空中で煙、地上で炎

1等軍曹　マシュー・ロス
第160特殊作戦航空連隊（空挺）第4大隊
ワシントン州ルイス・マッコード統合基地

あるMH-47チヌークの整備確認飛行で、任務復帰を目前に控えた機体が激しいマグネシウム火災に見舞われ、現場は混乱と絶望に包まれた。サン・ディエゴの典型的な晴れた朝に発生したこの事故は、8,600万ドルの機体を損失させ、航空コミュニティーに衝撃を与えるとともに、潜在的な危険性の存在と、先見性のあるリスク・マネジメントの必要性を浮き彫りにした。

その日は、いつものような一日になるはずだった。高い輸送能力で知られる主力ヘリコプターのMH-47は、前夜に完全なミッション・プロファイル飛行を終えていた。日が昇ると、この複雑な機体に精通した専門整備チームが作業を開始し、前回のフライトで特定された軽微な不具合を修正した。これは、ヘリコプターの運用状態を維持するために日常的に行われるレベルの整備作業だった。

航空基地には、いつもの活気が戻り始めていた。整備チームは熱心に作業を進めた。その一つ一つの動きには、長年の経験と、自分たちが整備する機体への深い敬意が込められていた。日が高くなるにつれ、同様に経験豊富で技術に定評のあるフライト・クルーが到着し、多忙な一日の運航準備を開始した。

整備作業が完了すると、クルーが綿密な飛行前点検を行った後、MH-47のエンジンを始動した。チヌークが空へと優雅に舞い上がると、聞き慣れたツイン・ローターの音が空に響き渡った。テスト・フライトは順調に進み、飛行状態を変えながら各システムの検査が綿密に行われた。その時、不吉な兆候が現れた。プラスチックが燃えるような、はっきりとした臭いが機内に充満し始めたのだ。その臭いは、かすかではあったものの間違いようがなく、深刻な懸念を抱かせるものだった。潜在的な危険の存在を認識したクルーは、テスト・フライトを中止し、基地に帰投するという重要な決断を下した。

地上に戻ると、クルーは懸念の表情を浮かべながら、その臭いの発生源を特定するため、直ちに行動を起こした。特に、臭いが最も強かった機体後部を綿密に点検した。しかし、その点検作業は悲劇的な結末を迎えることとなった。数分もしないうちに、後部セクション付近でオレンジ色の光がちらつき始め、続いて炎が噴出した。強烈な熱で知られるマグネシウム火災が発生したのである。

航空基地は混乱に陥ったが、直ちに適切な対処行動が開始された。整備チームは、フライト・ライン用消火器を手に、勇敢に炎と戦った。しかし、可燃性の高いマグネシウムによって勢いを増した火は、恐ろしい速さで燃え広がった。緊急事態の発生を知らせるサイレンが鳴り響き、消防隊が急行したが、現場に到着した頃には、大火災がチヌークを飲み込んでいた。

その後の調査で火災の原因が明らかになった。APU（Auxiliary Power Unit, 補助動力装置）の電線が、後部メイン・トランスミッションの上部で互いに擦れ合い、最終的に火災を引き起こしたのである。整備チームはその問題を把握していたが、完全には対処されていなかった。この事故は、ごくわずかな見落としが壊滅的な結果をもたらす航空分野において、包括的なリスク・マネジメントが最重要であることを痛感させるものだった。

8,600万ドルの機体の損失は、それだけでも重大である。しかし、これは潜在的に人命をも失いかねない深刻な事故だった。フライト・クルーの基地への帰投という判断は、間違いなく正しいものだった。ただし、初期段階での警告サインへの対処の遅れが、機体に致命的な損害をもたらす結果となったのである。