AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

空域競合の回避

上級准尉3 マイケル・エイカーズ
第4-2攻撃偵察大隊 C中隊
韓国 キャンプ・ハンフリーズ

私は、カンダハール飛行場に駐留するタスク・フォース・アウト・フロントに配属された航空安全担当士官として、機長(Pilot in Command, PC)および編隊長(Air Mission Commander, AMC)を務め、カンダハール州内における多数の交戦対処に出動し、150回を超える戦闘任務に従事しました。その派遣期間中に、同一旅団内の地上部隊間における無人航空機システム(Unmanned Aircraft System, UAS)の通信および追跡が不十分であったため、有人機とUASの空中衝突が発生しました。以下に、その経緯を説明します。

ある武装偵察チーム(Scout Weapons Team, SWT)が、「フォート・アイアン」への間接・直接射撃を報告するアイアン6からの交戦通報に対応しました。SWTが作戦空域に到達した後、交戦中の地上部隊から、RQ-11レイヴンが目標地域上空の高度3,580フィート(約1,091メートル)の平均海面高度(Mean Sea Level, MSL)で運用中であるとの通知が入りました。この情報は、戦闘空間管理者(battle space owner)とのチェックイン手順では伝達されていませんでした。RQ-11の報告高度よりわずかに低い高度を飛行していた長機は、友軍および敵の陣地を迅速に識別するため、その高度を維持する旨を地上部隊に伝えました。その一方で、レイヴンは目標地域から離れた、より高い高度へ移動させる必要がありました。

地上部隊はこの対処方針を了承し、SWTは友軍・敵陣地の識別を続行しました。突然、僚機が高度約3,250フィート(約991メートル)MSLにおいてレイヴンと衝突し、左側フロント・ウィンドシールドが粉砕されるとともに、左側グレア・シールド、デジタル・カメラおよびM4カービンが損傷しました。SWTの機体は、それ以上の異常なく前線作戦基地(Forward Operating Base, FOB)ランロッドへ帰還し、搭乗員2名に負傷者はありませんでした。このような事故を防ぐため、すべての戦闘空間管理者は、UAS、爆破処理、他の航空機、間接射撃などの状況について、常に適時かつ正確な情報を把握し、担任空域内で運用するすべての航空機にその情報を伝達することが不可欠です。

では、なぜこの事故が起きたのでしょうか。第一に、編隊長はUASがまだ運用制限地域(Restricted Operating Zone, ROZ)内にいると認識した後も、その中にとどまることを選択しました。衝突は、その結果として生じたのです。意図せずROZに入ってしまった場合には、その種別や戦術的状況のいかんに関わらず、直ちに離脱行動をとらなければなりません。パイロットは、往々にして目前の状況に没頭してしまうものです。

地上部隊にも過失がありました。無線通信士は高度分離による空域調整に同意しましたが、その情報がUASオペレーターに適時に伝達されることはありませんでした。つまり、この空域競合回避措置は機能しなかったのです。航空機がROZに進入するにあたって空域競合回避を適時に実施するためには、航空搭乗員とUASオペレーター間の確実な双方向通信が不可欠です。

空域状況の把握が不十分であった今回のケースでは、RQ-11に対し、垂直分離ではなく水平分離を与えるべきでした。旅団および中隊の戦闘空間管理者からSWTへの飛行承認は付与されており、地上部隊もSWTとUASの垂直分離に同意したように見えましたが、SWTはUASオペレーターと直接通信していたわけではありませんでした。このため、航空機の競合回避のためにとられた措置がUASオペレーターに遅滞なく伝わらなかったのです。この衝突の直接原因は、地上部隊による自己UASの戦場追跡(Battle Tracking)の欠如、不十分な空域競合回避、RQ-11オペレーターとOH-58D搭乗員間の通信不足、そして戦闘行動特有の性急さにあります。

この事故は、搭乗員と戦闘空間管理者間のより適切な通信があれば、回避できたはずです。戦闘行動中であっても、友軍部隊が相互に干渉することなく敵を捜索・交戦できるよう、短時間の戦術的中断を取ることは可能です。行動に移る前に、地上部隊と航空部隊を統合するための調整を確立しなければなりません。すべての機長および編隊長は、戦闘作戦を実施する際、たとえ事前の準備時間がほとんどない緊急出動であっても、危険要因を合理的なレベルまで低減する責務があるのです。

訳者コメント:本記事はアフガニスタン・カンダハールでの実戦事例を基に、有人機とUASの空域競合回避の問題を論じています。本事例が示す最大の教訓は、「承認の連鎖」と「現場での確実な双方向通信」は別物であるという点です。上位の戦闘空間管理者から飛行承認を得ていても、UASオペレーターとの直接通信が確立されていなければ、空域競合回避は機能しません。陸上自衛隊においても、UAS運用の拡大に伴い、有人・無人機が混在する空域での運用が今後想定されます。通信手順と責任区分の整備がいかに重要であるかを、本記事は改めて示しています。
                               

出典:Airspace Deconfliction, Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2026年06月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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1件のコメント

  1. 管理人 より:

    本記事は2021年に掲載された記事の再掲載です。