AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

過去5年間の固定翼機事故の傾向

陸軍中佐 マイク・ヒギンボサム
航空部長
フューチャー・オペレーション 米陸軍戦闘即応センター
michael.d.higginbotham.mil@mail.mil 334-255-3003

今月号の「フライトファックス」では、引き続き過去5年間の事故発生状況を確認したいと思います。今月は、固定翼機の事故発生状況です。米陸軍の航空機において過去に発生した事故の傾向を把握することは、機種に関わらず、危険性を評価し、対策を検討する上で重要なことであると考えています。
 評価標準化部(Directorate of Evaluation and Standardization, DES)では、緊急操作手順の訓練に関する新しい概念、UH-72ラコタの整備から学んだ安全上の教訓、予想外の悪天候及び適切な係留要領に係る事故調査、及びチェックリストの適切な使用の重要性に関しての過去の教訓について検討中です。
 新年のお喜びを申し上げるとともに、航空安全に関する皆様のご尽力に感謝申し上げます。陸軍参謀長の航空安全に関する目標は、10万飛行時間あたりの事故発生件数を1.0件以下に維持することです。1月中旬の時点では、目標にわずかに届かない1.10件となっており、危険予知への更なる取り組みにより、目標を達成したいと考えています。それでは、来月まで、危険見積が適切に行われ、安全な飛行を続けられることをお祈りします。

 

過去5カ年度において、6件の固定翼機によるクラスA事故が記録され、6名が死亡している。このうち、4件の事故は昼間に発生し、2件は夜間に発生した。また、2件が「不朽の自由作戦」、1件が「イラクの自由作戦」で発生している。 さらに、3件のクラスB及び29件のクラスC事故が発生した。各事故の概要は、次のとおりである。

6件のクラスAの事故のうち、3件(50%)は、人的要因により発生したものである。2件(33%)は、器材上の不具合が原因であり、2件は不明又は報告未了となっている。クラスB事故は、2件が器材上の不具合によるものであり、その他に1件の不明又は報告未了があった。

報告された29件のクラスC事故のうち、12件(41%)は人的要因によるものであり、4件(14%)は機材の不具合、11件(38%)は環境要因(雷、ひょう、鳥等)、2件が不明/報告未了であった。

 

主要な事故発生状況(クラスA)

人的要因による事故

器材に起因する事故

2件の器材の不具合に起因する事故が発生し、3名が死亡した。

固定翼機の航空事故発生率(2010年度-2014年度)

過去5カ年度の固定翼機のクラスA事故の発生率は、100,000飛行時間あたり1.09件であった。同じ期間の回転翼機の事故発生率は、1.57件であった。比較のために、その前の5カ年度間(2005年度-2009年度)は、固定翼機が0.37件であり、回転翼機が2.17件であった。

訳者注:米国陸軍の航空事故の区分(2013年11月改正)は、概ね次のとおりです(AR 385-10)。
クラスA- 200万ドル以上の損害、航空機の破壊、遺失若しくは放棄、死亡、又は完全な身体障害に至る傷害若しくは公務上の疾病を伴う事故
クラスB- 50万ドル以上200万ドル未満の損害、部分的な身体障害に至る傷害若しくは公務上の疾病、又は3人以上の入院を伴う事故
クラスC- 5万ドル以上50万ドル未満の損害又は1日以上の休養を要する傷害若しくは公務上の疾病を伴う事故
クラスD- 2万ドル以上5万ドル未満の損害、又は職務に影響を及ぼす傷害若しくは疾病等を伴う事故
クラスE aviation accident- 5千ドル以上2万ドル未満の損害を伴う事故
クラスF aviation incideent-回避困難なエンジン内外の異物によるエンジン(APUを除く)の損傷を伴う航空インシデント

           

出典:FLIGHTFAX, U.S. Army Combat Readiness Center 2015年01月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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