AVIATION ASSETS

陸軍航空の情報センター

次の戦争における航空部隊の展開地の構成

マイケル・B・ライネン大尉
ウィリアム・S(リアム)・シース大尉
カルビン・L・スミス大尉
ロナルド・J・エドワーズ少佐

特集:訓練

統合多国籍即応センターにおける、AH-64アパッチを操縦する隊員とブラッドレー歩兵戦闘車を運用する隊員との連携

将来の戦争において、航空部隊が生き残り、地上部隊を支援しながら戦い続けようとするならば、分散しなければなりません。しかし、部隊が分散すればするほど、整備(maintenance)、後方支援(sustainment)、指揮統制(Command and Control, C2)の実行が難しくなります。この問題は、陸軍航空にとって目新しいものではありません。ジョン・トルソン中将は、ベトナム戦争の空中機動に関する研究(1999年)の中で、米陸軍は戦術指揮官と後方支援担当者との対立が原因で空中機動に十分な資源を配分できず、その結果として整備能力の不足が慢性化したと論じています。指揮官は即応性を最大化するために柔軟な分散型整備を求めたのに対し、後方支援担当者はそれを、限られた資源を非効率に分散させるものと見なしました。陸軍は、整備を集中させたほうが資源の運用面で効率が上がると判断し、大規模で固定された整備拠点を設けましたが、これが戦術的な柔軟性と分散の利点を損なう結果となりました。ロバート・ハワード元上級准尉は、1993年の寄稿で、自身の所属する整備中隊が迫撃砲の攻撃を受け、隊員、作業場、ヘリコプターが大きな損害を被ったときのことを振り返っています。その結果、動員可能な隊員は総出で損害の復旧に追われ、地上部隊への支援がまる一日失われることになりました。

米国が再びベトナム戦争を戦うことはありません。しかし対テロ戦争でも、我々は大規模な前方運用基地を拠点とし、一つの場所に長くとどまりすぎたために敵の攻撃を受けやすくなるという、同様の問題に直面しました。ウクライナで見られる戦争の様相の変化により、衛星による厳重な監視や、我の部隊を狙って探し回るドローンの存在が想定される高脅威の大規模戦闘作戦(Large-Scale Combat Operations, LSCO)環境において生き残るためには、分散するほかないことが明らかになりました。ウクライナ空軍は、航空機を第二、第三の飛行場へ分散させ、整備と弾薬も分散配置したうえで、その状態で航空機を維持できるように隊員を訓練しました。このことが、ロシアが開戦当初から現在に至るまで航空優勢を確立できずにいる一因となっています(Deptula, 2024)。

本稿では、次の戦争を有利に戦い勝利するために、航空部隊の展開地において整備、後方支援、指揮統制を分散するための一つの方法を提示します。あわせて、この構成方式を実現するうえで明らかになった課題に対し、教義・組織・訓練・資材・統率力及び教育・要員・施設並びに方針(DOTMLPF-P)の各分野からの解決策を提言します。

指揮所(Command Post, CP)の構成に関する現行の教義のうち航空部隊に適用される部分、すなわち陸軍技術教範(Army Techniques Publication, ATP)6-0.5『指揮所の構成と運用』は、主指揮所(Main Command Post, MCP)、戦闘指揮所(Tactical Command Post, TAC CP)、中隊指揮所の設置を定めているにすぎません(Department of the Army [DA], 2017, p. 1-4)。この教義が定める限定的な構成方式は、運用のしやすさを優先して整備・後方支援・指揮統制を集中させた、大規模で密集した航空部隊の集結地を生みがちです。しかし、陸軍教訓センター(Center for Army Lessons Learned, CALL)刊行物26-1118(Leinen & Cox, 2025)が指摘し、統合多国籍即応センター(Joint Multinational Readiness Center, JMRC)でも実際に観察されたとおり、このような大きな占有範囲を持つ航空部隊は、敵に容易に発見・利用され、深刻な結果を招きます。同刊行物は、航空部隊は分散によって生存性を高められると論じていますが、現行の航空教義は主指揮所、戦闘指揮所、中隊指揮所しか定めていないため、その分散を可能にしていません。陸軍にはすでに、最前線で最大限の分散を必要とする諸兵科連合大隊向けの構成方式が存在します。この構成方式を、航空部隊に特有の整備・後方支援の所要に合わせて修正し、なおかつ陸軍全体の兵站体系と結び付ければ、分散によって生存性を高める道が開けます。図1に示すこの構成方式は、分散の度合いを高めて占有範囲を小さくすることで生存性を向上させると同時に、生存性確保のための移動中も航空部隊が地上部隊への支援を継続できるようにするものです。ATP 4-90『旅団支援大隊』(2026年)の図3-3を基に改めたこの構成方式は、任務の所要に応じて短期的にも長期的にも運用できます。

図1:後方段列・前方段列・中隊段列を用いた、分散した航空部隊の展開地

図中の略語は次のとおりです。AFAR=弾薬燃料再補給地域、AMCP=航空機整備集積点、ASB=航空支援大隊、BN=大隊、C2=指揮統制、CO CP=中隊指揮所、CRP=部品修理小隊、CTCP=前方段列指揮所、DART=航空機回収チーム、FARP=弾薬燃料再補給点、FLOT=前方展開線、FTCP=後方段列指揮所、FWD SPT=前方支援、GMCP=地上装備整備集積点、GND=地上、HR=時間、LRP=補給品受渡点、MCP=主指揮所、MX=整備、OIC=担当官、PLT=小隊、TAC=戦闘指揮所、TM=チーム。実線の矢印は主たる補給経路、破線の矢印は予備の補給経路を示します。図中の距離は地形と脅威によって変わるものであり、縮尺どおりには描かれていません。

図2の構成方式は、大規模戦闘作戦における攻撃ヘリコプター大隊または空中機動大隊を想定し、各拠点が果たすべき機能を分解して示したものです(訳者注:原文は「図2」としていますが、掲載されている図は1点のみです。図1の上部に並ぶ各指揮所の構成要素・主要人員・能力の一覧が、これに当たります)。この構成方式は、陸軍の規模が今後拡大しないことを前提とし、現有の人員・装備の範囲内で実行できるよう設計しています。また、これは完成形ではなく、整備・後方支援の改善に応じて今後も手を加えていくことを想定しています。以下に各拠点の概要を示しますが、これは同種の航空部隊にも適用できます。

中隊指揮所:前方展開型の中隊指揮所は、敵の戦術砲兵の射程外にとどまりつつ、支援対象の地上部隊と直接連携する機会を確保し、発進基準に対する応答を速めるため、前方に配置します。上記のとおり、中隊指揮所は、中隊の持久力を高めるために航空整備と前方支援の要員を組み込み、自律的に運用できる態勢とすべきです。中隊指揮所に置かれた前方支援の資材は当該中隊指揮所に留め置かれ、前方段列指揮所(Combat Trains Command Post, CTCP)から派遣される補給部隊(distribution elements)によって補給が行われます。戦術的に可能であれば、中隊指揮所から支援対象の旅団・大隊・中隊へ連絡士官を派遣し、航空戦力を地上部隊の戦術計画に組み込むための調整を行わせることもできます。

主指揮所:主指揮所は大隊本部と幕僚で構成され、任務計画の作成と、現在進行中の作戦に対する指揮統制を担います。大隊の航空機回収チーム(Downed Aircraft Recovery Team, DART)はここに配置し、必要に応じて前方の中隊指揮所に対する追加の整備支援を行わせます。戦闘指揮所は、作戦中に主指揮所から中隊指揮所へ進出し、指揮統制を補うことができます。主指揮所が生存性確保のための移動を行う際には、戦闘指揮所が自律的に運用されるか、前方段列指揮所または中隊指揮所と同一地点に位置して、指揮統制を維持します。

前方段列指揮所:大隊のS4(後方担当幕僚)と前方支援中隊(Forward Support Company, FSC)長が指揮する前方段列指揮所は、大隊の地上装備整備集積点(ground maintenance collection point)となり、派遣整備班(contact team)が車両の所在地で修理できない車両の整備を担います。ここは大隊の後方・管理の中枢でもあります。また、ロール1(第一線の医療)を提供する場所ともなります。補給小隊(distribution platoon)は、前方段列指揮所から中隊指揮所または補給品受渡点へ進出して補給を行うほか、師団支援地域へ車両等を運行して補給品を受領します。

後方段列指揮所:前方支援中隊の副中隊長と航空整備中隊長が指揮する後方段列指揮所は、大隊の航空機整備集積点となり、大規模な定期整備を実施するとともに、航空機回収チームや前方の指揮所の整備能力では修理できない航空機の整備を担います。後方段列指揮所は、追加の整備支援を受けられるよう航空支援大隊(Aviation Support Battalion, ASB)の近傍に置きます。後方段列指揮所の役割は、航空整備と後方支援の所要を伝達し、後方支援を戦闘の前線へ押し出すことにあります。後方段列指揮所には飛行中隊も編組し、整備確認試験飛行の実施、整備完了後の航空機の前方中隊指揮所への空輸、大規模整備の時期が近づいた航空機の前方中隊指揮所からの回収にあたらせます。この中隊は、後方地域警備にあたるほか、必要に応じて短期間、前方の中隊に加わって任務を支援することもあります。

後方支援・整備における分散の利点:整備と後方支援を分散させると、必要となる同時発揮の水準が高くなるため難易度は上がり、継続的な運用のために専門技能を持つ隊員と工具を全拠点に分散させることになります。しかし、仮に一個中隊が攻撃を受けても、失われるのは後方支援・整備能力の一部にとどまり全部を失うことはないため、部隊の持久力に対する壊滅的な打撃を防げます。また、敵は一箇所ではなく多数の拠点を目標にしなければならず、複数のジレンマに直面するとともに、情報収集の資源を圧迫されることになります。さらに、各所在地が編制の後方支援・整備能力を備えることで、任務前の資材の移動を最小限に抑えられ、これが一種の隠蔽となって奇襲効果を保ち、生存性と防護を高めます。これをより効率的に行うには、航空部隊は駐屯地においても訓練においても同じ形に構成し、分散型の整備・後方支援を当たり前のものとするために必要な人的関係と仕組みを築いておかなければなりません。この形で訓練を積むことにより、実任務に臨む前に、相互の信頼と尊重という不可欠な土台を築くことができます。保有人数の少ない特技(low density military occupational specialty, MOS)の隊員と必要な装備を飛行中隊に持たせることで、中隊長は地上部隊の指揮官をより良く支援できるようになります。

「軍団レベルに至るまでの航空作戦において、前方で作戦を持続させる能力(指揮統制・整備・後方支援を組み込んで強化した弾薬燃料再補給点によるもの)こそが我々の重心であるという確信を、私は年々強めています。それにもかかわらず、これらの部隊要素に対する訓練・装備・資源の投資が最も手薄であるという現実は、まったく容認できません。……我々は一丸となって、この文化的な転換を速やかに成し遂げ、戦場における自らの存在意義を守らなければなりません」(デイビッド・ランバート中佐、2026年2月3日、著者との私信)

今後の方向性

教義:

組織:

訓練:

資材:

統率力及び教育:

結言

地上部隊が航空部隊に寄せる神聖な信頼、すなわち地上部隊の機動計画を直接支援して「見る(See)」「撃つ(Strike)」「動かす(Move)」「広げる(Extend)」という信頼は、現代の諸兵科連合戦闘における不変の礎です。戦場における我々の存在は、単に地上部隊の戦闘力を高めるだけのものではありません。それは地上の隊員にとって、深い心理的な支えでもあるのです。熟練した操縦者が頭上にいて、決定的な火力を投射し、負傷者を後送し、あるいは決定的な情報をもたらしてくれる——そう分かっていることが、地上部隊にもう一歩踏み込み、もう少し長く戦い抜くための決定的な力を与えるのです。

しかし、航空部隊が大規模かつ集中した集結地からの運用を続けるかぎり、この支援をもはや保証することはできません。高度な衛星画像、長距離精密火力、そして至るところに張り巡らされたセンサーと射手を結ぶリンク(sensor-to-shooter link)が存在する時代にあって、こうした静止した価値の高い場所はもはや安全な聖域ではなく、むしろ目立つ標的にほかなりません。敵は我々のやり方を研究し、我が方の航空戦力が戦闘に影響を及ぼす前に地上で無力化する能力の開発を積極的に進めています。この現実から目を背けることは、我々がもたらす優位を手放すことであり、ひいては、支援を誓った部隊との神聖な信頼を裏切ることになります。

答えは明白です。我々は分散しなければなりません。分散した運用を可能とするために部隊構成を根本から作り直し、生存性を高めるとともに、敵の目標選定を困難にしなければなりません。そのためには、文化と教義の大きな転換が必要になります。それは、効率のために機動・後方支援・指揮統制という戦闘機能を集中させるという従来の常識に、異を唱えることを意味します。今こそ防護を優先すべきです。たった一度の壊滅的な攻撃で能力が破壊されてしまえば、真の効率など何の意味も持たないからです。分散した後方支援、強靭な指揮統制、分散した所在地からの機敏な機動というモデルを受け入れることで、これらの機能を最も必要とされるときに発揮し続けられるようになります。部隊を分散させて自らを守ることができなければ、それ以外のいかなる機能を果たす機会も得られません。戦力集中という時代遅れのモデルに固執する道を選ぶなら、我々は壊滅的な失敗、すなわち自らが単一障害点となる危険を冒すことになります。厳しい選択ですが、存在意義を保ち戦場を支配し続けるための道は、分散にこそあります。

参考文献

Byerly, J. (Host). (2026, January 11). Culture, Process, and Technology with General Christopher Donahue (No. 168) [Audio podcast episode]. In From the Green Notebook. https://fromthegreennotebook.com/2026/01/11/ep-168-culture-process-and-technology-with-general-christopher-donahue/

Department of the Army. (2017, March 1). Command post organization and operations (Army Techniques Publication 6-0.5). https://armypubs.army.mil/epubs/DR_pubs/DR_a/pdf/web/ATP%206-0_5%20(final).pdf

Department of the Army. (2026, January 26). Brigade support battalion (Army Techniques Publication 4-90). https://armypubs.army.mil/epubs/DR_pubs/DR_a/ARN45712-ATP_4-90-000-WEB-1.pdf

Deptula, D.A. (2024, July 26). Air superiority and Russia’s war on Ukraine. Air and Space Forces Magazine. https://www.airandspaceforces.com/article/air-superiority-and-russias-war-on-ukraine/

Howard, R.E. (1993, October 31). Vietnam–The seed. Army Aviation Magazine, 42(10), 28-32.

Leinen, M. & Cox, J. (2025). Aviation TAA survivability in the multi-domain fight (CALL No. 26-1118). Center for Army Lessons Learned. https://api.army.mil/e2/c/downloads/2025/11/19/81092f00/no-26-1118-aviation-taa-survivability-in-the-multi-domain-fight-nov-25.pdf

Pidcock, R. (2025, July 16). Maintaining interoperability while pursuing innovation—Transformation in contact. Army Communicator (Summer). https://media.defense.gov/2025/Jul/16/2003755365/-1/-1/1/250716-A-IO061-1002.PDF

Tolson, J.J. (1999). Vietnam studies–Airmobility 1961-1971. Department of the Army.


マイケル・ライネン大尉はAH-64操縦士で、現在は攻撃ヘリコプター担当の評価・指導・訓練担当官(Observer Coach/Trainer, OC/T)。ウィリアム・シース大尉はAH-64操縦士で、現在は航空整備担当の評価・指導・訓練担当官。カルビン・スミス大尉は後方支援職の幹部で、現在は上級航空後方支援担当の評価・指導・訓練担当官。ロナルド・エドワーズ少佐はAH-64操縦士で、現在は航空運用担当の評価・指導・訓練担当官。いずれもドイツ・ホーエンフェルスの統合多国籍即応センターのファルコン・チームに所属しています。

訳者コメント:本稿はArmy Aviation誌2026年7月31日号掲載の記事の翻訳です。著者4名は、ドイツ・ホーエンフェルスの統合多国籍即応センターで訓練評価にあたる士官であり、同センターで観察された航空部隊の展開地の脆弱性を出発点に、諸兵科連合大隊の段列(trains)方式を航空大隊に当てはめ、指揮所・整備・後方支援を前後に分けて配置する構成を提案しています。原文は本文で「図2」に言及していますが、掲載された図は1点のみで、図1上部に並ぶ各指揮所の一覧がこれに当たります。また図1の凡例はLRPを「Logistics Rally Point」としていますが、本文の記述と教義に従い「logistics release point(補給品受渡点)」と訳しました。
                               

出典:Aviation Tactical Assembly Area Organization in the Next War, ARMY AVIATION, Army Aviation Association of America 2026年07月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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