段階的な訓練の実施

操縦課程を卒業して3ヶ月が経ち、即応レベル進級審査を完了した私は、陸軍パイロットとして即応レベル1の資格を得ました。操縦課程での2年間抱き続けていた不安は、北ミシガンの冬の雪のように、少しずつ溶け始めていました。部隊の標準作業手順書に基づいた積雪地での評価により、悪視程環境(DVE)での運用資格を取得していましたが、この新しい技術を砂塵環境でも試し、経験を積みたいと考えていました。
尊敬する上級准尉4の教官と私は、2名の搭乗員とともに、地元の訓練区域で砂塵が発生しやすい場所を探しました。最初のLZ(降着地域)として「エンジニア・バレー」を選んだ時には、日はすでに沈んでいました。それは訓練区域内でよく知られた場所であり、搭乗員全員が過去に着陸経験がありました。このLZには約650メートルの着陸帯があり、主に砂と土で覆われ、小さな草地が点在し、杭や低木が所々に見られることも把握していました。
LZに到着すると、中央部の平坦で障害物のない場所を着陸地点に選び、その理由を口頭で説明して全員の同意を得ました。DVE着陸に適した姿勢で進入すると、通常通りの砂塵形成報告が聞こえました。「テール…後方ウインドゥ…前方ウインドゥ…」。教官が「いいぞ」と伝えてきたとき、初めての完全ブラウンアウト着陸を完璧にこなせるという自信が湧きました。しかし、車輪が地面に触れた瞬間、その自信は消え去りました。
NVG(暗視装置)を使用していた私たちには、着陸地点が車輪が沈み込むほどの深くて柔らかい砂地だとは分かっていませんでした。航空機は急停止し、全員が前方に投げ出されました。一人のクルー・チーフ以外は安全ハーネスに守られましたが、右後方座席のそのクルー・チーフはハーネスのロック機構の故障により、銃架に顔をぶつけてしまいました。幸い軽傷で済みましたが、もっと深刻な結果になる可能性もありました。
教訓
この飛行計画段階で、資格を持つ搭乗員2名、任務担当士官、および任務承認権限者のいずれも、自信過剰によるリスクを認識できていませんでした。この着陸帯は訓練でよく使われる場所だったため、夜間に暗視装置で着陸する前に、昼間の良好な視界での事前確認が不要だと判断されていました。着陸地点の環境、特に砂地の質感や組成を事前に確認することは極めて重要です。なぜなら、こうした状態は時間とともに変化し、安全な着陸に大きく影響するからです。馴染みのある場所という思い込みが、乗員に過度な自信を生みました。少し早く出発して昼間に簡単な地域偵察をしていれば、危険回避や着陸方法の変更に必要な情報が得られたはずだったのです。
また、私の技能レベルについて、より詳細に「這う/歩く/走る」という訓練段階のどこに位置するのかを見極めるべきでした。総飛行時間やNVG飛行時間が少なく、NVG使用時の危険判断経験が不足していたことを考えると、「這う」段階から始めるべきでした。基本を重視し、昼間のLZ偵察要領の指導から始め、練習を経て「歩く」段階(NVG使用時の同様の危険認識)へ進み、最終的に「走る」段階(リアルタイムでの迅速なLZ偵察)に進むべきでした。
重要なのは、リスク管理プロセスに教訓を取り入れることです。それにより将来の同様の事故を防ぎ、安全性、運用効果、協調的な意思決定の文化を継続的に向上させることができます。自信過剰は飛行経験に関わらず誰にでも起こりえます。基本に立ち返り、必要ならペースを落とすことで命を守れます。今回は幸い深刻な結果にはなりませんでしたが、状況が少し違えば大惨事になっていたかもしれません。謙虚さを保ち、常に正しい行動を心がけましょう。
出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2025年04月
翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人
備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。
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