(Auxiliary Power Unit, APU)の双方が腐食性の消火剤を吸い込んでおり、取り外し・交換が必要なことが判明した(クラスC事故)。
H-64

当該AH-64Eは、射撃中、射場での射撃順を待つ間の燃料を節約するため、射撃待機位置に着陸しようとした。機体が機首上げ姿勢となり、機体が後方へ転がり始めたため、機長はサイクリックを前方に操作した。コレクティブの引き上げが不足していたため、メイン・ローター・ブレードがパイロット暗視センサー(Pilot Night Vision Sensor, PNVS)に接触した。搭乗員に負傷はなく、機体は停止された。損害額は200万米ドル以上と見積もられた(クラスB事故)。
当該AH-64Eは、超低空飛行高度で通常の訓練飛行を実施中、操縦担当操縦士が、上昇しながら減速する左旋回を通報したうえで開始した。機体が翼水平飛行に戻る際、当該搭乗員はメイン・ローター系統から4〜5秒間続く短い振動を感じた。両操縦士がこの感覚を相互に確認したうえで、近隣の射場のヘリパッドに着陸することとした。着陸と機体停止を無事に終えた後、メイン・ローター・ヘッドを点検したところ、ドループ・ストップ・ライナーの損傷が判明した(クラスD事故)。
H-47

当該CH-47Fは、暗視眼鏡(Night Vision Goggle, NVG)を使用する訓練飛行において、未偵察の積雪した降着地域に着陸しようとしたところ、「Aft Hook Open」のコーションが点灯し、損傷の可能性を知らせた。搭乗員は、状況を評価し、フックの損傷を確認したうえで、飛行場に帰投した。搭乗員は、雪に隠れた障害物に機体が接触し、その衝撃で後部フックが機体下面に押し込まれたものと推測した。当該障害物は、着陸前にも離陸後にも視認できず、特定されないままとなった(クラスD事故)。
フェーズ整備前の整備確認試験飛行において、地方飛行場への計器着陸装置(Instrument Landing System, ILS)進入を実施中、「No. 1 HYD FLT CONT」のコーションが表示された。搭乗員は定められた緊急操作手順に従い、予備油圧スイッチをNo.1系統の位置に設定したところ、注意灯は一時的に消灯した。しかし、コーションが再び点灯し、これに対応する圧力の低下も認められたため、機上整備員が操縦系統区画(flight control closet)を点検したところ、作動油が霧状に噴き出しているのを確認した。ただし、漏れの発生箇所を特定するには至らなかった。搭乗員はその後、予防着陸を実施した(クラスD事故)。
無人機
MQ-1C

当該MQ-1Cは、強風により自動的な任務中止が作動した後、機体を回収するための飛行中にハード・ランディングを起こした。当初の整備点検では損傷は認められず、G値も制限内と報告されたが、その後に搭乗員が実施した飛行前の最終点検により、斜め尾翼に構造的な損傷が発見された。その後の調査により、ブリーフィングでは示されていた気象上の危険、および回収時に現に存在した環境上の危険要因が、当該任務の危険見積に正しく反映されていなかったことが判明した(クラスC事故)。
小型UAS

当該小型UAS(small Unmanned Aircraft System, sUAS)は、駐屯地周辺の演習場における支援任務において、持続的な電波干渉を受けた。地上の監視員によれば、当該機は上昇せずに樹林帯へ降下し、枝に接触した。風は強かったものの許容範囲内であり、事案に至った主たる要因は電波干渉であった。飛行後の診断により、撮像装置のジンバル(安定架台)に重大な異常が判明し、当該機は技術的な検討が終わるまで任務不能状態となった(クラスE事故)。
出典:Selected Aircraft Mishap Briefs, FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2026年07月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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