AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

クルー・ブリーフィングの価値

上級准尉2 アレン・ジョーンズ
オハイオ陸軍州兵第137飛行連隊第1大隊B中隊
オハイオ州コロンバス

私たち搭乗員は、通常のIFR(計器飛行形式)訓練任務を実施中でした。その飛行プロファイルは、高度約300フィートを指示対気速度(KIAS)80ノットで飛行し、その後3,000フィートまで上昇して、計画されていた対気速度120ノットまで加速するというものでした。航空機の操縦と計器の監視は、副操縦士が行っていました。

副操縦士の操縦で上昇していたとき、突然大きな爆発音が聞こえ、ブラック・ホークが右にヨーイングするのが感じられました。その後すぐに、2つのマスター・コーションとNo.1 ジェネレーター・コーション・ライトが点灯しました。当時の私は、機長としての飛行時間が24時間、総飛行時間450時間の若いパイロットでした。爆発音が聞こえた時に心配したのは、機体の制御を失うかもしれないということでした。音の原因はわかりませんでしたが、それがヨーイングの原因だと考えられたからです。

副操縦士からは、意図しない右方向へのヨーイングが発生していることと、副操縦士側のマスター・コーション・ライトが点灯しているという報告がありました。私は機長側のマスター・コーション・ライトも点灯していることを伝え、副操縦士に機体の制御を維持できるかどうかを尋ねました。副操縦士は「はい」と答えました。私は管制塔から許可されていたとおりに飛行するように指示しました。その後、計器をすばやく読み取り、航空機が指定された高度と方位に向かって飛んでいることを確かめました。

私は、航空機が地形や障害物に向かって降下していないことが確認できたので、コックピット内の状況に集中し、マスター・コーション・ライトが点灯した原因を探り始めました。結果的には、No.1 ジェネレーター・コーション・ライトが点灯しただけだったので、管制塔の指示どおり飛行を続けました。No.1 ジェネレーター・コーション・ライトの点灯時の緊急操作手順を実施し、チェックリストで手順を再確認しました。No.1 ジェネレーターが間違いなく故障していると判断した後、管制塔を無線で呼び出しました。航空管制官に対し、ジェネレーターが故障したが、現時点では航空機の運航に影響はないと報告しました。

そのうえで、ランウェイ23へのILS進入を要求しました。管制官は直ちに進入管制に切り替え、空港への誘導を開始してくれました。無事に進入を行い、安全に着陸することができました。

結果的には、発生した故障は比較的軽微なものでした。ただし、運用マニュアルに従った緊急操作手順を行わなければならない状況でした。副操縦士は私の期待したとおりに行動し、この故障による影響を最小限に留めるために必要な措置を講じてくれました。

私たちがコックピットで効果的に対応できたのは、綿密なクルー・ブリーフィングのおかげだと考えています。私はそのブリーフィングで、IMC(計器気象状態)で緊急事態が発生した場合には、操縦しているパイロットは航空機の操縦を継続し、管制塔から指示されていた針路と高度を維持すると述べました。さらに、操縦していないパイロットは、緊急事態への対応を行ってそれをバックアップする。そして、緊急事態が把握できたならば、必要な緊急操作手順を実行し、チェックリストでその内容を確認すると説明していました。

今回の緊急事態対処が成功したのは、この単純かつ明確なブリーフィング内容のおかげでした。もし私が副操縦士に何を期待しているかを説明しなかったり、副操縦士がブリーフィングで指示されたとおりに行動しなかったりすれば、コックピット内は混乱に陥っていたでしょう。それは何も良いことを生み出しません。機内でのわずかな混乱が、地上への墜落につながることも十分に考えられます。平常心を保ちながら、クルー・ブリーフィングで示したとおりに行動したことが、航空機を安全に着陸させ、機体と搭乗員全員が無事に次の日を迎えられることにつながったのです。

                               

出典:Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2025年02月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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