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陸軍航空の情報センター

空に浮かぶ諸刃の剣 ― 武装ドローンの新時代をどう乗り切るか

武装した小型UASは、兵士を危険にさらすことなく情報収集と攻撃を可能にする一方、新たな危険を戦場にもたらしている。(画像:米陸軍戦闘即応センター)

遠隔操縦式のドローンに爆発物を括り付けるのは、世界各国の軍隊においてトレンドとなっています。小型UAS(small unmanned aerial system, sUAS)は戦い方を一変させました。兵士を直接危険にさらすことなく、決定的な情報を収集し、殺傷力のある攻撃を加えることが可能になりました。しかし、そういった絶大な戦術的アドバンテージが、戦場に多くの新たな危険をもたらすようにもなりました。ドローンが指揮官にとっても兵士にとっても有用であることは疑いようがありませんが、部隊を安全に保つには、ドローンがもたらす危険性を理解することが不可欠です。

ドローン戦の危険

武装ドローンの使用は、まさに諸刃の剣です。それは、味方の部隊に大きなアドバンテージを与えてくれます。その一方で、友軍誤射による事故、自軍のテクノロジーを敵に逆用されること、ドローンの操作員が知らぬ間に格好の標的となってしまうことなどのリスクももたらされます。

事故と友軍誤射 ― 飛行中の小型ドローンから爆弾を投下するのは、思いのほか難しいことです。わずかなミス、通信の途絶、あるいは強いガストだけでも、爆発物は目標から大きく外れて投下されます。つまり、味方の部隊や罪のない民間人を誤って傷つけるリスクが、常につきまとうということです。

敵も反撃してくる ― ドローンと操作員は必ず電波を発しており、敵にとってその電波は、発信源へ導く誘導ビーコンにほかなりません。発信源を突き止められれば、ドローンを操縦している兵士めがけてロケット弾や迫撃砲弾を撃ち込んだり、自らのドローンを飛ばして弾薬を投下したりできます。また、電波を妨害してドローンを墜落させることも、システムに侵入して乗っ取ることもできます。さらに、小型UASは安価であるため、敵も自前の機体を容易にそろえ、まったく同じ脅威をこちらに向けてくることができます。

装備への不満 ― 現在保有している敵のドローンを撃墜するための装備は、大型であることが多く、率直に言って有効性を欠いています。役目を果たさない装備しか与えられなければ、兵士はそれを信頼できなくなり、士気は削がれ、不必要な危険にさらされることになります。

危険をどう減らすか

次の三つの取り組みに力を注ぐだけで、これらの脅威を管理し、兵士を守ることができます。

全員にドローンと対ドローンの訓練を ― 現在の紛争の様態が示すとおり、ドローンへの防御は全兵士の役割です。安全な後方地域と明確な前線があるという従来の考え方は、次の戦いでは通用しません。必要なのは、小隊に1人か2人とか、中隊本部小隊に数人とかではなく、分隊レベルにまで複数のドローン操作員を置くことです。さらに、大隊が主要な指揮拠点の周囲に配置した数発のスティンガー・ミサイルにドローンへの防御を委ねておくわけにはいきません。新しい技術に単純かつ費用対効果の高い手段を組み合わせた、重層的な体系が必要です。考えてみてください。あなたの小隊の兵士は、全員がクレー射撃で標的を撃ち落とせるでしょうか。

擬製弾で訓練する ― 機動訓練においては、空包または擬製弾を使用すべきです。想定に基づく訓練において小型UASから擬製弾を投下させれば、兵士がその装備に慣れ、その有効性を高める機会を得られます。実際の爆発を見るような派手さはありませんが、実弾射撃用の弾着地区が不要になることで、訓練に伴う演習場と安全上の制約を大きく減らせます。

戦術を簡明にし、現場に判断を委ねる ― 明確な規則と単純な戦術が、すべてを決めます。小型UASの操作員は、一つの場所に長くとどまってはなりません。「ローンチ・エンド・ラン(launch-and-run)」の戦術を徹底すべきです。一方、地上の兵士は、丘陵・樹木・建物を用いて上空の目から身を隠し、さらに現地の草木やポンチョ・ライナーなどの装具を重ねて、熱シグネチャー(thermal signature)を覆い隠す必要があります。より安価で軽量な対ドローン装備を下級部隊まで行き渡らせれば、部隊を守る防空の傘は飛躍的に広がります。武装ドローンは、消耗品として扱わなければなりません。そうでなければ、操作員が失うことをためらわずに、その場で判断することができないからです。また、指揮官は空域調整を後付けで考えるのではなく、部隊指揮手順の最初の段階で計画しなければなりません。

おわりに

武装ドローンはすでに現実のものであり、今後もますます高度化してゆきます。危険は現実のものですが、その危険を管理することで、より強靭な部隊を作り上げることができます。兵士たちを守りつつ、この新しい道具を安全に利用し、勝利を得るためには、より多くの兵士に対して擬製弾を用いた実戦的な訓練を実施し、戦術を単純に保つことが必要です。最も重要な教訓は、テクノロジーだけで勝利を得ることはできないということです。武装ドローンの恩恵を大きな代償なしに得ようとするならば、ドローンを飛ばすことと、ドローンと戦うことの両方を、兵士一人ひとりの日々の習慣に織り込まなければなりません。

訳者コメント:
本記事が「小隊に1人か2人、中隊本部小隊に数人」という現状を不十分だと述べる背景には、米陸軍が進めている小型UASの階層別配備があります。陸軍は機種を部隊の階層ごとに割り当てており、分隊には重量0.33ポンド(約150グラム)未満・飛行時間15分以上を求めるソルジャー・ボーン・センサー、小隊には5ポンド(約2.3キログラム)未満・30分以上を求める近距離偵察機(Short Range Reconnaissance, SRR)を充てる構想です。SRRは小隊用の小型クアッドコプターとしては陸軍初の制式計画で、Skydio X10DとTeal社のBlack Widowが選定され、2026年6月末の飛行審査を経て5社が製造準備評価に進みました。ただし、これらはいずれも偵察用です。著者が求めているのは、偵察機を配ることではなく、攻撃にも防御にも動ける操作員を分隊の段階まで数多く育てることです。
スティンガーへの言及にも背景があります。同ミサイルは速度がマッハ2にとどまり、グループ2・3の無人機を安定して追随できないことが指摘されてきました。陸軍は2023年から次世代短距離迎撃弾(Next Generation Short-Range Interceptor, NGSRI)の開発を進めています。マッハ3級の速度を目標に、電池冷却装置を廃し、敵味方識別装置を発射機に統合し、射向の修正を自動化して、スティンガーが対処できない無人機を捉える構想です。2026年に入って2社が飛行試験に成功し、2028会計年度から調達を始めて、機動近距離防空(M-SHORAD)の増加型3型でサージャント・スタウト(Sgt Stout)搭載のスティンガーを置き換える予定です。もっとも、著者が数発のスティンガーに頼るなと書くのは、迎撃弾の性能が古いからではありません。少数の高価なミサイルで要点だけを守るという防空の組み立て方そのものが、安価な機体が数で押し寄せる戦い方に合わないという指摘であり、次世代短距離迎撃弾への更新が終わってもこの点は変わりません。だからこそ著者は、新しい技術に単純で費用対効果の高い手段を組み合わせた、重層的な体系を求めています。
「クレー射撃で標的を撃ち落とせるか」という問いかけは、単なる比喩ではありません。海兵隊は2026年7月、カリフォルニア州トゥエンティナイン・パームズで初の対ドローン射撃レーンを開設し、M27自動小銃・M1014散弾銃・M320擲弾発射器といった手持ちの火器で小型無人機を撃墜する訓練を始めました。陸軍も2026年4月9日、第18空挺軍団の通信分遣隊が、ノースカロライナ州オーク・グローブ訓練場で、飛翔中に散弾のように散開する5.56ミリのドローン弾の実弾訓練を実施しています。ウクライナでは、散弾銃による対ドローン訓練にクレー射撃の技法が取り入れられており、そのうえで、クレーとは違って不規則に機動する目標への対処が課題とされています。著者の問いは、こうした実例を背景としたものです。
訳出にあたり、2か所で原文にない説明を補いました。第一に、原文は「ドローンは必ず操作員へ信号を送り返す」としていますが、地上の操作員が探知される主たる原因は操作員側の送信であるため、訳文では「ドローンと操作員は必ず電波を発しており」と双方向に改めました。第二に、武装ドローンを消耗品として扱うべき理由として、原文にない「操作員が失うことをためらわずに、その場で判断できるようにするため」という趣旨を補いました。
                               

出典:The Double-Edged Sword in the Sky: Navigating the New Era of Armed Drones, Risk Management, U.S. Army Combat Readiness Center 2026年08月

翻訳:影本賢治, アビエーション・アセット管理人

備考:本記事の翻訳・掲載については、出典元の承認を得ています。

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